第104話 恐怖外交
「初めまして、クソ魔王サマ?永遠に殺されるのと帝国の下につくの、どちらが良い?選ばせてやる」
「プッ、クククッ、流石じゃ」
何故かアルに褒められてしまったが、魔王はその場で直立したまま動かない。
「……永遠に殺されるとはどういうことだ?」
ために溜め込んだ魔王のセリフはまさかの疑問形。
「どういうことって、お前がいちばん知っているだろ。魔王は死ぬと、その瞬間、いちばん魔法の素養がある魔族が魔王となる。そして、その魔王には前任の記憶が宿る。つまり殺されても他の体からもう一度魔王をやることができる。そうだろ?」
「ちっ、だからなんだ?」
魔王はアルを睨みながら言う。おそらくアルが俺にこのことをばらしたのだと気づいたのだろう。
「今からお前を殺す。するとどうだ?新たな魔族が魔王となり、お前の記憶を引き継ぐ。そしてその者をもう一度殺す。これを繰り返すだけだ」
「た、たとえ魔王が代替わりしても、貴様はすぐに新たな魔王を探せるのか!?」
魔王は必死に生き残る道を探しているようだ。
「ああ、もちろん」
俺はそう言いながら自分の目を指さす。
◇
名前:アクティナス・ハインツェ
年齢:12
種族:魔王
称号:魔王
武術
剣術 C
槍術 C
弓術 C
体術 B
魔法
火 B
水 B
風 B-
土 B
光 C
闇 A
時 E
空間 B
氷 C
雷 F
無 B
錬金 F
生産
錬金 B
鍛治 C
資質
統率 A
武勇 B+
政治 C
知略 D+
◇
魔王という称号はおそらく、俺の魔帝と同じように魔法系の称号がまとめられたものだろう。
「アクティナス・ハインツェ。歳は12か。種族称号共に魔王。武術系は人族よりは強いか。魔法に関してはピカイチだな。魔王史上最高の身体なんじゃないか?魔王らしく統率武勇が高いが、政治と知略が低いな。まぁ、バカそうだしそんなもんか」
「なっ、何故それを……」
「言ったろ?視えるんだよ、人の情報が。お前はもう俺からは逃げられない」
◇
種族:魔王
魔族の中で最も優れたもののみがなれる種族。そして魔王の称号がある魔族にのみなる権利がある。歴代の魔王たちの記憶を持つ。魔王の称号を持魔族がいない状態で魔王が死ぬとその時1番実力のある魔族が魔王となる。
◇
◇
称号:魔王
魔法系称号が全て王位以上になった際、まとめられる。魔王の称号を持っている者が時代の魔王になる権利を有する。
◇
アルから聞いた話だと素養がある魔族が魔王になるはずなのだが、魔王の称号を持っていなければなれないのか。つまりは素養があり、ある程度実力があるものが魔王にれるということか。
俺は円卓の上に乗る。
魔王幹部が10人程度周りを囲みながら座っている中、俺は魔王の元へ円卓の上を歩きながら進む。かなり無礼で行儀が悪いが、演出のためだ。
「それで?どうするんだ?帝国の下に着くか、俺に一生殺されるか。……あぁ、一生殺すと言うのは語弊がある。俺が魔王を殺し続けるといつか魔族そのものが滅びちまうかもなァ?」
魔王の前に来た俺は胸ぐらを掴みながら魔王に挑発する。
――ガシッ
「それ以上魔王様に近づくな」
「……ハルリオン、だっけか?俺が魔王を殺し続けたらいつか君が魔王になる日が来るかもね。ああ、その時は君も殺しちまうがなぁ?」
ハルリオンが俺の腕を掴みかかり、制止するが、ハルリオンにさえも挑発をする。てか、ハルリオンの方がよっぽど見た目が魔王らしいんだよなぁ。白い直毛の長髪に真っ白い肌。赤い目に黒く強そうな一対のツノ。
「……け、決闘だ。負けた方が勝った方の言うことを一つだけ聞く。のるか?人間よ」
自分の方が強いと思っているのか、決闘を申し込んできた。
「あぁ、いいじゃないか。ただし、一つだけとかダサいことすんじゃねぇよ。何個でも、負けた方は何個でも勝った方の言うことを聞くんだよ」
「いいじゃないか。僕の強さを見せてやろう。アーロンに乗り移った僕と同じにされちゃ困るよ」
ああ、そうだった。
「その前に忘れちゃいけねぇ事があったな。お前、うちの国のもん殺しただろ?当然、許されることじゃねぇよな?」
「それを言うなら貴様こそ、我が四魔天が1人アーロンをてにかけたではないか」
「先に手を出したのはてめぇ……いや、いいや。その分も含めて決闘だな」
アーロンに乗り移った魔王殺したのは間違いだったか。
「いいだろう。では移動しようではないか」
クラッ。
魔王がそう言うと、立ちくらみのようなものがした。次の瞬間、目の前の光景がガラリと変わった。
「魔王様ーー!!」
「うぉぉぉぉ!」
「きたぁぁぁぁぁ!!」
困惑しているのを悟られないよう、目だけを動かし、状況を確認する。
場所はおそらく闘技場のようなところ。観客が大勢いるな。元々この状態に持ち込む予定だったのか。使ったのは空間魔法の転移。俺の後ろにはアル、スーナーさん含めた使節団。目の前には魔王とその幹部たち。あの空間にいた全員をここに飛ばしたのか。すげえな。
「粋なことしてくれるねぇ。アル」
「了解したのじゃ」
アルの名前を呼んだだけで、理解してくれたのか、使節団の全員を後ろに下げ、観客席の方へ連れていってくれる。
「なかなかすごいだろ?僕の魔法。自信しかないよ」
「そうか。でもその程度じゃ俺の足元にも及ばんな。んで?決闘だっけ?そっちは魔王さん1人だけでいいのかよ?つまんねぇ戦いになりそうだが」
正直相手が全員かかってきても余裕で勝てると思う。むしろその方がいい。アルがいるとはいえ、あの幹部たちが一気に使節団の方に詰め寄って人質のされるよりははるかにマシだ。
「僕にもメンツというものがあってね、国民の前で下手なことはできないのだよ」
「まぁ、そりゃそうだな。全員でかかって負けるよりも1人だけで勇敢に立ち向かって負けた方がかっこいいもんな?うんうん。わかるよ」
「貴様……」
そう言いながら魔王は
しかし……
「おいおい、始まってもないのにもう攻撃かよ?」
「馬鹿な……全てを飲み込む
魔王渾身の
「お前の魔法じゃ俺の魔道具を打ち破ることすらできない。さぁ、どこからでもかかってこい。勝負開始だ」
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