第13話 帰宅と訓練
「それにしても彼女、とても大人びていましたね。おそらくリュークハルト様と同じ年頃でしょうに」
2人にプレゼントしたあと、2人を連れてディーナーが待つ、馬車へと歩いているとクリアーダが言い出した。
「クリアーダも見ていただろう?俺たちと別れた後執事の様な服装をした老人に怒られていただろう?おそらくどこかの貴族の娘だ」
「それは分かります。しかし、リュークハルト様と同じくらい賢く大人びている子供は見たことありません」
「いや、ライトとかジークとかレントとか賢いじゃんあいつら」
「皇族であるその御三方よりも賢いと言っているのです!リュークハルト様と話していると時々大人の人と話していると勘違いすることがあります。彼女にもそのような格を感じました」
王族や貴族は幼い頃から礼儀作法など色々叩き込まれる。そうするうちに逃げ出す子供もいればもう慣れてしまって、どこか大人びてしまうような子供もいる。さっき会った女の子は間違いなく後者。それもかなり高い教養を積んでいそう。ではなぜそんな子がこんな市場になんて来たのかは知らんが。
「へぇー。じゃあどこかの国のお姫様かもね」
「現在他国から王族の来客の報告はございません」
「別に子供のクリアーダに教える必要もないだろうし、お忍びかもしれないだろ?」
「た……しかにそうですね。はい」
そんな会話をしながらもディーナーの待つ馬車へとたどり着いた。そしてもう、レント達も着いていたようだ。ちなみにシルフィードもメイド服を来ている。レントも似たような事でも考えたのだろう。
「それじゃあ行こうか」
俺がそういうとみんなで馬車に入る。御者はもちろんディーナーである。
◇
お城に着いたのは午後3時くらい。ちょうどいい時間だし、午後の訓練でもしようかと思っていた。
「ディアナ、今日から君には戦いの訓練を受けて貰うが、いいか?」
「はい!訓練受けるっス!」
「よし。それじゃあとりあえず訓練場に行くぞ」
訓練場に着くとまたレントたちが先にいた。レントたちということはシルフィードもいるということ。つまりはレントもシルフィードを戦闘メイドに育て上げるつもりだろう。だってメイド服きてるしね。
「早いなレント」
「もちろんだアニキ!でもどうやってこいつらに戦い方を教えるんだ?」
「それならもう考えている。ディアナにはお前とアルギメインで体術をメインに、剣術も教えて欲しい。シルフィードには俺から魔法を教えることにする。いいか?」
「そういうことなら構わないぜ!それでいいよな?シルフィード!」
「問題ございません」
レントは楽しみで仕方が無い様子だな。
「それじゃあ、シルフィードはこっちで一緒にやるか。着いてきてくれ」
「はい」
俺はシルフィードを連れて、訓練場の端の方にやってきた。
「早速だが魔法の使い方は知ってるか?」
「大体は心得ています」
「それじゃあ聞こうかな」
「はい。まず魔法に大切なのはイメージ力です。そしてそのイメージをそのまま体現するために魔力操作の精度が必要です」
「よくわかってるじゃないか。じゃあ魔法は使えるか?」
「いえ、まだ使えません。魔力の操作もしたことがありません」
「なるほど。それじゃあ魔力を感じることは出来るか?」
「なんとなくこの辺にあるな、というのは分かりますがはっきりとは分かりません」
「おっけい。それじゃあ今日の目標は魔力を完全に感じることだね」
「そんなにすぐ分かるものなのですか?」
驚くのは分かる。しかしシルフィードの無属性の才能はA+だ。なんとなくの位置がわかるということは1度は魔力を感じる機会があったと言うことだ。つまり、また、感じることが出来れば完全に魔力の位置を把握出来るようになるのではないかと考えている。
『その通りです』
ほらな?
「ああ。それじゃあ手を出してみて」
「はい」
そういうとシルフィードは両手を仰向けにして出してきた。そこに手を乗せ、魔力を送る。
「……ッ!」
手から魔力を送られるのを感じたんだろうか。そのまま魔力が溜まっている場所……アイ曰く
例えば体操選手などは体が柔らかい。然し全く運動をしてない人は身体が硬いように、魔力を全く操作しなければ上手く扱えなくなる。長い時間魔力操作をサボったりすると、魔力を動かせなくなるなんて人もいるくらいだ。とアイが言っていた。
「どうだ?」
「体の中を何かがぐるぐるとしています」
「ちゃんと魔力を感じられているな」
10数分ほどやればシルフィードも慣れてきたらしい。
「そろそろ自分でやってみるか?」
「え、私に出来ますか?」
「やってみなければ分からないだろう?ほら、やりやすい体制とか教えてあげるから」
俺はそう言ってシルフィードに座禅を組ませた。俺は寝る前にこの体制で魔力を操作しているんだがとてもやりやすい。集中力が高まりやすいからだ。
「いいか?最初はゆっくりで大丈夫だ。ゆっくりで。なるべく身体中に大きく動かくすんだ」
「は、はい」
ある程度魔力を扱える者は魔力を視認したりできる。これも魔法の1種だ。これは魔法でできる魔眼の様なものだ。1部では擬似魔眼なんて呼ばれてる。実際、魔力の流れを見ることの出来る魔眼もあるらしいが俺はまだ使うことが出来ない。しかし、魔力の流れを見る魔法を使うことはできる。目全体に魔力を纏わすのがコツだ。
そんなことはどうでも良くて、シルフィードきちんと魔力を操っている。
「できるじゃないか」
「……なんか、出来ました。前に1度、母に教えてもらったんですが、その時はできなくて才能ないと思っていたので、その、嬉しいです」
「まあ、1回でできる人間なんて早々いないと思うよ?そもそも2回目で出来るようになるのだってすごく異常だと理解した方がいいぞ」
この日はこれだけで訓練は終えた。ディアナの方も上々とのことだ。いやぁこれはますます楽しみになってきた。
◇
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