第20話 謎の子の正体と鑑定


 俺は彼女の鑑定結果の上の方を眺めていた


 ◇

 名前:シャーロット・フォン・ヴァイス

 年齢:6

 種族:人族

 称号:ヴァイス家長女

 スキル:逆行転生・残機0

 ◇


『あ、鑑定をより強化したのでスキルを見れるようにしました。と言っても、スキルを持っている人間はそういませんけどね』

「そういうのは早く言えよ。最近人に対して鑑定やってなかったから、気づかなかったじゃん」


 彼女はヴァイス家の長女らしい。ヴァイス家はこの国のふたつある内の公爵家の一つだ。


 逆行転生とは、1度死んで昔の自分に憑依するようなものだろう。残機が0という事はもう何度も死んでいるのだろう。彼女から漂う雰囲気は諦めだ。恐らく何度戻っても何かが上手くいかず無惨な死を遂げると予想できる。



「あー、その嫌なら俺は他のとこいくからな」


 そう言う俺の言葉が聞こえないのか彼女はずっとブツブツ言っている。まあ、他のところに行くか!


「あ、あの!まってください!」


 俺が他のところに行こうとした時、彼女に腕を掴まれた。こちらをキッと見つめるその蒼い目には希望が宿っているように見えた。


「そ、そのリュークハルト様は第3皇子のリュークハルト様ですか!?」

「ああ、そうだ。双子の弟のラインハルトなら、あそこで令息令嬢達に囲まれているな」

「……本当だ。確かに今回はお父様も言っていなかったし……」

「何を言っていなかったんだ?」

「ひゃ!?な、なんでもないですぅっ」

「まぁいいが。お腹は空いていないか?今はまだ皆があいつらに集まっているから食べ物を取ってくるなら今だぞ」

「そ、そうですね。では行ってきます」

「ああ、待っているよ」



 それからほんの数分で彼女、シャーロットは戻ってきた。皿にはたくさんの食べ物が乗っていて可愛いなぁなんて思いながら俺たちは食事をしていた。


「そういえば俺はまだ君の名前を聞いていないのだが?」

「あ、たしかに。えっと、私はシャーロット・フォン・ヴァイスと申します」


 シャーロットは急に立ち上がると綺麗なカーテシーをひろうしてくれた。


 それにしてもシャーロットか。英語圏ではシャルの愛称で呼ばれるが、フランス語圏ではシャルロット、ドイツ語圏ではシャルロッテの名で呼ばれるらしい。ドイツ語圏、フランス語圏での愛称はチャーリーなどと呼ばれるらしい。他にもロッテやシャーリーなど色々愛称があるらしいが……


「ではシャルだな。俺のことはリュートで構わない」

「へっ?いきなりそんな呼び方したら周りの方たちに勘ぐられちゃいますよ?」

「1人くらい親しい者がいてもいいでは無いか。皇族とは窮屈なものなんでな」



 シャルと話しているとパーティーが終わる時間に近づいてくる。


「では、また」

「あぁ、元気でな」

「はい!」


 シャルとさよならしたあとは自室に戻る。


「随分と気の合う方を見つけたようですね?」

「ん?ああ、シャルのことか。ああ、彼女は面白いな」

「どのようにですか?」

「それを伝える必要性はないだろう?」

「まぁ!それはつれないですねぇ」

「ハッ、言っとけ」



 そんなクリアーダを、尻目に俺は自分のことを鑑定していた。自分のことを鑑定するのは7年ぶりだ。何せ一度鑑定したらもう一度する意味もないのでほっぽっていたのである。


 ◇

 名前:リュークハルト・フォン・スターク

 年齢:7

 種族:人族

 称号:スターク帝国第3皇子 異世界の記憶を持つ者 剣之王 闘之帝 炎之王 水之帝 風之帝 時空之神 氷之帝

 スキル:ナビゲーションアイ 神眼

 ◇


 何だこの称号!!異世界人なんて7年前はついてなかっただろ!?しかもなんだよ王とか帝とか神とかよ!意味わかんねぇ!


『ひとつずつ説明致します。まずスキルに関しては言うまでもありませんね?』

『ああ、これらは神様あの野郎からもらったやつだよな?』

『はい。次に称号なんですが、異世界の記憶を持つ者が付く条件がございまして』

『なんだよ』

『異世界の知識を別世界に持ち込むことです』

『知識?……あぁ、将棋とかハンバーグとかね』

『その通りです。その次に王、帝、神の称号についてです』

『ああ、それが知りたかったんだよ。なんなんだ?この称号は』

『はい、この称号はこの世界での格付けです』

『格付け?』

『はい。この称号は聖→王→帝→神の順番で上に上がっていきます』



 その後のアイの説明を要約するとこうだ。

 ・称号は聖→王→帝→神の順番で上がる

 ・俺が鑑定で見れる、武術、魔法の2つの項目の無属性、錬金魔法以外の全てにおいて王~神まで存在する。

 ・神の称号を持つ者は多くて14人だ。剣神、槍神、弓神、闘神、火神、水神、風神、地神、 光神、闇神、時神、空間神、雷神、氷神

 ・時神と空間神は融合し、時空神となることが出来る

 ・この順位は神界で神が決める例外は当事者同士で奪い合う。例えば剣神を剣帝が倒せば剣帝が剣神となる。この時相手を殺す必要はない。

 ・神位は1位の人のみ。帝位は2位から3位まで、王位は4位から9位まで聖位は10位の人のみ

 ・この順位は熟練度を示しているので各項目のみでの結果。つまりその道の腕前のみで称号は決められる。


 このくらいだ。レントは剣帝以上を持っていると予想する。しかしなぜ剣帝以上のレントと剣王の俺か戦った時俺が勝つことがあるのか。それはレントは剣で俺より優れているだけで戦いの中で魔法など織り交ぜられると状況は一気にひっくり返る。例えば野球で打率10割のバッターがいても仲間の打率が凡程度で且相手のチーム全員のレベルが10割バッターより低くても平均値が凡以上であれば勝負はわかるまい。


 その中でも例外はいるようで、アイ談では現剣神は他を寄せ付けぬ強さを誇っており、現剣聖から現剣帝の計9名が剣のみで現剣神に挑んでも勝てないらしい。剣だけで戦った場合のみでは。



 ちなみに光神はアルト・フォン・フラウらしい。


 ◇

 ※あとがき

 こんにちは。12話の「買い物とプレゼント」にて登場した赤毛の女の子のステータス書いときました。御手数ですが12話に戻って見て貰えると嬉しいです。ちなみに理由としては彼女は再登場させたいので皆様にも彼女の存在を記憶しておいて欲しいと言う願いから彼女の鑑定結果を載せました。

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