第23話

真ん中の通路に戻り辺りを見渡す。地図上ではこの辺に右に入る通路があるはずなのに何も見当たらない。


仕方なく2階に向かおうとした時

≪主≫

≪白狐かどうした?≫

≪主、ここの右に隠し通路がございます。見えないようであれば案内いたします≫

≪白狐、お願い出来る≫

≪かしこまりました。こちらです≫


アルネにここで待っていて欲しいと伝える、カーリとリーンハル、ルーニーはすでに通路の先に行ってしまっていた。

白狐に付いて隠し通路に入るアルネが驚きのあまり声を失っている。


それもそうだろうと思う。だって人の体が、壁の中に吸い込まれていくように見えたはず。

通路を少し進むと小さな部屋があった。その部屋には炎を纏うスライムが1匹いる、思わずスライムに話しかける。

「君はここのスライムで良いのかな?」


ピーピー「久しく人が来なかった。良くこの場所がわかったな」


「まあね。僕はリオン、君の名前を聞いても良いかい?」


ピーー「名前等無い」


「ねえ、君をテイムしても良いかい?」


ピーピー「私を倒してからにしてもらおう。自分より弱い者に従う気持ちはない」


「わかった。行くよ」


炎のスライムが炎を飛ばす。通常のファイアーボールの2倍近い威力がある。


アイスシールドを張り炎を押さえソイルラビリンスを放ちスライムを倒す。


核を傷つけないように注意をしたが大丈夫そうだ。


ピー「ふう、私の負けだ。お前のテイムに応じよう」


炎のスライムに近付きテイムを行う。


属性 スライム 炎 限定種

レベル7 評価Cランク

最大HP2000

最大MP3000

耐性5/C

俊敏9/D

胆力6/D

知力3/C


魔法属性  火魔法 光魔法


「よし、君に名前をつけよう。今日からフルだよろしくね」


ピー「所で主、すまないが少し休ませてもらっても良いか?体を回復したい」


「かまわないよ。外に仲間がいる。後で紹介しよう」


フルを肩に乗せ通路を出る。隠し通路のが解放されたようでアルネがこっちを見ていた。 「アルネただいま」


「お帰り、リオン・・・・その肩に乗ってるは何?」


「今テイムしたスライム。特異体質で、炎の能力を持っている。おそらく1階層のフロアボスの可能性があるね」


「そ、そう。で、スライムは寝てるの?」


「体の修復に時間がかかるみたいだね、まあ、気にせず2階に行こう」


先に行っていたルーニーとリーンハルが戻って来ていて、覗き込むようにフルを見ていた。


2階の地図を見るとゴブリン、ボブゴブリン、ゴブリンメイジが出るようだ。


2階はかなり広い作りでメイン通路が3本、そこにモンスター部屋が複数存在しているらしい。 通路にはモンスターは出ないようだ。


2階に上がる途中で、リーンハルから魔法を使うタイミング等何かを聞かれた。


一応 リーンハルが魔法使い。ルーニーが戦士を目指しているらしい。


リーンハルとルーニーの申し出を聞いてアルネに聞く 「アルネはどう思う?」


「リオン、私に聞くのは違うと思うけど」


「だって僕の魔法の先生だし、一応伺いをたてないといけないと思ったけど、だめ?」


「リオン、リーンハルとルーニーは貴方に聞いてるのよ、自分の言葉できちんと答えなさい」


「わかりました」やっぱり駄目だよね。


「リーンハル、魔法を使うタイミングの前に、確認しておきたい。魔法を使う時の弱点はわかるかな?」


リーンハルが少し考え「属性が合わない、詠唱が長いですか?」


「ルーニーにも聞いて良いかい?」


「私ですか? 正直考えた事がなかったです」


まあ、普通に考えればそうだろう、けして間違いだとは思わないけど実戦を行う前で良かったかもしれない。


「僕が思う魔法の弱点は、魔法を発動する前に攻撃を受けたら何も出来なくなることかな。

このダンジョンの低層だと問題は無いと思うけど。上層階に行くに連れて魔法を使うタイミングや速度、正確さは常に求められる。


パーティーを組んでいれば問題無いとは言えない。モンスターも強力になるし、複数のモンスターが同時に攻めてきた時、前衛がやられて怪我なんかした時、魔法使いとして何が出来るか、考える必要が有ると思う」


リーンハルとルーニーがうなずきながら話を聞いている。

「じゃあ、逆に魔法の良いところはどんな所かな?リーンハル?」


「う~ん。遠距離から攻撃、物理攻撃が効かない相手の対処、等かな」


「ルーニーはどう?」


「私が思うのは、身体強化なんかの補助かな、それが出来ればかなり違うと思います」


この2人を育てるには基礎からやり直しだろうな。

「質問の答えはおいおい分かって来ると思うけど、2人に先ず覚えてもらうのは魔力のコントロールの仕方。

魔法を使う使わないにかかわらずこれは覚えておいた方がいい」


「2人はやったこと有る?」


リーンハルが「すみません。魔力をコントロールするってそんなことが出来るのですか? 私達、冒険者学校では魔力はコントロールは出来ないと教わったんですが?」


「冒険者学校ってなに?」僕は初めて聞いた学校に驚きを覚える。リーンハルとルーニーは冒険者学校を知らない事に驚きを覚えいた。


そんな僕を見てカーリが教えてくれた

「冒険者学校って辺境都市にある、冒険者を育成する学校か有るの。

昔、冒険者だった人や魔法使いだった人が辞めて路頭に迷わないようにライズが作ったのよ、ただレベルが低いのよね」


「それが問題よね、私とカーリもその学校で出会ったけど、実際に自分達で冒険してみて随分苦労したのよ」


アルネの眉間にしわがよっている。本当にレベルが低いらしい。


「そうか。知らないことだらけだね」 僕がうなずきながらそう呟く。


「冒険者学校に行ったことが無いのに何故こんなに強いのですか?」リーンハルとルーニーが不思議そうに見てくる。


そんな事言われても・・・・?

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