第132話

エリアスを馬車に乗せ、移動するのと1週間、ようやく峠道を抜ける。山の中腹に広がる野原の真ん中の道を進む。


峠道を抜けるとカーリの乗り物酔いが始まり、カーリと僕が馬車の後ろを歩く。


エリアスは1回寝ると中々起きない人のようで峠道で1回起きた後、現在4日程寝たままの状態だ。


ルーニーが見るには体には何も悪い所がないと言うことでそのまま寝かせてある。


野原の1部が休憩出来る広場のようになっており、その場所で休む事にして食事の準備を始めていると、アルネの索敵に何かがヒットした。


「リオン、誰か来る。敵意はないけどこっちを捕捉している」


「わかった、ルーニー、カーリは馬車をカバー、リーンハルは食事の準備をして問題ない、アルネはリーンハルをカバーしてね」


指示を出すと、1人道沿いにたたずむ。

索敵には大人4名を確認、1人はかなりの強さ。連れている動物は無し。


たが流石にまだ見えない。警戒を初めて30分程した時、突如目の前にモンスターが現れる。


ライオンの体に蛇の尻尾、顔が猿で羽が生え、羽は鷲だろうか。体は大きく、4mは在ろうサイズだ。ここでキマイラに会うとは思わなかった。


威圧をかける前に白狐が飛び出しキマイラの首に噛みつき、そのまま首をへし折る。


キマイラが倒れて動かなくなった。


索敵にかかった4人が走って来た。あれはマキュリーだ。と言う事は、闘姫のメンバーだろう。


近くに来るとすぐに声をかけられた。

「すまない、こいつの討伐依頼を受けていたけど、捕まえられなかっ…? ゲェ、リオン?

あんた何でこんな所にいるの?」


「やっぱりマキュリーだ、君達が追ってたんだね、そいつ待って行ってね。

それとエリアスを拾って面倒を見てるけどエリアスも持って行ってくれると助かる」


「エリアスを拾った?どこで?」


「向こうの峠の中、結構奥の道沿いで寝てたよ」


「寝てた・・・すまない、やつは寝ると起きないから」


「多分、ご飯出来るとおきるよ」

そういってマキュリー達を馬車に案内する。


「エリアス! あんたなにやってんの?

リオンに拾ってもらったって」

マキュリーがエリアスを乱暴に叩き起こす。


「ご飯できた!」エリアスが寝ぼけながらカーリに抱きつきご飯をねだる。


「エリアス、まて!」

エリアスがピシッと立ち、次の言葉を待つ。完全にカーリさん、猛獣使いだよ。


「エリアス、あんたにお客さんだよ」そう言ってマキュリーを呼ぶ。


「エリアス、あんたぁ~、なにやってんの?

何で、ご飯頂いているの? 心配したんだぞ」

マキュリーがエリアスを抱き締めている。


「マキュリー、苦しい。あんた自分の力を自覚しなさい。普通の人なら死んでるぞ」


エリアスがカーリをみてマキャリーを紹介する。

「姉さん、こいつが私らのリーダー、マキュリーって言うの。私共々よろしくね」


「うん、よろしくね。ご飯出来たからみんな食べな」カーリが優しく言う。


「う、あんたこんな怖い人達と一緒にいたの?」

マキュリーがカーリとアルネをみて震えている。


「ちょい、怖いって、なに?」

アルネが反応した。あ、だめだ、アルネ怒ったよね、完全に怒っちゃった。


「姉さん、姉さんが怖い訳じゃ無いの。マキュリー、試験の後からリオンさんに恐怖心を持ってからずっとこうなの。

言葉足らずでごめんなさい」


エリアスがアルネを納める。マキュリーの頭を無理やり下げさせアルネの怒りをやり過ごす。


「アルネさん、落ち着きましょう、魔王認定された人についていく私達もやっぱり他の人よりは強いんですから」リーンハルがアルネをなだめる。

「リオンのせいだ、私達こんな怖がれること無かったのに。リオンが魔王認定させるからだ」アルネがこっちを睨む。


僕がマキュリーを抑えて「マキュリー、アルネに謝りなさい」


怖い顔をしてマキュリーに近づく。

「マキュリー、早く謝って、怖いんだから」そう小声で言う。


「アルネ姉さん、ごめんね。私、試験の後から少しおかしいの、許してね」

そう言って頭を下げる。


アルネがマキュリーを抱き締め「ごめんね、試験の後からトラウマになってるんだって。

大丈夫、何があっても私達は貴女達の見方だからね」


よかった。アルネの気持ちが落ち着いたんだろう。何か良かったような、嫌なような気がする。


でもいつも悪いのはいつも僕だ。何故か気に入らない。


「リオンさん、ご飯食べよう」リーンハルが声をかけてくれる。


「うん、食べる」

落ち込んでいる僕にルーニーも声をかけてくれる。


「リオンさん、このあいだ取ったモンスターです。エリアスに教えてもらった食材なんですよ」


串焼きをもらい、フーフーしながら食べる。「エリアス、この食材美味しいね。これはなに?」


エリアスがこっち見る。

「この辺でよく取れる、蛇のモンスターだよ、美味しいでしょう。この辺の特産品なの」


マキュリーの目ざとく食材を確認する。「エリアス、それもしかして虹色蛇?」


「そう、リーンハルとルーニーって食材集めるのすごっい上手いの。虹色蛇も30匹も捕えたよ」


マキュリーが言葉を失う。

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