第91話

マルイル宰相がベテラン騎士をワイバーンに乗った男に渡す。何をしたのかベテラン騎士が固まり動けなくなっている。


夜が深くなり拠点の入り口をブロックソイルで完全に塞ぐ。見張りをアルネに代わり、カーリがしたに降りてきてリーンハルとルーニーに混ざり食事の世話をしている。


ヒューズが来て「ルーちゃん、リーちゃん、私も何か手伝うよ」


「ヒューちゃん、ありがとう。でも今日は大丈夫。明日お願いしてもいい」


「うん、わかった。私、下に降りて馬の世話してくる」


僕が馬の体を擦っているとヒューズが来た。

「リオンさん。何かお手伝いする事有りますか?」


「藁をしきなおしてもらえるか」


「はーい」


ヒューズと2人で馬小屋を綺麗した時にアルネ声が響く。


「リオン。南に4kmモンスターと人の魔力反応、血の臭いもある」


2階にあがりみんなに声ををかける「僕とヒューズで行く。先に食事取れる人は食事を取って、監視は2人体制で行うアルネとカーリはこの拠点の警備もお願い。ルーニーはマルイル宰相の警備、リーンハルは馬と馬車の警備を重点的に、最悪は2人で空間転移する一階のスペースは常に開けて置くように」


「「了解」」


ヒューズを連れて見張り台まで来るとアルネに声をかける。

「リオン、張り切り過ぎないでね。リオンの魔力がばれると不味いからね」


「了解」「それじゃヒューズ行くよ。身体強化かけてね」


「はい」


ヒューズが身体強化をかけて下に降りた。


「アルネ、言って来る」


「ハイ、行ってらっしゃい」


ん? アルネなんか優しい反応?


下に降りると索敵をかけ、魔力探知を行う。場所を把握するとヒューズに合図を送り走り出す。


ヒューズの速度が遅い。身体強化をかけている為、鎧を着ている割りには早いがこれだと間に合わない可能性が高い。


「ヒューズ、遅い。捕まれ」

そう声をかけてヒューズをお姫様抱っこして風まといをかける。


ヒューズが身体強化をかけて100mを約20秒程、1kmで3分20秒。4kmで約13分20秒。

間に合わない。


僕が風まといをかけて100mが約2秒。1kmで約20秒。4kmで約1分20秒。

間に合わない可能性がある。


風まといに身体強化をプラスして100mが約1秒。1kmが約10秒。4kmが約40秒。


風まとい+身体強化をかける。「ヒューズ舌噛むなよ」

そう声をかけて一気に加速する。


「ウヒャ~」「ゴェ」「ヌェ゙ェ゙ェ゙ェ゙」

ヒューズの声にならない声が聞こえる。思わず気を失っていないか確認してまった。


曲がり道等も速度を落とさず進むとオークの群れを発見。

いた、馬車と夫婦だろう男女を見つける。


結界魔法を前方に張り結界にぶつかりながら速度を急激に落とし2人に近づく。


2人の前に立つとヒューズをおろすが、突然おろされたヒューズがよろけている。


「ちょっとリオンさん。私もちゃんと扱って下さい(怒)」

フラフラとしなからヒューズが抗議してきた。


「そんなことより周りを見てね。オークのスタンビートだぞ。倒し放題だ」おちゃらけて言う。


「ヒー!!!」ヒューズがモンスターの多さに固まる。


「旅の人、逃げて下さい」男性の声が聞こえた。


「ご心配なく、助けに来ました」「ヒューズ、剣を持って待機。僕が倒した後にとどめをさせ」


ヒューズが急にキリッとして返事をする「了解しました」


馬車を囲むようにオークの群れがいる。見た目には2-30だと思われる。


刀は抜かずそのまま戦う。僕の攻撃に息も絶え絶えのオークをヒューズが1つ1つ丁寧にとどめを刺していく。馬車の周りが片付いた。そんな時に一際大きな巨体を見つける。


「モボーモボーモボーモボー」

巨体のオークが叫ぶと森の中からオークの集団が出てくる。


「リオンさん。私の剣が限界です」ヒューズの声が聞こえる。


「手入れしてないの?」


「練習用の剣で来てしまいました」


・・・・・?何をやってらっしゃるのかなヒューズさん?


「ウィン」(風属性のスライム)に声をかける。


ウィンが肩から落ちないように張り付いていたが体制を整える


「ウィンドクロス」単詠唱で風魔法を放つ。

空気がクロスしてオークの集団に襲いかかる。オークの体が縦横にちぎれて倒れていった。


「ダブルクロス」再度単詠唱を唱える。

巨体のオークごとオークの群れの真ん中を風魔法が通り過ぎていく。


白狐を抜いて残りのオークを討伐する。ダブルクロスの影響か木がなぎ倒されかなりの刀が振りやすくなっている。

一太刀入れる度に複数のオークを倒して行き20分かけ、全てのオークを倒す。


道沿いに戻りるとヒューズが声をかけて来た。

「リオンさん。大丈夫ですか?あんな大量のオークを相手にして、怪我してませんか?」


「僕よりこちらのお二人は大丈夫だったのかい?」


男性が近づいて来た。

「危ない所をすみません。私は辺境都市ビルルマで宿と雑貨店を営む、ムッシュ リュカと言います。こちらは妻のマンゴーニャです。危ない所を助けて頂き有り難うございます」


「僕は冒険者のリオンと言います。こっちは見習いのヒューズ。

何とか間に合って良かったです。でも何故こんな時間に馬車を走らせていたのですか?」


「私達がマリエラに行っていた時に息子から連絡がありまして急ぎロンリーヌに行こうと思い向かっていました」


「奇遇ですね。僕達もロンリーヌに向かう予定です。何があったのか教えてもらえますか?」


「何でもサリンジャー ホォン ビルルマ様が国に反旗を示したらしく、息子達が近くの村に逃げて来ているようです。それで少しでも早く迎えに行こうと思っていたところです」


「そんな事があったのですね」

ヒューズを見ると信じられないと言った顔をしている。


「今日は一旦僕達の拠点に行きましょう馬車も壊れ、馬もやられては身動きが取れないでしょう」

ムッシュ リュカとマンゴーニャに聞くと頷いた。


「リオンさん、先程は助けて頂き有り難うございます。拠点はここから遠いのでしょうか?突然と現れましたが、どこら要らしたのでしょうか?」マンゴーニャさんが聞いてきた。


「約4km位離れた場所です。心配は入りません。拠点まですぐです」

「ヒューズ、忘れ物等無いように点検して、良ければ教えてもらえるか」


「わかりました」ヒューズが奥さんのマンゴーニャさんと一緒に荷物をまとめて準備を終えた。


4人で手を取り合い輪になると、空間転移魔法を唱え拠点に戻る。


意外にもマルイル宰相が待っていた。


「マルイル宰相、只今戻りました」


「リオンご苦労。ヒューズも良くやった」


「マルイル宰相、こちらは保護したムッシュ リュカさんとマンゴーニャさん夫妻です」


「おお、怪我はなかったかな?」


「「は、ハイ」」


「そうか何よりだ」


ムッシュ リュカとマンゴーニャが膝を付き平伏した。

「マルイル辺境伯様、私は辺境都市ビルルマで宿と雑貨店を営むムッシュ リュカ。こっちは妻のマンゴーニャと申します。この度は危険な所を助けて頂き感謝の言葉もごさいません」


「よいよい、堅苦しい挨拶は不要だ。それにそなた達を見つけたのはこのリオンのパーティーの者だ。2人に怪我がなければ問題無い」


「有り難うごさいます。私達夫婦は問題ございません」


「ウム、お主達は腹は減ってないか?実はわしら皆腹ぺこでな、みんなで飯を食おう。詳し事はその後に聞くからの」


「は、はい。私達の食糧等は全てやられてしまい何も残っておりません。マルイル辺境伯様、気になさらずにお食べください」


「騎士の演習は皆平等だ。タイナー陛下ですら、自ら準備した食事を農民に分け与えて、農民と一緒食べておられる。陛下を差し置いて私が好き放題しては立つ瀬が無い。お前達も一緒に食べなさい」


「有り難うございます」

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