第41話 総評と話し忘れ


 父上との話し合いを終え、俺は今自室に戻っている。時間帯的にもレント達がまだ訓練しているはずだから合流しても良かったが、今はとりあえず眠い。朝早く起きすぎてしまった。


 俺が自室に戻るともうシャルはいないようだった。少しばかり安心する。昨夜は中々寝付けなかったのだ。これでようやく安眠できる。俺は、ヴォルをベッドに置き、着替える。軍服のままでは寝にくいのでいつもの寝巻きに着替える。白いローブは城に着いた時に収納済みだ。


 今はだいたい8時半くらい。起きたのが5時すぎくらいだろうか。朝早い人達からすれば全然早起きではないだろと思うかもしれないが、俺からしたら十分早起きだ。眠すぎる。ちなみに今回はヴォルに抱きついていない。昨日はシャルに抱きつかれて落ち着かなかったのでヴォルを抱え、落ち着いていただけだ。


「おやすみヴォル。お昼くらいになれば誰かしら起こしに来てくれるだろう」


 俺はヴォルに言って、目を閉じ、来たる王国との戦争の戦術……というか殲滅方法を考えていた。


 フィールドは平原。何も無い原っぱに何を起こせば殲滅できるか。大きめの土塊を作って疑似隕石を作りぶち込むとか。炎壁ファイアウォールを、敵を囲むように作ってジリジリ範囲を狭くするとか。でっかい穴を開けてそこに敵兵を落として、火球ファイアボールぶち込みまくるとか。同じくデカい穴を開けて水を入れて同じく火球ファイアボールぶち込んで少しずつ水温を上昇させるとか。確か前世でお湯をかけられて殺されたとかニュースでやってたし、沸騰させれば殺せるかもな。あとは、その水を氷にするとか……この戦術好きすぎじゃないか?ムルの時の氷結之霧ダイヤモンドダスト然り、三頭賊ケルベロスの街を氷漬けにした時然り、水魔法を使ってそれを氷にするの好きらしいな、俺。それ関係でいくと、足元だけ氷漬けにして動けなくしたあと火炙りにするとか。あとは……


「リュークハルト様、起きてください。そろそろお昼の時間でございます」


「ん?あ、あぁ。ありがとう」


 どうやら寝落ちしてしまっていたらしい。俺は起こしに来てくれたクリアーダに礼を言う。


 そういえばもうひとつ父上に聞いておきたいことがあったことを忘れていた。めちゃめちゃ重要なことなのになぜ聞き忘れていたのか。


「そういえば父上はまだ執務室か?」


 俺はベッドから降り、着替えている。出勤する訳では無いが、これから父上とまた話をしに行かなくてはならないのでもう一度軍服に着替えている。正装でも良かったのだが、軍服も一応正装と認められているしこちらの方が動きやすいので楽だから軍服を選んだ。


「はい、陛下本日は終日執務室にいるとの事でした。なにかあれば来て構わないと仰っていました」


「そうか。昼食を食べたらもう一度父上の元に行く。着いてこなくて大丈夫だ」


「かしこまりました」


「よし、それじゃあまずは昼食だな」


「はい」


 ◇


「アニキ、今日は早めに帰ってきたのになんでこっちに来なかったんだ?」


 食堂で昼食を摂っているとレントが唐突に言ってきた。


「眠かったから。ちなみに、この後はもう一度父上と話をしてその後そっちと合流して訓練を行う。いいか?」


「まあ、構わないんだけどよ、あのドラゴンどうにかしてくれよ。あいつ近接戦強すぎじゃねぇか?」


 あのドラゴンとはアルの事だろう。


「お前、そんなすごいのか?」


 俺は一緒に昼食を摂っているアルに聞く。


「我は魔法も物理も最強じゃ。最強のはずのはずだったのじゃが、どちらもお主に勝てる気がしないのじゃ。それにそこのレオンハルトとやら、数年後には我より近接戦闘は強くなっているかも知れないのぉ?もちろん剣術だけなら我の方が弱いが格闘術は我の方が上なのじゃ。それに比べ、このディアナと言う獣人、なかなかやるのじゃ。まだ力を隠しているようじゃった。格闘術はレオンハルト殿よりディアナ殿の方が上じゃろうな!」


 長々とした感想を頂いた。キラキラした目で感想を述べている。話す度にレントとディアナを指さしながら話しているが、レントは呆れ顔、ディアナは少し嬉しそうな顔をしている。


「まぁ、たしかにアルの言う通り、レントもディアナも強いが、シルフィードの魔法はどうだった?」


「このエルフもすごいのじゃ。特に風魔法は格別であった。よくこんなにすごいものが近くにおるのぉ。羨ましいのじゃ」


「そりゃどーも」


「お褒めに預かり光栄です」


 俺は多分、魔法でも物理でもアルに勝つことができるはずだ。あ、戦争にこいつ連れていこうかな?いや、すぐ終わっちゃいそうでつまらんからやめよう。


「ご馳走様」


 雑談もしながらご飯を食べていた俺はいち早くご飯を食べ終え、食堂を後にする。目指すは父上の執務室。


 何をしに行くかって?まぁ、父上との会話を聞いていればわかるはずだ。


 コンコンコン


「リュークハルトです」


「入れ」


「失礼致します」


 父上の返事とともに失礼しますと添え部屋に入る。相変わらず1人で作業、というか書類を読んでいる。


「して、何の用だ?話なら先程終えただろう?」


「はい、叙爵されましたので家名を改めようと考えているのですが、どのタイミングで改めるのが良いでしょうか?」


 なぜ叙爵のタイミングで家名を改める必要があるのか。そもそも家名とはその家を象徴するものだ。そして、皇族である俺が叙されて貴族になった以上、貴族として臣籍降下する事になる。俺は別にスタークを名乗っても構わないが、子孫たちは皇族と同じ家名など恐れ多いものがほとんどだと思うし、逆にそれを悪用されちゃ困る。だから家名を改める必要があるのだ。


「……そうだったな。家名を改めるタイミングは、王国との戦争にケリをつけた後、伯爵に陞爵させる話はしただろう?」


「はい」


 帰ってきてから話をした時に陞爵の話はあったが伯爵にするという話はなかった。それに父上から言ってこなかったことから考えるに家名を改めることを忘れていたか、変えさせるつもりがなかったかの2択に絞れるが、反応的に忘れていたんだろう。


「その時に発表するとしよう。家名は自分で考えておくように」


「はっ。分かりました」


「話はそれだけか?」


「はい」


「なら、よいぞ」


「失礼致します」


 それだけ話して、俺はまた父上の執務室を離れた。


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