第92話

食事をしながらムッシュ夫妻が何故こんな夜中に馬車を走らせていたか、ロンリーヌでサリンジャー ホォン ビルルマが何を行うと噂になっているかを詳しく聞くことができた。


「マルイル宰相、僕からも報告がございます。ムッシュ夫妻はオークの群れに襲われておりました。それもかなりの数がおります。


おそらくでは有りますが、巣別れが起きていると思われます」


「リオンさん、すみません。巣別れとは何ですか?」ヒューズは初めて聞いた言葉が何を意味するか分からず聞いてきた。


「オークやゴブリンなんかは群れの数が増えすぎると一部が巣を出て新しい巣を作る現象がある。それが巣別れ。

今回は、巣を出てきた連中と鉢合わせしたと思う。森の奥にかなりの数のモンスターがいた。おそらく先程の10倍はいると思うよ。


つまり、このまま放置しておくと近隣の村や集落が襲われる可能性が非常に高い。ロンリーヌから避難してきた人達も被害に合う可能性が高いと思うよ」


マルイル宰相が渋い顔をしながら聞いて来た「リオンはどう対処するのが一番だと思う?」


「明日、このまま進みましょうロンリーヌへの到着は早い方が良いでしょう。オークの群れは僕とカーリで対応します」


「あ、あの~! リオンさんとおっしゃいましましたか、今日より多い数のオークの集団を2人で対処するとおっしゃっているのでしょうか?」マンゴーニャさんが驚いた顔で聞いてきた。


マルイル宰相が手を上げ自分が言うとジェスチャーした。

「ムッシュ夫妻、このリオンを初めとしたリオンのパーティーは、現オーヂエン国でもっとも強いパーティーだ。その辺は心配はいらんよ。

他国のSSSランクのパーティーより強い。そう断言しても良い位に強い連中だ。


一応、このヒューズは私の孫だ、この旅の間だけでも思い、リオンの見習いをさせている。それに今回は国王のタイナー殿下直々にリオン達に私の同行を依頼された程だ。心配は無用だよ」


「そ、そんなにですか?ならば…」


「どうした?」マルイル宰相が宰相としての顔になった。


ムッシュさんが話し出す。

「実は私どもの息子はロンリーヌで商売をするために住んでおりましたが、元々の住人は全て追い出されるか、ガレシオン公国に奴隷として売り飛ばされてしまい、現在ガレシオン公国の貴族とその関係者しかロンリーヌに入れ無いようになっているようです。


そして後1ヶ月程でガレシオン公国の兵士が集まりオーヂエン国に攻めいる予定になっていると息子より聞いていました」


「そなた達の息子は何故そのような事を知っているのだ?」マルイル宰相の顔に緊張が走る。


「はい。息子はサリンジャー ホォン ビルルマ様のお抱えになっておりました。その為、いち早く家族と共に逃げ出し難を逃れた次第です。友や屋敷で働いていた者も何とか逃がす事は出来たようですが皆バラバラになったようです」


マルイル宰相が膝を付き真っ直ぐムッシュ夫妻を見る。

「ムッシュ リュカ。マンゴーニャ リュカ、我が愚息のせいで大変な迷惑をかけた。愚息の失態は親である。この私が命をかけて償わせてもらう。先ずはロンリーヌを平定したのち、またご子息殿が商売出来るようにいたそう。そしてお主達もマルイル ホォン ビルルマ家のお抱えとして活躍してもらいたい。このような貴重な情報を頂き大変感謝している」


「マルイル様、頭をあげて下さい。私どもは商人です。生きていれさえすれば例えどんな場所でも根をはり生きて行くこと出来ます。先ずはロンリーヌの安定をお願いします」


◇◇◇◇◇◇


翌朝、拠点をみんな出た所で拠点を壊し元の更地に戻した。


僕とカーリが先にモンスターのいる場所に向かい移動する。昨日の場所は覚えいるので空間転移で移動する。


バラバラになった馬車の近くに出てくると索敵をかける。川沿いの森に向かい約500m位の場所にモンスターの巣とおぼしき場所を発見した。


「カーリ、場所を伝えるよ」

カーリに場所を伝え移動する。川まではそんなに遠くはなく橋を渡らずに右に川沿いを進む。大きな岩穴があり、オーク達が入り口を出入りしている。


カーリが突然動き出す。入り口付近にいるオークの群れがあっという間に倒された。


流石だ、オーガをスライムのように倒すカーリだ、オークの群もあっさりと倒している。


カーリの元に向かい倒したオークをマジックバックの中にしまう。岩穴から複数の反応を感じる。オークの他にオークキングがまじっている。

穴に向かいファイアーボムを放つ。岩穴の奥に辺り爆発する。


入り口近くにいたオークが外に吹き飛ばされて倒れる。生き残ったオークが入り口に群がって来る。


入り口を出て直ぐの所でカーリがオークを迎え撃つ。煙にやられ目の見えない状態のオークが次々倒れ約30分もしないでオークの群が倒された。


「カーリ、中に行くよ。残り半分位だと思う」


「ねぇ、魔法でなんとかならないの?いい加減、飽きてきた。オーク、弱すぎ」


「了解。残りは何とかするよ」


「じゃ、私この辺で待機してる。出て来たオークは私が倒しておく」


カーリと別れて穴の中に入って行く。穴のサイズがわからない為、白狐出はなく、鳳凰を抜いて構える。


「ライトソー」光の玉を洞窟の奥に飛ばしてやる。奥は行き止まりになっておりますオークロード、オークキング、オークジェネラル等がたまっていた。


想像以上に広い場所に驚く。天井も高く割合過ごし安い場所にも思えた。


鳳凰を左手に持ち右手に白狐を持ち構える。オークの中でも一際大きく強い個体を含めおよそ10匹程度。白狐と鳳凰に魔力をためて横なぎにふる。マジックソードのように魔力の刀が飛び出しオークの群れに襲いかかる。


手前にいたオークがオークロードを守ろうと盾になり、オークキングとオークジェネラルが前にいたオークを盾がわりに使い何とか生き延びていた。


残りはオークロード、オークキング、オークジェネラルの3匹のみ。


「モボー」オークジェネラルが大斧を振りかぶり突進してくる。オークジェネラルをかわし鳳凰を横なぎに振り抜きオークジェネラルを倒す。


オークロードとオークキングが相手を前に押しやろうと必死なるなか構わず体をひねりながら左から白狐を振り抜きオークロードとオークキングの首をはねる。


倒したオークから魔石を取り出し残りをマジックバックの中に入れる。オークの巣を出るとカーリが1人で川遊びをしていた。


「カーリお待たせ」

「リオン、遅い」と言って飛び付いて来る。


2人で先に橋を渡り川を越えた所に有る村に向かう事にする。


川自体はそんなに広くはないが橋は川の氾濫に備える為に意外に長い。橋の中腹に来ると白い鎧をつけた男達が反対側に見えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る