第131話
ヒューズの顔をみながら3日も過ごしてしまった。なんか損した気分になっているのは僕だけのようだ。
ルーニーとリーンハルが何時までも名残惜しそうにしている所を連れて移動する。
最東の村に行くにはオーヂエン国のビルルマ都市から向かう必要がある。ビルルマのハマイルさんのお店に空間移動する。
奥の部屋から出ると、お店にハマイルさんがいた。
「リオン君、待っていたよ」
以前、ハマイルさんとあった時、色々と今後の方針を伝えていた事もあり、待っていてくれたようだ。
「これが最東の村に入る書類だ。あそこは滅多に他の地域の人を入れないからね。
タイナーからこっそりリオン君に渡して欲しいと預かっていたよ」
「ハマイルさん、いつもありがとうございます」
「なーに、気にしなくていいよ。それよりナーラ国のリュックニーにお店を出せるようになったよ。ラピスにいた従業員を覚えているかい?
あの娘が店長を勤める。なかなかオーヂエンには来づらいだろうから、必要があればリュックニーのお店を使ってもらえるかな?」
「いつも助かります。ラピスは当分マリアに任せる予定です」
「分かりました。でもマリアさんって冒険者じゃ無いですよね。大丈夫ですか?」
「問題ありません。タイナー専属のボディーガードだったので」
「ほ、なら心配無いですね」
「ハマイルさん、いつもご迷惑ばかりかけて申し訳ありません。月に1度はラピスやルッツ領には顔を出す予定ですが、余りおおっぴらには出歩け無いので」
「大丈夫です。我々は、みんな貴方の見方です」
ハマイルさんと別れ最東の村に向かう馬車に乗る。カーリ用にクッションを準備しておいた。
まあ、気休めにしかならないだろうけど。
馬車は僕たちだけしかいなく貸し切り状態。村に向かうに山をいくつも越えないといけない、かなり道のりはハードだ。
馬車の中は以外にも平和だった。山道のうねりはカーリにとっては特に嫌な揺れでは無いらしく。思った以上にカーリの機嫌がいい。
2日目、お昼前に索敵に何かがヒットする。
アルネが「女の子、それも1人。真っ直ぐ500m先」
と声をかけて来た。馬車の中に緊張が走る。僕とカーリが念のため馬車から降りて並走するように歩く。およそ10分で女の子を発見。
襲われた様子はなく、道端で寝ていた。
この子どっかで?
僕が思い出そうとしていると、カーリが寝ている女の子をツンツンしながらおこしている。
「リオン、この子ツンツンしてもおきない」
「しょうがないね。馬車に積もう。カーリお願い出来る。僕はこの子の持ち物がないか少し当たりを見渡すよ」
「うん」
カーリと別れ、森の中に入りあたりを見渡すと見たことのある鈍器があった。思い出した、闘姫の副リーダー エリアスだ。
何でこんな所で寝てるんだ?疑問に感じつつも鈍器を馬車に運び出発する。
エリアスはそれから約2時間後に目を覚ます。
僕達が馬車を止め、昼食を食べながらのんびりしていた時だ。
匂いにつられエリアスが起きてきた。僕の席にすわろうとして、カーリに襟首を捕まれて後ろに寄せられる。
またエリアスが来た。カーリが再度襟首を掴む。「そこはリオンの席。貴方は駄目」
カーリが後ろを向いて「お手!」
エリアスが四つんばいでお手をする。
「おかわり!」
ザ、反対の手をカーリの手に乗せる。
「チンチン!」
バ、エリアスがお腹を出してカーリを見る。
カーリが串に刺した肉を取るとエリアスに渡す。エリアスが食べようとすると「まて!」
と、声をかけ止める。
肉を見てよだれを垂らし我慢する、エリアス。
「よし!」
カーリの声にエリアスがウンウンとうなずきながらお肉を食べる。
後ろで見ていると、カーリが猛獣使いに見える。
お肉を食べながらエリアスがカーリに声をかける。
「お姉さん、このお肉美味しい。もっと食べていい?」
「なに、お腹減ってるの?」
「うん、メンバーとはぐれて、3日食べてない」
カーリが後ろを向いて僕を見る。
僕が頷くとカーリが食べ物をさらに渡す。
「ありがとう。お姉さん達優しいね。嬉しい」
「貴女何処から来たの?」アルネが聞く。
モグモグとしながら答えるエリアス。
「私ら闘姫って言うパーティーやってんだ。拠点は最東の村って言う所なの。
この間、私とマキュリーって言うリーダーと一緒にAランク試験受けて受かったんだよ。
それで村から依頼を受けてここでモンスターを追っかけていたけど見失ったの。
それで捜索している間にはぐれてしまって、歩き疲れて寝てしまっての」
「それで、これからどうするの?」アルネがさらに聞く。
「う~ん、一旦村に戻ろうかな、もう1回メンバーと会って、また討伐に来ようと思う。
所で、お姉さん達何処から来たの?こんな強い人達滅多にいないよ。あのAランクの試験官みたい」
「試験官?ねえ、試験官ってひょっとしてリオンって言う名前?」アルネが聞く、
「お~、お姉さん達詳しいですね!そのリオン レース レインって言う人。私の渾身の一撃を片手でいなしたの、あんなの初めて」
エリアスが悔しそうにはなす。
「そうだよね、分かるわ。私達も試験受けたけど、ほっと子供扱い。」
ルーニーとリーンハルが頷く。
「えーお姉さん達も出たの? あの試験官、絶対、おかしい。あんな強い奴見た事無い。うちらのリーダーのマキュリーなんか半分トラウマ抱えていたもの」
「そうかい、僕は君達を高く評価しているけどね」
「ハハ、そうなの?ありがとう……?」
「……?」エリアスが食べてた食事をやめ、冷や汗をかく。
プルプルと震えながら後ろを向く。
「ヒィ~。ズビバせん。殺さないで下さい。私達はみんな感謝してます。ど、どおか…どお………か」土下座したまま動ごかなかい。
「殺さないよ、それよりご飯の途中だろう、お腹いっぱい食べな」
「へ、いいの?」キョトンとしながら聞いてくる。
「当たり前でしょう」
「は! 私らを油断させてそれから全員食べる積もりでしょう」エリアスが真っ青な顔で聞いてくる。
「しないよ、そんなことしたら食あたりしそうだし」
「エリアスだっけ、リオンを何だと思っているの? リオンは、これでも私達の旦那なんだけど」アルネが少し呆れ気味に言う。
「え、お姉さん達皆さん、リオンさんの奥様なの・・・・・
そんなぁ~、こんな凄い奥様ばっかりなのは少しおかしい。
どんなパーティーでも1人は戦闘に向かない人がいるばすだよ。見た感じ誰もそんな人いないじゃない」
「そうよね。私達の努力を聞く? エリアスだったら特別に教えてあげる」
カーリがエリアスにからむ。
「本当、聞いてもらいたい。サンドドラゴンを1人で倒せとかさ。一杯聞いてもらいたい」アルネもエリアスにからむ。
エリアスが後退りした。
「サンドドラゴンって!!! ドラゴンの上位種でしょ。通常Sランクの人間が10人は必要って、聞いたよ」
「そんな事無いよ。みんな1回、サンドドラゴンを1人で倒したよ」
僕が後ろから声をかける。
「み、皆さん1人で…た……お……!」エリアスがひっくり返り気を失った。
「リオンさん、絶対今のトラウマになりますよ」ルーニーが心配してかけよって来る。
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