第96話 戦力アップ
「精霊王?本当に何するんだ?アニキ」
リタを召喚した俺にレントが問う。
「レント、お前には精霊契約してもらう」
そう。レントには戦力アップのため、精霊と契約して欲しいのだ。
「精霊と契約ぅ?んなもん必要ないだろ」
「いーや、必要だね。考えても見ろ。今度の聖王国への訪問の際、襲撃なんてされたらたまったもんじゃないしな」
「聖王国からの襲撃か?あんな国から襲撃されても大した力を持ってないだろ」
あぁ。こいつ理解してないらしい。聖王国へは、ライトとジークも帯同する。襲撃者が現れるとすれば、王国の手のものか、普通の賊か。
聖王国から刺客なんて来るわけが無い。義姉さんが嫁ぐ予定出しな。そして襲撃があった際、レントなら、自分一人くらい何とかなるかもしれないが、ライトとジーク2人とも殺されてしまった場合、俺かレントが次代の皇帝になるのだ。そのことを伝えると、
「そうだな、よし!契約しよう、精霊!」
「現金なヤツだな。それで、契約する精霊の属性は?」
「んなもんわかんねぇよ。どーやって決めるもんなんだ?」
こいつ、本当に面倒くさがるな。
「まぁ、お前の場合、火の上位精霊か、水の上位精霊だろうな」
「……その心は?」
「お前の得意分野である火属性を強化するか、その弱点である水属性を加えるか」
仮に、敵が水魔法使いだったら、レントの火魔法は相性が悪い。しかし、水の上位精霊が味方すれば、相手が水属性だろうと、負けはしない。
精霊憑依すれば、レント自身、水属性を使えるようになるだろうし。
しかし、レントの答えは
「じゃあ、火の上位精霊だな」
「だろうな。その心は?」
「相手が水属性を使ってこようと、それを蒸発させるくらい強い火属性の魔法を使えばいいだけだろ?」
あぁ、脳筋だな。ゴリ押しタイプだ。
「なるほどな。それじゃあ、リタ。頼む」
「はい!」
元気よく返事したリタは転移を使った。
「お、おい、アニキ。あいつどこいったんだ?」
「火の上位精霊を呼びに行ったよ」
そう。リタは精霊界にいる、火の上位精霊、サラマンダを呼びに行ってくれた。
「なぁ、オレの記憶が正しければ、精霊とか悪魔って召喚魔法を使って呼び出して、契約するんじゃなかったか?」
「あぁ、その記憶はあってるよ。でもリタは精霊王だ。上位精霊を直接呼び出して、直接の交渉する場を設けるくらいの力はある」
そう、このやり方はリタがいてこその方法だ。
「なるほどな。それじゃあ、来るまで待つか」
「そうだな」
◇
そして、待つこと数分。その時は来た。
異様な圧を感じると、俺たちの目の前にリタ、そして、炎を纏ったドラゴンが現れた。
「な、なぁ、アニキ。オレの想像では火の上位精霊も精霊王みたいに人型だと思ってたんだが、ドラゴンなのか?」
「さぁ。俺も人型だと思っていた」
俺たちは上を向き、ドラゴンの顔を見ながら話す。
「ちょっと!早く変身しなさい!」
『わ、悪い!』
リタが怒りながら言うと、ドラゴンは謝った。
……てか、その状態で喋れるんだ。
そしてドラゴンが発光したかと思うと、目の前には民族衣装のような物を来た男が現れた。
そして、アル同様、ドラゴンのしっぽが生えている。さらにアルとは違う部分として、2本の角が生えている。
「いや、上裸かよ」
レントのツッコミだ。厳密には上裸ではなく、上にスタイのようなモノをつけている。首にはいかにも民族衣装と言ったような貝で出来たネックレスをつけている。
「なんか、嫌だな。変えることはできないのか?その姿を」
レントは火の上位精霊の格好がいやらしい。
「服装か?姿を変えればいいのか?」
「服装だ、服装。ってか、姿も変えられるのか?」
「あぁ、もちろんだ。我は精霊だからな。見た目など仮の姿に過ぎん。主が所望なら女にもなれるぞ」
へぇ。そういえば前精霊王討伐の際、俺が見たやつの姿は筋骨隆々の男だったが、シュレイヒトさんは女とも、男ともとれるような中性的な顔立ちって言ってたな。気になってはいたが、簡単に変えられるのいいな。
「いや、まぁ、いいや。服装もそのままでいい。その方が楽なんだろ?」
「ははは!わかっているではないか!主よ!早速精霊契約をしようではないか!」
そう言いながら火の上位精霊は右手を出す。
なんというか、騒がしいやつが増えたという印象だ。
「そうだな」
レントはその右手を取り、握手をした。
「では、名前をつけて欲しい!」
「え?サラマンダが名前じゃないのか?」
うん。俺もそう思ったよ。
「そんなものは通称に過ぎん。主が考えた名前が欲しいのだ!」
「そうだな……。イフリート、なんでどうだ?御伽噺に出てくる火の魔人の名前だ」
「イフリート。良い名だ!」
それじゃあ、イフリートよろしく頼む。
「あぁ!主よ!」
「それじゃあ、とりあえず解散しようか。レントたちは2人で確認したいこともあるだろうし、色々とためしてみてくれ」
「おう!ありがとなアニキ!」
「どう致しまして。それじゃあ、リタ、俺たちはあっちで特訓しようか」
「はい!」
俺たちは俺たちで、レントたちはレントたちで、特訓したのだった。
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