第128話
お昼になり揃って会食会場に入る。しかし流石は公爵家、メイドさんの数も凄いし料理人の数も凄い。何時見ても圧倒される程だ。
「リオン、来たな。間も無くモンナが来る。少し待っててくれるか?」
「モンナも来るの?」
「そうだ、今回の黒幕の登場だよ」
「ちょっと、勝手に黒幕にしないで」不意に後ろから声が聞こえ振り返ると、モンナが来た。お腹の事を考えてだろう。ワンピースドレス姿だ。
「モンナ、良かったの? 体大丈夫?」
「リオンありがとう。今、安定期だから問題無いわよ。それよりアルム、勝手に黒幕にしない。タイナーにばれた時は一蓮托生よ」
「何かあったの?」思わず聞くがアルムとモンナは笑うだけで何も言わない。
昼食会が始まる。立食形式で各々好きな物を食べている。
そんな中、僕とアルネが呼ばれモンナの所に来た。
アルネがモンナの体調を気遣い声をかけるとモンナから優しい返事が来た。
「所でリオン。レース レインの遺品については知ってるわね」
モンナが呆れた者を見る目で見られた。
なるほど、そう言う事ね。あの剣は遺品。つまり僕たちが勝手に持ち出しては行けない物。
それを手引きしたのがモンナと言うことか。
「成る程、黒幕と本当の黒幕にしてやられた。そう言う事だね
であれば、問題は僕だけ。アルネを初め4人はおとがめ無しですかね」
モンナが嬉しそうに頷き更に聞いてくる。
「当然。でも貴方に付いて行くでしょう」
アルネが心配そうに聞いてくる。
「リオン、何があったの? 説明して」
「モンナ、僕からの説明でいい?」
モンナがにっこりと笑いうなずく。
「リーンハルのあの剣は国宝に認定されている物なのね。それでその国宝を盗んだ者は原則国外退去が一般的なの。
どうも僕達を国内に縛り付けようと貴族達が動いていて、モンナと姉さんがその対抗策としてこの対応を取ったみたい。
ついでにアルネ達は処罰の対象外、基本触れていないし、操られていただけだしね。
でもモンナが言うには、僕が国外追放されたらみんなオーヂエンから出るでしょう。
なのでその手はずをとるようにって、そう言う事なの」
アルネが驚いて「王妃、1年を待たずに出てもよろしんですか?」
「かまわないわよ。1年間もリオンを拘束するともっと大変な事になりそうだもの」
モンナが笑いながら話す。
アルネが喜びをおさえ、モンナに静かにお礼を伝える。
モンナが少し寂しそうな顔をして下を向く。
「さて、今日の夜はリオンは王宮で軟禁ね、恐らくタイナーのお言葉の後1度ラピスに移送して、それから国外追放になるから、アルネ達はラピスで待っててね」
「それと、貴女達はそもそもおとがめ無しだから何時でも戻っておいでね。それにタイナーの奴、リオンなら何時でも恩赦の用意は出来てるはずだから」
僕がカーリ、リーンハル、ルーニーを呼ぶと、僕達5人はモンナの前で膝を付き、平伏する。
「モンナ王妃。暖かい心使い、このリオン、及び我が妻達は一生涯忘れません。
我々に出来る事が有れば何時でもお呼び下さい。我々に出来る事で有れば何を差し置いても駆けつける事を誓います」
「リオン、立ちなさい」モンナの力強い声を聞き、立ち上がる。
「私達は、貴方の家族よ。それは忘れないで、アルムもタイナーも何時も貴方の見方です。生まれるこの子も貴方の家族なんだから、ほとぼりが覚めたら、また、戻って来てね。沢山の甥っ子と姪っ子と待ってるからね」
「うん、モンナ。ありがとう」
◇◇◇◇◇◇
昼食会が終わり、僕とモンナは王宮に向かう事になる。
みんなは1度アメール村によってからラピスに戻るらしい。
アルネにランバートさんへ言伝てをお願いする。
王宮に着くとすぐに広い客間に通され、軟禁される事になった。
メイドがいるし、安全だし、最高だね。貴族達は僕がここにいることも知らないし。
コンコン。
ドアがノックされ、メイドが対応する。
「リオン様、スベルド ルイ ナターリ男爵様がお見えです。いかがなさいますか?」
「お通しして下さい」
「リオン殿、驚きましたぞ。何故あのような事をなされたのですか?」
部屋に入るなり突然、大袈裟に振りかぶる。
僕がメイドに部屋から出るように伝える。
「しかし流石にスベルト男爵。耳が早い」
僕が笑いながら話す。
メイドが出るとドカっと椅子に座りこっちを見て「勘弁して下さい。もぉ、陛下もノリノリでやってらっしゃるし。私は胃が痛い思いです」
「タイナーも知ってるの?」僕が驚いて聞く。
「当然です。ですが王妃には内緒ですよ。私までおとがめが有りそうで怖いですからね」
「そうそう、間も無く陛下もいらっしゃいます。それと出国されるに辺り私からも提案がございます」
「それは…」コンコン
話を中断してドアを開ける。
タイナーとモンナがやって来た。護衛の兵士、モンナ付きのメイドと10人位が部屋に来る。
モンナがニヤニヤと笑いながらスベルト男爵を見る。
「スベルト男爵、貴方もリオンに何かご用?」
スベルト男爵が頭を下げ、普段の威厳の有る声になる。
「いえ、先だってのパーティーの件でご報告に上がった次第です」
「そう、なら続けて」「ハ、では失礼して」
「リオン殿のおっしゃった通りでございました。捕まえた者はアルメニアの間者でしたが、和議の国出身です。古くからアルメニアと和議は友好関係にあります。
姿を消すのは和議の出身の者以外は使えない技術でした。捕まえた者は間違いなく、和議から来た者と判明しました。
そしてあ奴らの目的は、リーンハル嬢とルーニー嬢でございました」
「そうでしたか、やはりリーンハルとルーニーを」
「それと、もう一つ。オーヂエン国の最東の村に、噂では有りますが。同様のスキルを持つ一族がいる。そのように耳にはさみました。たが見えない者達のため誰にも確証はございません」
「わざわざありがとうございます。大変参考になりました」
スベルト男爵が立ち上りタイナーとモンナに挨拶して出て行った。
タイナーが椅子に座りあたかも不機嫌そうに「リオン、今回の事は俺もかばいきれんぞ。宰相がいてくれたらまだ抑え用があったものを」
僕が平伏する。
「タイナー殿下、モンナ王妃。大変失礼しました。お二人の寛大なお気持ちで今まで数々のご無礼を許して頂きました。
私はその事に甘えてしまい、このような浅はかな行動をしてしまいました。
陛下の顔に泥を塗った事、後悔してもしきれません。
にも関わらず、国外追放だけで済まして頂く等の寛大な処分。感謝の言葉もございません」
タイナーがふんぞり返ったまま話す。
「わかればよい。モンナ、お前は何か話しがあるか?」
「いえ、リオンから謝罪が聞けただけで十分です。
それより少しお腹もきつくなりました。陛下、私は先に戻りますよ」
モンナが1人の兵士だけを残し部屋を出る。
「お前もこっちに来い」タイナーが兵士を呼ぶ。
兵士が仮面を外し、兜を取る。
ランバートさん?何やってんの?
「タイナー? いいの?」
思わず聞く。
「問題無い、今だけ特別警護を依頼した」
「ランバートさん、アメールのギルドはいいの?」
「それどころじゃ無いだろう。ここを出るとおおっぴらに会えなくなる。だから来たんだ」
「タイナー、聞いてもいい?最東の村に行っても問題ない?」
「いいぞ、ついでにそこはエルフの国との国交を行う村だ。上手いこと潜り込めよ。正式に結婚出来るといいな」
「ありがとう」
その後、色んな話をした後2人も出て行った。
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