第113話 残念な女
side:Ryukhardt von Stark
――数時間前
「リュークハルト様!わたくしは寂しいですわ!これから
魔国から帰ってきて1日のんびりするのもアリだったが、ここは自分を高めると言う意味で、ディアナとシルフィードと共に訓練場にいると、シャルを伴った、エレオノーラ嬢がやってきた。
「これはこれは、エレオノーラ嬢。久しぶりだな。ライトに3日会わないだけでこれとは……。それで、俺は何をすればいいんだ?」
「ライト様の所へ連れて行って欲しいですわ!」
ビビっと俺の方を指さしながらドヤ顔で言うエレオノーラ。なんて言うか、多分ライトはこういうところが好きなんだろうな。顔はいいんだけど、残念なところとか。
「え、やだよ。てかあんたの父親に許可とったのか?そこからだろ」
「許可など、既に貰っていますわ!」
「リュートくんの承諾が条件だけどねっ」
「シャル~ッッ!!」
へぇ~用意周到じゃんとか思ったけど、シャルにばらされちゃったのか。
「あ、ちなみに私もお父さんに許可は貰ってるわ。聖王国、行ってみたかったのよ」
なんと。シャルまでも許可を既に得ているらしい。スーナーさん、許可出すなよ。何してんねん。
「でも、それも俺の承諾が必要なんだろ?」
「それもそうだけど……、リュートくん私のお願い断るの?」
俺の胸へもたれ掛かり、上目遣いで言うシャル。
「あぁ、断る。俺はシャルと2人きりの時間が欲しいのだが、シャルはそうではないらしいなぁ?」
「うっ、、それを言われると私も行きたく無くなるわね……」
「冗談だ。行こうか、聖王国」
そう言いながらシャルの頭を撫でる。
「「やったぁぁぁ!」」
「それじゃあ、準備してくれ。すぐに向かうぞ。それと……ディアナとシルフィード!準備してくれ!2人にも来て欲しい!」
「はいッス!」
「了解しました」
数分後、訓練場では俺の承諾が降りるのを予想していたのかシャルとエレオノーラ嬢は支度を済ませていたらしく、準備万端といった感じで待機していた。
そのさらに数分後、シルフィードとディアナが身支度を終えたのか、こちらへ走ってやってきた。俺の方も既に準備はできているし、父上からの許可も降りた。なんと、スーナーさんから先に話があったらしい。有能だ。
さらにさらに今回は特別ゲストとしてアルとヴォルにも来てもらってまーす。
この中で箒を自力で運転出来ないのはディアナ、シャル、エレオノーラ。出来るのが俺、アル、シルフィード。
ということは、シルフィード・ディアナペア、俺・シャルペア、アル・エレオノーラペア。
そもそも自力で空を飛べるアルは箒に乗ることに対して不満があったが、渋々了承してもらった。ヴォルは俺と一緒に行くらしい。
ヴォルに、俺とアル、どちらと行きたいかアルが聞いていたが、普通に俺の方へやってきて、アルから殺意の籠った視線を感じたとだけ言っておく。
「それじゃあ、エレオノーラが待ちきれないみたいなので、飛ばして行こうか。ビブリアは東の方にあるから東へ向かう」
箒を操作しやすいよう、俺はシャルの後ろに乗り、抱きしめるようにしてシャルが落ちないようにする。さらにそのシャルがヴォルを抱える。
今回俺が使う箒は新しく作った箒だ。前まで使っていたのはシュレイヒトさんにあげたので新しく作ったのだ。
そして、今まで不便に感じていた部分、足の置き場がない、ということで、前方に足置き場を設置したので、その勢いで椅子も追加したのだ。快適さを追求してしまった。
ちなみに、ほかの全員は箒に直乗り……の予定だったが、痛いと苦情が入ったので、クッションを渡しておいた。え?魔国に行った時はみんな直乗りだっただろ?彼らは特別な訓練を受けているからな。官僚達は俺に逆らうと落とされると思って何も言わなかったらしいが。
そんなことを思いながら進むこと数時間。
「え、あれじゃね?全然進んでないじゃん」
「まぁ。まだ3日だしね~。それに馬車だし」
「キュゥゥン!」
馬車はこんなに遅いのか。まだここ帝国領だぞ?
「それに、荷を引く馬を休ませる必要があるからこまめに休憩を取るのよ」
急に俺たちの話に入ってきたエレオノーラ。当然俺はシカトする。
「って、少し前にいるのオークの群れじゃない?」
街道にオークや魔物が出てくるのは珍しい。
「結構いるな。よしっ、飛ばすぞ!」
「キャッ」
アルとシルフィードを待たず、勝手に速度をあげる俺。それに驚いたのか、シャルが声を上げるが、特に喚く訳でもない。
「危ないからシャルはここにいて」
行軍していた集団の最後列にシャルを下ろして箒を手放し普通に飛んで前方を目指す。
――スタッ
「おいおい、美味そうな肉持ってんなぁ?大人しく俺に食われろ!」
俺は最前列にいたオーク達を氷漬けにする。
そしてそのまま異空間収納行き。
――ドン!
しかし、その直後、後ろで馬車が止まり、中にいた人間たちが内部で転がり鈍い音がする。
「ひ、お、オーク!」
「なぜ魔物がこんなところに!」
「ひ、ヒィ!?」
ビビった御者達が声を上げる。そして
――バン!
勢いよくどこかの馬車の扉がひらき……
「オークの群れ……とアニキ!?」
「ん?あぁ、レント。久しぶり」
後ろを振り向くと、オークの討伐のため出てきたであろうレントとばったり合った。
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