第130話

ガレシオン公国、東ビルルマ領に空間移動する。

最初に向かったのはギルド。ギルドマスターのレモンさんをお願いする。

「ギルドマスターですか?どちら様?」


「失礼しました。リオンと言います」


「はあ? まあわかりました。今聞いてきます」

受付の女性が面倒くさそうに奥に行く。


ガヤガヤ怒鳴り合う声が聞こえた。


「あ、リオンさん。何時こられたのですか? いや~お久しぶりです」


腰の低いギルドマスターの態度に受付嬢の顔が青ざめる。


「レモンさんお久しぶりです。マリクスさんはお元気ですか?」


「マ、マリクス…さま…!!」受付嬢がさらに固まる。

「君、さっきからどうした?」


「レモン様この方達は?」


「リオンさんだよ。東ビルルマ領の制定を行ったご本人だよ」


「ヒィ~。スビバセン。殺ざないで…ぐ。グダザイ」

受付嬢が顔面蒼白で失禁しながら命ごいをする。僕って? なに? どういう・・・・やつ?


「リオンさん、まぁ、中に入って」

そう言うとマスターの部屋に通される。レモンさんの慌てようが凄く気になる。


「今日はどういう要件ですか?」


「突然すみません。2.3日こちらに滞在しようと思いまして、そのご挨拶です」


「そうでしたか、ありがとうございます。もうヒューズ様にはお会いなられましたか?」


「いえ、まだです」


「そうですか、今ならマリクス様もいらっしゃいますし、後でよられたらお寄りになられては」その後、この辺の事を聞いてギルドを出る。


ギルドを出てヒューズの屋敷に行く。

受付を行い、面会を受けるのにかなり時間を要した。


突然行って会ってくれって、基本的に貴族ではあり得ない事だから仕方ないけど。


ヒューズが少し疲れた顔をしながら来た。

「「ヒューちゃん」」ルーニーとリーンハルの声が合わさる。


「あ、ルーちゃんにリーちゃん!会いに来てくれたの?」


ヒューズの顔が明るくなる、ヒューズの後ろからマリクスさんが現れた。


「マリクスさん、お久しぶりです」僕の声にマリクスさんが驚きつつ、迎え入れてくれる。


「リオン様、いつこちらに?」


「つい、先程です。レモンさんにもお会いしてから来ました」


「ヒューズ様、今日と言う今日は逃がしませんぞ」ハッサン・イェブル騎士長の声が響く。


ハッサン・イェブル騎士長が僕達を見て慌てて平伏する。

「リオン様、お久しぶりでございます。リーンハル様とルーニー様のAランク昇格も喜ばしい事でございます」


ヒューズが出て来て「ルーちゃんとリーちゃんAランクに昇格したの。おめでとう」


「「ありがとう」」

ルーニーとリーンハルにヒューズが抱き着き喜んでいる。


「ハッサンさんもお元気そうで何よりです。ヒューズは何か用事が終わってない様子ですね」


僕の声にヒューズがルーニーの後ろに隠れる。


「実はヒューズ様は魔物の狩りはお好きなのですが剣術の稽古が嫌いで、直ぐに逃げてしまいます。それにはほとほと困り果てております」


「ヒューズ、剣術の稽古は重要だよ。今日は僕たちが見学させてもらう。

あれからヒューズがどれくらい強くなったかも見てみないとね」


「え~、リオンさんそれは酷い」ヒューズが天を仰ぐ。


「ほら、見習いは言う事を聞く。ハッサンさん。僕達と一緒にいる時間が短くて僕達は余り教えれていません。大変だとは思いますがよろしくお願いします」


「は、かしこまりました。さ、ヒューズ様行きますよ」

ハッサンさんが何故かイキイキとしている。


屋敷の闘技場に来る、結構広い造りで壁も高く、魔法で強化されてあった。


「ヒューズ様、準備が出来たら行います」

ハッサンさんがヒューズに声をかける。


「準備出来た。いつでもいい」ヒューズが木剣を持ち、軽装の鎧を纏い構えている。


お互いに、にらみ合い相手を見る。


ヒューズが先に仕掛ける。木剣を真っ直ぐハッサンに向け突く。

ハッサンは最小限の動きで木剣をかわす。それと同時に木剣がハッサンの直ぐ後ろから飛び出す。


ハッサンがよけて横を向くような体制になって、その後ろからヒューズの木剣が飛び出す。


ハッサンが気が付かず木剣が当たり試合終了となる。


「ヒューちゃん凄い!」リーンハルが驚きの声をあげる。

リーンハルには、その仕組みがわかったのだろう。感心しきりだ。


「リオンさん、私と対戦してもらえませんか」ヒューズから声がかかった。


「いいよ。ヒューズ、僕の体に当てたらヒューズの勝ちね」


「そんな簡単な事で良いんですか」


「いいよ。僕の体に当てたのは、リーンハルとルーニーだけだし。ヒューズが当てることが出来たら、Aランク相当の実力と判断して問題無いよ」


「よーし、やってやる」ヒューズが気合いを入れる。


ヒューズが魔力をためる。木剣が僕の周りに3本飛び出す。ヒューズの特殊技術だ、初めて見る。


1度に4人に囲まれた感じだ。ヒューズの魔力が高まる。左右の木剣が音もなく突いてくる、結界魔法を左右と真後ろに張り練習用の刀で上から来た木剣を打ち払う。


「え~、初めてかわされた」ヒューズがショックを受けていた。


「なんで分かったんですか? ハッサンですらかわせないのに」ヒューズが話をしながらも攻撃の手を休めること無い。


僕もヒューズの攻撃を全てかわしながら答える。

「ヒューズ、攻撃の前に魔力をためる癖がある、そこを直さないとすぐに分かるよ」


「くやしぃい!」


「まだまだリーンハルとルーニーには及ばないね」


ヒューズの木剣を打ち落とし、刀を前につけて試合を終える。


「くやしぃ。私かなり強くなったのに」

ヒューズが天を仰ぐ。


「でもかなり強くなったね。ヒューズも一人前だね」


「ヒューちゃん、凄かったねあれどうやっの?」ルーニーがヒューズに駆け寄る。

「ヒューちゃん、魔力をもっと上手に使うと1本とれたよ」リーンハルがヒューズの攻撃方法を分析してアドバイスしている。


ルーニーが来て「リオンさん、ヒューちゃんと壁の外で狩りをして来て良いですか?」


「いいよ。行っておいで」

「あ、なら私も行きたい」アルネが一緒についていった。


「カーリはどうする?」


「私は狩りより、お腹空いた」


「では、お二人のお食事を準備します。こちらにどうぞ」ハッサン・イェブル騎士長がただずまいを正し食堂に案内してくれた。

僕とカーリ、ハッサンにマリクスの4人で話をしながら軽食を食べる。

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