第119話 米が食べたい
「こちらから失礼致します」
セドリックに案内され、おそらく客人用の食卓?に通された俺たちの前に出てきたのはたくさんの卵料理……と鶏肉。これはレッカー鳥の卵と肉だ。
宮廷魔法士の仕事として行った、王国との戦争。その際に捕獲したレッカー鳥の卵だ。レッカー鳥の養殖に成功し、今では100を超えるレッカー鳥を飼育している。
もちろん、城の敷地で飼育すると鳴き声がうるさいので、郊外での飼育となっているが。
そのおかげで帝都には卵が安価で流通し始めた。最近では、レッカー鳥を各街に輸送して、そこで養殖をし、その街でも卵が安価で流通するなんてことも起きている。
「うめぇな!」
「美味しいですね。申し訳ないですが、我が国の宮廷料理人にはおとりますが、確かな腕ですね」
「まぁ、最近は兄さんのおかげで色々な食べ物が食べれるから」
レントたちが好き勝手に感想を言うのを尻目に俺も1口いただく。ちなみに俺が食べるのはオムレツだ。レシピは俺が教えた。
「うん。うめぇな。ジークの言う通り、確かな腕だ。うちの国の奴と甲乙つけがたい」
「あはは!リュートくんは美味しいのが食べれればそれだけで満足だもんねー」
そう。美味けりゃいいんだよ。ジークの言う帝国の方が上だとかは、多分個人差の域を出ない。この味付けの方が好きなやつもいれば、違うやつもいる。それだけだ。
「うん、この唐揚げって言うのも美味しいね。確か帝国に帰った時も出てきたけど、リュートが開発したんだっけ?」
「ええ、まぁ」
揚げ物なんて、油を使うから高価なんて思われるかもしれないが、この世界の魔物に、食用油を抽出できる魔物がいる。つい最近食用油を抽出できると知ったのだが、どうやら、聖王国にもその情報が届いていたらしく、キッチンにはかなりの量の油があった。
「
そして、俺はオレンジの見た目をしたモノを渡す。
「お、ありがとー!気が利くねぇ!」
そう言って
俺が渡したのはジトーナの実。見た目は完全にみかんなのだが、味はレモンなのだ。この実を初めて見た時、そのまま向いて食べたらめちゃめちゃ酸っぱかった思い出がある。
そして、なんというか卵があるとやはり
「シャル、和の国の商人と交易を開始したんだろ?その人が来たら1度話がしたいから紹介を頼めるか?」
「?別にいいけど、多分来るのは半年後、その次に来るのがその半年後だから……リュートくんが欲しいものが届くまで1年位かかるわね」
わお。TKGが1年間お預けだと?米さえあれば食の幅が広がると言うのに……!
「ならば手紙を送るしかないか。シャル、その商人の名前は聞いているか?」
「え、えぇ。名前は聞いているけれど、会社名とかは聞いていないわ。だって和の国と交易するのなんて彼がいた会社とだけだもの。それに彼のところもおそらくこの国で私としか交易はしていないはずだわ。だから聞かなかったの」
「そうか。それもそうだな。じゃあ、その人が来たら1度会わせてくれ」
「わかったわ」
よし。これで1年後にはTKGが食える。この7年間米を食べなかったんだ。あと1年くらい楽勝だ。
「リュート、和の国に何か欲しいものでもあるんですか?」
「あぁ。和の国に米と言うものがあってな。なんでも、とても美味しいらしいから1度食べてみたくてな」
らしい、と言ったのは転生してから1度も米を食べていないから。美味しいなんて断言したらどこで食べたのか?とか言われそうで嫌だからな。こういう誤魔化しができるように図書館に通っていたのだ。
「殿下が食べたいという米、食べてみたいッスねぇ」
「リュークハルト様のおすすめするものにハズレはありませんしね」
どうやらディアナとシルフィードも米が食べたいらしい。それに賛同するようにライト、ジーク、レントも首を縦に振る。
「まぁ食べるなら1年後だ。それまで我慢しような。それに、それより今は保管庫の調査が先だ。食い終わったなら行こうぜ」
「そうですね」
「兄さんが言うまで忘れてましたよ」
「そうだな!行くとするか!」
「ウチらは多分やることないっスねぇ」
「私たちは殿下の護衛ですから」
みんなご飯を食べ終えたということで、もう一度保管庫の方へ向かうのだった。
◇
※あとがき
昨日は投稿できずごめんなさい。学校のテストがあるので、来週の土曜日まで、更新できない日があるがしれません。ご了承ください。23.10/18
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます