第7話 兄弟

 ――数日後


『なあアイ。魔力操作は拙いながらできるようになってきたけどさ、魔法の才能のどの属性がこの魔力操作の才能と直結してるんだ?』

『魔力の感知、操作は無属性の才能の値が関係しています。つまり無属性の才能値が1番重要と言うことですね』


 つまり、アイが言いたいことは、無属性の才能値が低かったら魔力操作の練習にかける時間が多すぎて、魔法の練習が出来ないということだろう。


『それだけではありません』と、アイが続けて、


 例えば主人マスターのように才能値にSやAの値があったとしても、無属性の才能値がFだった場合は――


 ――ッ。魔法の才能がFだと、そもそも扱うことすら出来ない。つまり魔力操作が全く出来ないから魔法自体使えない?


『そういうことです。主人マスターは無属性の才能値がSで良かったですね』


 いやはや、ほんとに良かったよ。うん。


 ◇


 アイとの魔力操作の練習や、この世界のことについて聞いたりして、2年の月日がたった。


 あとは、前世の記憶があって、今も意識がちゃんとしてるせいで良くないこともあった。


 例えば、生まれたあとは排泄物は城のメイドさんたちに処理されるし、気づかれない時は結構気持ち悪かったしで最悪な赤子時代を過ごしたよ。


 ◇


 とある城の一角


「ベルンにい様。どこにいくんですか?」

「ああ、リュートか。今から父上の所に行くところだよ。僕は来年から学園に通うからね」


 2歳児の俺はまだはっきりとは喋れないけど、その辺の2歳児よりかはちゃんと喋れてるはず。


 そしてベルンにい様とは、スターク帝国第1皇子、ベルンハルト・フォン・スターク。つまり俺たちのお兄様だ。ちなみに俺の実兄でもある。銀髪碧眼イケメンだ。


 ちなみにリュートというのはリュー・・・クハルの愛称だ。


「そっか、ベルンにい様はらいねん、6さいになるから、がくえんのしょとうぶに入学するんだよね?」

「そうだぞ。よくわかったな!偉い偉い!」


 そう言って俺の銀髪を、撫でる。


「あいつらのこと、頼んだぞ!」

「うん!まかせといて!」


 あいつらとは、俺を除く第2~第5皇子のジークハルト、レオンハルト、ラインハルトの事だ。


 特にレオンハルトはものすごくヤンチャな奴。あとちょっと、生意気。



「クリアーダさーん!いるー?」


 ダダダダダダ

 ものすごい足音が聞こえてくる。


「お呼びですかっ!?リュークハルト殿下!」

「うん、およびだけどさぁ、ながくない?そのなまえ。リュートってよんでよ」

「い、いえ!殿下をそのようにお呼びする訳には!」

「……さいですか」

 俺が呼んだのはクリアーダさん。茶髪で明るい雰囲気を放っている御歳10才のメイドさんだ。


 俺とレオンハルトはよく兵士たちの訓練場とかに行くから残った、ジークハルトとラインハルトの面倒をよく見ている。あの二人は基本的に部屋で、勉強してることが多いからな。2人とも才能あるのに勿体ない。まあ、内政とかの才能の方があるけど。


「ベルンにい様が父上のところにいっちゃったから、みんなのめんどうをみるようにいわれたの。だから、ジークたちのほう、まかせてもいい?」

「はい!わかりました!任せてください!」


 ジークとはジークハルトの愛称だ。


「リュークハルト様は2歳なのに言葉遣いや佇まいが立派よねぇ」

「そうですねぇ。舌の回りはまだ幼いけれど立派よねぇ」

「今の代の皇子様たちは、みんな私たちメイドに優しいわよねぇ」

「ええ、そうですねぇ」


 近くにいた、もう成人して、立派なメイドさん2人が話しているのが聞こえた。恥ずかしいが悪い気はしないな。


「そんじゃ頼んだよクリアーダさん!」

「はい!」



「レオンー、いるかー?」

「…あにき、オレもアニキみたいな、よびかたほしい」

「よびかた?」

「うん、ふつうならアニキはリュークでも良いのに、なんでわざわざリュートってよぶようにみんなにいったんだ?」


 確かに俺の愛称は普通に考えればリュークがだとうだが、前世の名前結構気に入ってたし、なんか今世でもリュートでいけそうだったからそう呼んでもらうようにしただけだしなぁ。


「そんじゃあー、えーーーっとーーー」

「……」

「レントはどうだ?」

「…… ハルってことか」

「そーゆーこと。そんじゃくんれんじょういくよ」

「うん」




「はっ!ふっ!やぁ!」

「うおぉ!てりゃ!」


 訓練場では今、兵士たちが模擬戦をしている。


「いまのいけた」

「まあ、やってるひとたちにしかわからないこともあるんじゃね?」


 レオン改めてレントの独り言に反応してしまった。


「いや、でも今のはうしろにステップするよりまえにいって、ふところにはいるのがいちばんいい手だったはず」

「あの人もいろいろとかんがえてるんだろようよ。それに、才能がちがう。俺たちがみえてるけしきがすべてのにんげんにみえてるわけじゃない」


 そうだ。レントは武術の才能が高すぎる。故に凡達の考え方が理解できないらしい。


「そこまで見えてるとは、殿下たちは将来が楽しみですなぁ」


 そう言って後ろから現れたのは――


「アルギメイン」

「おいレント。よびすてはよくないだろ」

 小声で注意しとく。

「アルギメインたいしょう。きょうもおじゃまする」


 彼はアルギメイン大将。この帝都の騎士、兵士の全てを束ねる軍のトップだ。年は40程で筋肉隆々なのが特徴だ。あと少しダンディーな感じ。剣、槍の才能がA.Bと高い。統率もAと武に関しては最強クラスだ。これが、帝国最強とも言われる所以だ。


「ええ、構いませんよ。殿下たちのような方々に見ていただけると、兵士たちもやる気をだしますからね」

「そうですか。ではこんごもえんりょなく」

「ええ、そうしてください」


 そうして模擬戦が終わるまでずっと訓練場にいた。


 ◇


「クリアーダ。これ、なんてよむの?」

「はい、これはですね―――」


 お城のどこかのお部屋。そこには金髪と銀髪の男の子が1人ずつ、茶髪でメイド服を着た女の子が1人いた。


 金髪の男の子の名はジークハルト・フォン・スターク。銀髪の男の子の名はラインハルト・フォン・スターク。


 クリアーダは内心思っていた。

 この子達本当に2歳児!?リュークハルト様はもう文字は読めるし、この御二方に関しては現在、文字を教えてる途中だけど、覚える速さ半端ないし!


 文字の勉強を終えたラインハルト、ジークハルトのふたりは何をするか2人で話し合っていた。結果――


 ――これは……すごいわ。リュークハルト様がお城のお抱え職人に作らせた「ツミキ」。小さい頃からこういうもので遊ぶことで、想像力が鍛えられるし、なかなかに合理的……。こんなものを考えるリュークハルト様も大概だけど、それを使いこなして――


 そこには積み木だけでお城を作って満足した後に眠っているラインハルトとジークハルトの姿があった。


 この御二方も大概だわ……。


 ◇

 あとがき


 リュートは既にベルンにいさまのステータス見てます。

 ◇


 名前:ベルンハルト・フォン・スターク

 年齢:5

 種族:人族

 称号:スターク帝国第1皇子


 武術

  剣術 A

  槍術 B

  弓術 B

  体術 B


 魔法

  火 A

  水 B

  風 B

  土 B

  光 B

  闇 B

  時 B

 空間 B

  無 B

 錬金 F


 生産

  錬金 B

  鍛治 B


 資質

  統率 A

  武勇 B

  政治 B

  知略 B

 ◇


 このまま順当に育てばトップクラスの能力を得ることが出来ます。

 あと、才能値がBとかAのキャラ多いですけど、この量は異常だと考えて貰えるとありがたいです。リュートが鑑定してる人物のステータスが高いだけで、みんながみんなこんなに高い訳では無いです。


 因みに、この4人の皇子についてるメイドはクリアーダだけでなく他に3人いて、1人に1人ついてる形です。クリアーダはリュートの専属メイドです。今回はたまたま他の3人がいなかっただけですね。

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