第156話

メルニ ナンク マンチャタ国王の呼び掛けで始まることになった代表戦。


その当日、ガンスと姉さんがダンサール国の世界樹の森の広場に降り立った、2人を迎えに行く。


「リオン、面白そうな事になったな。メルニの奴がウキウキし過ぎてうるさくてたまらなかったぞ」ガンスが楽しそうに言う。ガンス自身も楽しそうにしている。


「はは。もう、ガンスの耳にも届いていたの?」思わず苦笑いしてしまった。


「カカ、俺も実はワクワクしていてな。アルムにうるさいと怒られてばかりだ」


姉さんを見て言う「姉さん、今日はありがとう」


「良いわよ、あんたの身内は今や私1人だもの。こんな晴れの日位、姉らしい事してあげなきゃね」少し寂しそうだか、感涙を持って僕を見る。


「アルネ達もそろっているよ。顔を見てくる?」


「そうするわ、あのテントね」そう言うと姉さんがテントに歩いて行く。


「リオン、ルカリオの姉貴はあの娘達を知ってるのか?」

ガンスが珍しくお母さんの話をする。お母さんが生きていた時はお母さんの話はしたこともなかったのに。


「うん、アルネとカーリは連れて行けたから、あって話しもしたよ」


「そうか、なら俺はお前のお守りはおしまいだ。まさか、ルカリオの姉貴から頼まれた子供がこんなでかくなって結婚するなんて驚き以外のなにものでもないぞ」


「リュウはお留守番?」


「ああ、今はナニーとディイナに付いて農業の研究に没頭してるよ」ナニーとディイナの夫婦はガンスの村で農業の責任者をしている夫婦だ。農業の神様のような夫婦で知識と技術がすごい人達だ。


「え、農業?」僕が驚くとガンスが笑い話を始める。


「もちろん戦いの修行はしてる、だかあいつの村は農作物が余り育たなくてな。それを知ったあの2人がリュウを面倒見始めてな。近い内、鬼人族を全部連れて俺の村に来るって言ってやがる」ガンスが少し面倒臭そうに話すが、面倒見のいいガンスの事だから皆を呼んで住まわせるつもりだろうと思う。


「そのうちに、ガンスの国が出来そうだね」


「リオン、お前はどうだ?」


「僕? これが終ったら皆で住める場所を探してゆっくりと暮らすよ。昔言った通りだよ」「自分でゆっくりと生活できる場所でゆっくりと暮らすそれが僕の夢だ」


ガンスと話をしているとメルニ国王がガンスの村の警備担当の獣人族 狼族のタイタンさんを連れて来た。


「タイタンさん」僕がタイタンさんに手を降る。


「リオン、あれ? ガンスまで来てんのか?」


ガンスが罰の悪そうな顔をしている。メルニ国王がガンスを立ち会い人に呼んだ事を話す。


メルニ国王が僕を見て聞く「戦士は決まったか?」


「はい」僕は返事だけする。


ついに、カーリを嫁にもらう為の儀式(闘い)がここに始まる。何でも闘いで決着をつける獣人族らしい方法だ。


ダンサールの新国王 サンベルシュ リカリオが挨拶を行う。


「マンチャッタの国民よ、良く来てくれた。これより我が娘の夫である、リオン レース レインのもう1人の妻、カーリ ベルトルトの夫として適しているかその儀式を行う」


「マンチャッタ国の戦士よ、出てこい!!」

メルニ国王(白虎族)、狼族タイタン、鳥人族の女性が出てくる。鳥人族の女性は初めて見る人だ。


「リオン、そたな達の入場だ」

僕、カーリ、リーンハルが出る。


「では、この儀式に花を添える催しを行う。人族同士としては恐らく最高峰の2人だ。

金獅子のガイ。ルーニー ダリス出てこい」


ガイとルーニーが闘技場に現れる。

獣人族達から割れんばかりの歓声が出る。すでに酒によってる奴がいるのかとにかくすごい騒ぎだ。


サンベルジュが闘技場に出る。

「立ち会いは私が勤める、良いか、獣人族の儀式は単純だ。何をしても買ったものが勝ち、それだけだ」


「では、初め」


突然の開始の合図に観客が戸惑う。当のガイとルーニーは何も気にすることなくお互いの剣と杖がぶつかり合って、静止している。


ガイがルーニーの杖を見て呟く「良い杖だ。戦闘向きだ」


「当然でしょ」ルーニーが静止している緊張感の中、無詠唱で魔法を飛ばす。


「ソイルスピア」ガイの回りから土の槍が何本も飛び出し外国を襲う。


不意を付かれた攻撃に逃げ遅れ左の腕にソイルスピアを受け、傷口から血を流す。


それを見てタイタンが笑って言う。

「良いぞルーニー、だいぶ戦い方上手くなったじゃねえか。どうだ、おじさんのお嫁さんにならないか?」


「べぇー。私はすでにリオンの奥さんです」

ルーニーがいたずらっ子のように笑う。


ガイが2人の会話を気にせず攻め続けるが自分の攻撃がすんでの所で当たらない事に気が付く。


少し距離を取りガイがルーニーを見て話す。

「器用な奴だな、結界張りながら、攻撃に攻撃魔法。お前本来なら SSSランク以上だろう」


「さあ、私達ギルドの基準に興味無いから、どうでも良いと思っているの。下がっても問題なしよ」ルーニーがけろっと言う。


ガイが僕達を見て「いや、お前らが全員Aランクなんて絶対に気に入らない、意地でも全員SSSランクにしてやる」


と違う事に闘志を燃やすガイ。


ガイが剣を前に構え、突きの構えを取る。そして、ガイが動いた。


一気に飛び出し、シンプルな剣の突きだ。たった一回だけの捨て身の突き。恐らくルーニーの固い結界魔法を破るのはこれしか無いと思ったのだろう。


ルーニーに真っ直ぐ飛んで来て一気に突く。今、ガイ出来る最大の攻撃だ、並みの結界なら、突き破り、体を突き抜ける衝撃だ。


ルーニーはよけるとこなくガイの剣を受ける。


ガギン!!! ガイの剣がはね飛ばされた。その衝撃でガイの腕もあらぬ方向に曲がってしまう。


ルーニーは持っている杖を左手1本で持ち、ガイに一撃をいれる。ガイは声を発する事なく、その場に倒れた。


サンベルジュがガイの様子を見て試合終了を宣言した。


ガイが仲間に囲まれ手当てを受けている、そこにルーニーが近づく。

「何かよう?」狼族の女がルーニーを睨む。


「治療しに来たの、そんなにおこらない、戦いは終ったの」そう言うと神聖魔法でガイの腕を直し、頭の傷を直した。


「痛みはまだ残るから、後、血も元には戻らないから安静にしてね」

そう言って戻って来た。


タイタンがガンスに聞く。

「ルーニーの奴、いつの間にあんな強くなったんだ、下手したら俺やメルニもやべーぞ」


「どうやら、世界樹に選ばれたらしいぞ。ロンバートが言ってやがった」


「世界樹に選ばれた、ルーニーだけか?」さらにタイタンがガンスに聞く。


「いや、あいつら全員だ、全員、世界樹の実食べたらしい」


タイタンが口から泡を吹いて驚く。


今、タイタンの頭は物凄いスピードて回転している。ガンスの話が本当なら、過去に世界樹に選ばれ、その実を食べた事が有るものは数える程しかいない、そして世界樹の実たべた者全て、それぞれの時代で世界を統一した伝説を持っている。


それがそろいも揃って5人全員食べたとは、ロンバートが国王を辞める訳だ。あいつはリオンの力の凄さに驚き、ガンスですら、リオンの半分以下だと良い放った。下手したら今この場所に世界中の全戦力の約9割が集結って事か。


面白い、面白くなってきた。

その内の世界中の戦力の約7割にあたるリオン達5人は定住先を探している。ふふ、楽しみだ。

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