第176話
その夜、メルニが準備してくれた天幕で休むことになった。そこに前田 京の条 雪が訪ねてきた。
「夜分にすまない、リオン殿はいるか? 四聖獣教団に付いて確認したいことがある」
中まで声が届いた。
前田 京の条 雪を中に通す。四聖獣教団についての話しだと言う。
「リオン殿は何故、四聖獣教団を知っているのか?」
前田 京の条 雪が聞いてきた。
カード バハルの件からエバーに至る件まで事細かく説明した。前田 京の条 雪がかなり驚いていた。
元々四聖獣を信仰する土着信仰があった。そこに和議の大将軍 前田 源四郎が現れた。
その大将軍 前田 源四郎と4人の妻には、ある称号があった。それが神龍、虎王、精霊王(朱雀)、剣王(玄武)と言う称号が出た。
その称号こそが神の称号と言い伝えられ信仰の対象となっていた。最近になり神の称号を集める事で最高の存在になれると言う者達が出てきた。
その中心人物が占い師、和下駄 早雲(ワゲタ ソウウン)。中央ギルドの最高責任者の1人だと言う。
「わかった。色々と教えてくれてありがとう。今後そんな連中と関わらない事を願うよ。
それと君だけに特別に見せよう」
そう言ってステイタスを指輪から浮き上がらせる。
前田 京の条 雪が僕の称号を見て震えていた。
「僕のおばちゃんは前田 源四郎の奥さんの1人、ドラゴン族だ。僕の母は、ルカリオ サンム サーチ。前田 源四郎の娘。
母からおじしさんと同じ称号と聞いている。
余計なことをしなければ僕は君たちを敵として見ない、良いだろうか?」
前田 京の条 雪が土下座する。
「大将軍のお孫様と知らず、数々のご無礼を平にお許し下さい。
流石は大将軍のお孫様。明らかに強さに違いがございます。そこでと言っては失礼かもしれませんが、恥を承知でお願いがございます。
もしよろしければ我が和議の国も、リオン様の家臣として、庇護下に加えてはもらえませんでしょうか」
「それなら問題無かろう、なあ。リオン。
女がこんな必死に頭を下げている。それを受けないのは男が廃るってもんだ。なぁ、リオン」
メルニの勝手な返答に前田 京の条 雪が喜び、泣き始める。
翌日、ギルドの最高責任者達の死刑が決行された。現将軍の段上 金時 宗晴が見守る中、3人が切腹する。
前田 京の条 雪が僕達の横に付き、色々と説明をしてくれる。
「これは和議の方法で切腹と言います。我々は敵の手に落ちて死ぬ事を恥と信じています。それゆえ、自分のプライドを保つ為の措置でございます。
あの後ろに立つ者は将軍の剣術指南役、名を黒田 俊三(クロダ シュンゾウ)と言います。和議立っての強者でございます。」
そう言うと黒田 俊三が介錯(切腹した人の首を斬る)する。その腕は物凄く、僕は剣術だけでこの黒田 俊三には勝てる見込みは無い。そう思わされた。
その後、段上 金時 宗晴と会談。和議の正式な守護者となることが決まった。
和議の段上、前田、黒田の3人が僕達の拠点に来てみたいと話しがあり3人を連れてラピスに行くことになった。
メルニとサンベルジュにお礼を伝え後で顔を出すことにして、段上達3人とラピスに移動する。
その足でハマイルさんに会い、宿を準備。その夜は会食を行う。
3人は将軍の直系の子孫らしく。色々な事を教えてくれた。
その中でも黒田はスライム好きらしい。
その黒田にこっそりときかれる。
「リオン殿、リオン殿もスライムをテイムしているでしょう」
思わずドキっとした。最近の戦闘がはげし過ぎてフルとウインを使う事がなかった。にも関わらずわかるのか? そう思ってしまった。
「ちょっと、黒田、リオン殿に失礼だぞ。自分にテイム能力がなくてスライムしかテイム出来ないのを棚に上げて」
話しを盗み聞きしていた前田が口を挟む。
「そうであったな。流石にリオン殿がそのよう…」
「いや、その通りですよ。実は僕もスライムしかテイム出来ません」
「「そうなんですか!!!!!!」」
黒田と前田の2人が驚き過ぎて腰を抜かしている。
そんな様子を見てアルネが自信満々に言う。
「それ本当よ。リオンはスライムしかテイム出来ないスライムテイマーよ」
黒田が目を輝かせ僕の手を取る。
「おお~。心の友よ。私はやっと本当の友に出会えた。リオン殿、いや、リオンと呼び捨てさせてもらう。私はシュンゾウと、呼び難ければシュンと呼んでくれ。
これから仲良くしよう。私は水属性と、光属性のスライムをテイムしておる。
今回は連れてこれなかったが今度お見せしよう」
黒田 俊三と会話が盛り上がり2人だけで二軒目に突入する程だった。
翌日、段上と前田の2人が先に帰る。黒田は完全に二日酔いでダウンしていた為だ。
段上から、ナーラの港に黒田を持ってきてほしいと言われ、それを了解した。
黒田が起きるのを待って声をかける。
「シュン、酔いざましに稽古をしないか?」
「わかりました。よろしくお願いします」
シュンが折り目正しく挨拶をする。
練習場所にくるとルーニーが1人で練習を続けていた。
「ルーニーおはよう。僕達もまざっていいかな?」
「おはようございます。私はもう、終わります。其れより見てても大丈夫ですか?」
「かまわないよ」
そう返事をする。
木刀をもってシュンと向き合う。
「リオン、俺は心意流居合い術を使う」
「そうか、僕は柳一刀流を納めている」
シュンが右足を前に出し、右手で、柄をさわる。
僕が上段に構え、シュンを見る。鬼人族の前田 流言より、ピリピリとした空気を感じる。
しかしシュンは、スキがない。何処から攻めても負けるビジョンしかわいてこない。
凄い、やはり世界は広い。これほどの強者に会えるなんて、歓喜で我を忘れそうだ。
先にシュンが動く、動きに無駄がなく流れるように動く。一気に距離をつめ刀の当たる範囲に来たところで刀を横にないだ。
そう、それだけだった。
僕は何も動けずシュンに負けたのだ。初めてかもしれない、相手の動きに吸い寄せられた感覚。僕は感動を覚えしまった。
ルーニーが来て声をかける。
「リオンさん、生きていますか?」
「うん、生きてるよ。ルーニーの目にも僕が斬られたように見えたか?」
「ハイ。はっきりと」
それからシュンに稽古を付けてもらうことになり、リーンハルと2人シュンに弟子入りしてしまった。
シュンは理論的で、分かりやすく伝えるのが上手く。1ヶ月程留まってもらい教えてもらった。
シュンは人族だかまだ若く、僕達の子供ができたら剣術を教えて欲しいとお願いすると快く受けてくれた。
ナーラの港に送る日、姉さんが手伝ってくれる事になった。ワイバーンをつれて迎えに来てくれたのだ。僕は初めてナーラの首都に行き、港に付いた。
和議とナーラは古くから貿易を行っており、定期船も多く有るらしい。
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