第82話
前日 ダリアさんと散々飲んだ事もあり軽く二日酔いになった。僕の二日酔いを嘲笑うかのような綺麗な朝焼け。
拠点近くの空き地に来てフルをおろす。すると元気に食事を始める。お酒を飲まないスライムのフルが今日は羨ましい。
それにしてもはヒューズ ホォン ビルルマの護衛と首都アラドのギルドと何の関係が有るのだろう。マリエラにいるので有れば領主のライズからの依頼なら分かる。もしかして全く別のトラブルだろうか?
今は面倒事はごめんだな。
フルの食事が終わり、僕はゆっくり体を動かしはじめて、体術のトレーニングを行いその日の練習を終了した。
モンスターと違う、独特の空気を感じて気持ちがざわつく。まるで戦争でも起きるのではと思わせるそんな空気が漂っている。
部屋に戻ると珍しくみんな起きて、鎧をつけ警戒している。刀と小太刀を取り外に出ると伝え、アルネにみんなを連れてライズの屋敷に行くように伝える。
「リオンはどうするの?」
「僕はハマイルさんのお店とギルドを見てくる。みんなはライズの警護を頼む」
「了解、じゃあ、待ち合わせはライズの屋敷でね」
「分かった」アルネをしっかりと見る。アルネがみんなを連れて空間移動した。
マジックバックをつけ、マントを羽織り静かに階段を降りてハマイルさんのお店の前に来た。
人の気配は無いが複数の魔力を感じる。一瞬、四聖獣教団かと思ったが、隠れるわけでもなく僕の前に出てきた。
相変わらず気配を消している。
「こんな田舎に何のようだ。あんた達みたいな煌びやかな鎧をつけてるとやけに目立つよ」
1人の男が前に出てきた。
「すみません。朝早くから迷子を探してましてね」
「猫ならさっきギルドの方に行ったぞ。犬は飼い犬しかいないから犬じゃ無いだろう」
何処かの騎士団だろうか? 人数としては12人。強さはバラバラだ。
「すまないね。猫や犬じゃなくて人の子なんだよ」
「こんな朝早くに子供を探すのかい? この国じゃ、奴隷は連れて入れない。ルール違反でもしたのか?」
騎士の男が警戒を始める
「何で私達が奴隷を追ってると思うんだ?」左手を剣の柄にのせ片足を半歩前に出す。
「ただの感だよ。こんな朝早くに脱走するなんて奴隷か、よっぽどあんたらが嫌いなやつ以外にいないだろう」僕の後ろに騎士が来る。
僕が後ろを指差し「この馬鹿たれは殺しても問題無いのか?」
そう騎士の男に聞く。
「構わんよ。どのみち我々を見たやつは全員始末する予定だ」
「やっ」後ろから突いて来た騎士を、ねじるようにかわし、右の足を前に出すと居合い斬りで騎士の首を切り倒す。倒れた騎士の顔を見る僕と同じ位の年だろうか、騎士は上官次第。長く生き残る奴は運がいい。以前タイナーから聞いた事が有る。少しやるせない。
刀を振って血糊を落とし鞘におさめる。全身に魔闘気をためる。魔闘気をまとうと、身体強化よりも体を強化する事ができる。
話をしていた騎士に向かい飛び出し、一気に距離を縮めそのままの勢いのままに、騎士のお腹に強烈な右ストレートを入れる。
騎士の着ていた鎧が砕け、直接お腹に右ストレートが入った騎士が気を失い倒れる。多分死んではいないと思うけど。
魔闘気をまとわせた拳で残りの10人を倒す。1度部屋に戻りロープを持って戻ると2人1組にして後ろ手に2人の手首と足首を固定した。1人は完全に殺してしまい、もう1人の僕と話をしていた騎士は別で取り押さえた。
騒動を見ていた。食堂の女将さんが僕所に来て「リオンさん、怪我は無い?」
そう心配してくれた。
「僕は大丈夫です。それよりハマイルさんは大丈夫でしたか?」
女将さんがはっとして走って見に行く。ハマイルさんは別の従業員と一緒に隠れていて問題なかったらしい。
ハマイルさんが出てきた。
「リオン君大丈夫かい?」
「僕は問題ありません。ハマイルさん、出来れば早鳥で、ライズとタイナーに連絡を取ってもらえますか?」
「あ、ああ。分かった」ハマイルさんが慌て早鳥を取り出し飛ばした。丁度入れ違いでタイナーからの早鳥が着く。
「リオン君、今 飛行隊が向かっているらしい。後10分も有れば着くようだ」
「飛行隊ですか?不味いな。戦争か?」
「タイナーの話だとこの騎士団はガレシオン公国の正騎士団らしい。どうも先月位前から潜り混んでいたようだ」
「はあ~、胡散臭い事に巻き込まれるのか」
そうため息をついていると上空にワイバーンの叫び声が響いた。
飛行隊が到着したようだ。
アルムがワイバーンから降りてこっちに来た。
「リオンお手柄だ」
「姉さん、その慌て要はこいつら逃げだしたの?」
「恥ずかしいながらな」
「こいつら、誰かを探していたようだけど」
「それは追ってタイナーからリオン宛に依頼が入る」
「リオン。今回は協力して欲しい」アルムがいつになく真剣な表情になる。
「姉さん。姉さんの頼みなら何でも聞くよ。僕の唯一の姉弟だ」「後でタイナーに会いに行くと伝えてもらえるかな?」
「リオン。有り難う」
アルムが申し訳無さそうに謝ってくる「ごめんね、面倒なことに巻き込んで」
「何言ってるの。他でも無い僕の家族からの依頼だ。断らないよ」
アルムがハグしてくる。目が少し涙ぐんでいた。
「お前達、他に残党がいないか確認しろ。残りの飛行隊はこいつらを連れて行け」
アルムが仕事に戻るとてきぱきと指示を出し安全が確保された事を確認して帰って言った。
僕がハマイルさんにライズの所に行くと伝えてから1度ギルドに行く。
ギルドは何の損害もなかったようだ。中に入るとギルドマスターのタンザ オール さんと
ダリアさんが剣を構えて待機していた。
2人に解決したことを伝えるとほっとした顔をしている。
「僕はこのままライズ辺境伯の所に向かいます。何かあったら教えて下さい。いつでも戻って来ます」
「分かった。リオンも気をつけてな」タンザ オールが少し気の抜けた感じて言ってくる。
ライズの執務室に空間移動するとライズがアルネとルーニーに抱きついてメイド服を着て来て欲しいとわがままを言っていた。
「ライズおはよう。朝から元気だね」
僕が声をかけるとライズが顔を真っ赤にして隠れる。
「リオン、来たな。あのメイド服、私のは無いの?」ライズがアルネの後ろにかくれながら聞いて来た。
「すまないけど、僕が準備したモノじゃ無いからもう無いよ」
「ライズも同じ物が欲しい。リオン準備してぇ」何故か甘えて言って来る。
この人なら洋服屋に言えば直ぐに作れるだろう!何にこだわってるんだ。
「あの、ライズそれより大切な話しがあって今日きたんだけど?」
「む、そ。そうだっのか?」「で、なんだ」
完全に興味を失ったよねこの人。この人何を求めている人なの?
「タイナーから呼び出しを受けた。ライズ何か知らない?」
「知ってるぞ。でも言えない」
「それはここで、って事で良いのかな?」
「ふん、話が早いな。直接聞け。その方が納得しやすいぞ」
ライズが言えない理由。この屋敷にもネズミがいる、そう言う事だろう。政敵とのやり取りは本当に面倒だ。
「ビルルマに行くのは少し遅らせる。ライズにも了承してもらえると有難いけど」
ライズが少し考えて「私のメイド服を作ってくれたらいいぞ」
ドヤ顔で言って来る。
「悪いけど無理、その服作った人はもういないよ」
ガ~ン!!!!!!
そう聞こえたように思えた。ライズが固まり「な、ナゼ。 何故いないの?」
「原因は僕だ。この世に既にいない。もう頼む事も出来ないんだよ」
「アルネ、悪いけどライズはほっといて1度拠点に戻る。みんなも来て欲しい、大事な話と嫌な話がある」
「わかった。じゃ、みんな行くよ」カーリ、リーンハル、ルーニーがアルネに捕まり空間移動する。
ボーっとしているライズに帰ると声をかけたが、返事は無い。気にすることなく拠点に戻る。
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