第97話 色々な事実
レントとイフリートが契約してから数日後、俺の元に一通の手紙が届いた。
蝋封を見ると、帝国が発行しているものだった。
手紙の中身は父上からで、魔王―魔国―の元へ行くメンバーが決まったから、2日後に出発するから準備しておくようにとのとこだ。
ちなみに魔国は北の獣王国のさらに北にある国だ。この大国の最北端の国である。
「いつから行くことになったの?」
「明後日だとよ。ぱぱっと終わらせて帰ってくるか」
今日も今日とて、城までやってきていたシャルに答える。
「そっか~。最近色々と起きてるよねぇ」
「そうだな」
その色々の最初がシャルとの出会いである。シャルと出会い、婚約し、三頭賊を討伐。
その後は王国と戦争をし、精霊王と戦い、新任精霊王のリタと精霊契約を結び、魔帝なり魔人族に進化した。ここ最近ではシャルの誕生日があり、翌日の闘技大会に出場し、優勝。辺境伯にまでなった。
そして、魔王との会合。
全てこの半年以内に起きている事だ。さすがに出来事が集中しすぎている。
「この件が終わったら、当分は穏やかな日々を過ごしたいな」
「そうだね。そのためにも、頑張ってね」
「おう」
◇
―図書館
そして様々な事件がある中で、俺の知識が露呈した。
アイから得た知識をそのまま発したり、前世の知識を使うなりすると、周りからすごい目で見られるのだ。それを誤魔化す度につく嘘、それは「図書館で読んだ本に書いてあった」である。
その言い訳を疑われないようにするため、わざわざ城内にあるどデカい図書館に来ているのだ。
それにしてもここにはなんでもある。
漫画や、ゲームの攻略本など、前世にしかないようなものは置いてないが、各国の歴史の本や、法律系、心理学に哲学の本まで置いてある。
こうしてみると、今まで知らなかった情報などが手に入る。
例えば、今は友好のある、ツワイト皇国。一昔前は、どデカい戦争をしていたらしい。双方が疲弊しきっている時に王国の横槍などが入ったため、友好的にするしか無くなったのだが、今では普通に仲がいい。
こうしてツワイトと仲良くやれているのは王国のおかげなのかもしれない。
それに対し、エルフ国の情報は全然ない。唯一あるのはエルフ語を学ぶ用の本。最近はシルフィードからエルフ語を教えて貰っているので、エルフ語を本から学ぶことはないのだが、エルフ語でエルフの国の歴史などが、書かれていたりした。
まぁ、人族でエルフ語、獣人語を学ぼうとするやつなどいないから、平気なのだろうが、些か無防備では無いか、と思ってしまう。
獣人語などの本もあるが、こちらもディアナから教わっているので、必要ない。獣人語の本には獣王国の秘密などは書かれていなかった。
そして、エルフ語、獣人語ときて、日本語の本が置いてあった。
まぁ、勇者が持ってきた言語であるし、大戦前は付与魔法は漢字で行っていたらしいから、不思議でないのだ。
しかし、この本にはとても助けられている。
なぜなら、この本には漢字とその説明がひらがなで記されいる。この世界に来てはや7年。少し難しめの漢字はうろ覚えで、少し違和感のある形などになってしまうが、この本を探すと大抵、あるのだ、探している漢字が。
これは、この国の付与魔法士に平仮名の読みを教え、漢字で付与魔法をさせて方がいいのではなかろうか。なんて思ったりする。
そして、漢字が記されている本を見ると、『隠』という漢字が説明されているページを見つけた。
◇
隠(いん)
かくれる。みえなくなる。
◇
隠、ねぇ。ローブのあと二文字に《隠密》を付与するのもありかもしれないな。
◇
side: Leonhard Von Stark
今日、昼過ぎにオレの部屋に一通の手紙が届いた。親父からだろう。
中には聖王国遠征の日程が書かれていた。出発は3日後。アニキ達が2日後に出発する旨も書かれていた。
ジークの兄貴や、ライトにもこの手紙が届いているだろうが、あとは誰が帯同するのだろうか。
「魔力制御が乱れているぞッ!!」
「……くそっ」
つい、手紙な夢中になり、魔力制御が乱れる。
先日、イフリートと精霊契約したのだが、魔法の基礎だとか言って、魔力制御をやらされている。
この訓練をして初めて気がついたことがある。
アニキのやつ、四六時中、魔力を練っていやがるのだ。常に臨戦態勢と言ったところか。どこから襲撃されても魔法ですぐ対応できるよう、魔力制御を完璧にしている。
「主もわかるか。彼奴の異常性が」
「あぁ、魔力視を意識していると、アニキの異常性がわかるぜ」
「あのような異常者の魔力を与えられ、育った、精霊王は強い。我が100人で掛かっても勝てないだろうな」
「……そんなに強いのか?あの精霊」
初めて知ったぜ。
「主の義兄も手練だが、精霊王も遅れを取らぬほどであろう」
……ん?ちょっとまて。
「アニキって精霊王より強いのか?」
「強いであろうな。主と模擬戦をしている時は手加減をしているか、何かしらのハンデを自分に課しているはずだ。でなければあのような接戦は有り得ん」
それを聞いてオレは一目散に、アニキの元へと向かった。
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