第66話
この秘密基地。もとい、隠れ家は魔法の練習で作った場所だ。ブロックソイル(レンガ)を重ね外壁を作り中に空間をもうける。外壁の厚さは優に50cmは有る。そのなかは2階建てで寝床と椅子、テーブルを作って置いてある。外からは中が見えないが2階の1部は内側からブロックソイルを外すと外が見えるような工夫も有る。
隠れ家にみんな揃った所でどのように攻めるかが話し合われた。
先ずは現ギルドマスター アルルカン ソーニャの確保。それからギルド常勤冒険者3名の確保。証拠書類の確保、不要な四聖獣教団の壊滅。
この順番に行う事になる。現在 大陸中央ギルド所属のSSランク冒険者が向かっている。捉えた者は全て大陸中央ギルド所属の冒険者に渡す。そう言う段取りだった。
先ずは僕とエンリール ルイルさんがアルルカンに会いに行く。その際すみれと工藤 桃の条は隠匿魔法を使い同行する。アルルカンを捉えた後は僕達が他の職員がいれば確保しながら一階に降りる。カーリとアルネは外で待機、中に入るものは放置、外に出るものを捕縛する事になった。
工藤 桃の条からアルネとカーリに不実の腕輪を渡された。動物をテイムして使う風習がある和議では獣人族やエルフ族をテイムして洗脳する特殊技術を持つものがいるらしく、その対策として作られたのが不実の腕輪だと言う。その和議の技術が元になってナーラ国の獣人奴隷制度が発展したようだ。
アルネとカーリが腕輪を着けて準備が終わる。
アルネとカーリがこの隠れ家の2階で待機するなか僕とエンリール ルイルさん、すみれ、工藤 桃の条の4人でギルドの前に空間移動魔法を使って出る。
突入前にエンリールと呼び捨てするように言われる。エンリールから冒険者の鉄則だぞ。叱られてしまった。
すみれと工藤 桃の条が隠匿魔法を使い姿を消す。エンリールに予備のマントを渡し羽織らせてからギルドに入る。受付には新しい女の人が座っている。
「ギルドマスターのとアルルカン ソーニャさんに会いたい」と伝える。
「予約は有りますか?」
「いえ、普段予約なしであっているので」
少し待つ様に言われエンリールと食堂の椅子に座り待機する。外に人の気配を感じる。かなりの数だ。
受付嬢に呼ばれカウンターに行く。それを合図に武装した者達が入って来た。カウンターの中に隠匿魔法で姿を消したすみれと工藤 桃の条がいる。受付嬢を2人に任せて練習用の刀を出して来た者達を打つ。数にして20人は要ると思う。出来るだけ殺さないように加減をしているが打たれた者の何人かはすでに絶命していた。
1分と立たず入って来た武装集団、20人全員がたおされた。1階の武装集団は壊滅した。
エンリールがやはりお前が同じAランクは気に入らない。と言って文句を言い始める。エンリールは襲って来た者達の中に知った顔も入るらしい。それは決して弱くなく、Aランクと遜色無い者が何人か入るらしい。この辺の盗賊団で賞金が出る程の連中だ。
カウンターの中では工藤 桃の条が偽職員をとらえている。2人に生きている者を取り押さえて置くように伝えてマスターの部屋に行く。
2階に上がる階段に誰もいない。階段を上り切りマスターの執務室を目指す。部屋に人のいる気配は無い。
部屋をノックするも反応無し
「リオンです。アルルカンさん入るよ」
少し間抜けな声を出して部屋に入る。
隠匿魔法だと思う人が四隅にいる。入り口で止まり、エンリールに待つように促す。
「ここで姿を出せば殺さない。そのまま隠匿魔法で姿を消して要るなら殺す」
「……」
「それが返事だと受け取る」僕の右から近付いて来た者を練習用の刀で容赦なく打ち込む。姿が見えた男が倒れる。エンリールを引き連れ部屋まで入る。エンリールは先程倒した男の近くに立たせて動かないように言う。閉めたドアが少し開く。1人の女性が入って来た。他の隅に隠れた男3人が出てきて女性を捕まえ盾にした。
「この女の命が惜しければそこを動くな!!」
なんかお決まりの台詞を言ってくる。中に入った女性が敵か見方か、または無関係かわからないのに助ける必要もない。
女性の後ろに1人、その右隣に1人、少し離れて男が1人いる。
少し離れた所の男に斬りかかる。刃がついていないとは丁寧に切るとまだ斬れる刀だ。1人の男は右肩から腰の辺りで二つになる。女性の右にいる男の頭を刀で叩き倒した。
あまりの早さに見えていないのだろう。エンリールも含め。何が起きたか気がつかずにいる。
女性と男の後ろから声をかける
「茶番はいい。大人しくするか、ここで死ぬか撰べ」
「ひゃいん」男が驚き、後ろをみる。女はバランスを崩すが単刀を出して構える。
「どうする。死ぬか捕まるか決めろ」
再度声をかけると、女は降伏した。
「降参だ。我々は傭兵だ無駄死にするつもりは無い。それにさんずの川も金次第。あたしゃ生きる方を選ぶね」
男が後ろ見て「裏切ったな!!」と怒りをあらはにした。
僕がそのまま男の首の下辺りを叩き気を失わせて終わらせる。
傭兵の女と捕まえた男を1階に連れて行き、奥の食堂の所で捕まえた者を繋げて置く。見張りにエンリール、すみれ、桃の条で監視させる。
傭兵の女から声をかけられる「あんたレース レインの剣筋ににてるね。もしかして弟子か?」
「違う。どう考えてもそんな年じゃ無いだろう」
「そうか。なら天才ってやつか。凄いな」
傭兵の女が笑いながら話す。
「そっちこそよく剣筋が見えたね、それに逃げる気なら1人で逃げられただろう?
何故わざわざ捕まった?」
「あれあれ、そんなことまでばれているかい。あんた凄いね。あんた名前は?」
「人に教えるような名前何て無いよ」
傭兵の女がカラカラと笑う。その笑い方は全てを知っているかのような嫌な笑い方だ。
不意にギルドの入り口に強烈な強さを感じる。刀を構え入り口を見る。
傭兵の女も、エンリールも、すみれも気づかないのか驚いた顔をした。唯一桃の条が僕と同じように刀を構えている。
ドアが開き3人の男女が入ってくる中央が背の低い男で20歳位、エルフの男に、ローブをまとった女がいた。
「あれー、リュックニーギルドってここだよね。何も破壊されていないね」涼しい顔で中央の男が僕を見る。
「君がギルドマスターか?」中央の男に声をかけられた。
「僕は冒険者だ。このギルドの制圧の為に来た」
エンリールが緊張しながら声をだす。
「現在、このギルドマスターは不明だ。私はエンリール、2年前までここのマスターをしていた」
「そう?あんたか」何か興味を失ったような顔をしている。
「ホルスメン大陸中央ギルドから派遣されたパーティーだ、俺はハルル ローン。パーティーリーダーだ」
エンリールがまだ強張った顔のまま確認をする「ギルドペンダントと指輪を確認させてくれ」
3人のペンダントと指輪を確認。安心した顔をする。
「こんなに早く来てもらえるとは思いませんでした。こちらが捉えた族です。傭兵も混じって要るようです」
「承知した」ハルルが何かの魔道具をだすと捉えた者全ての体が簿縛された。外からナーラ国の国旗を持った兵士達を呼ぶと族を全て外に連れ出していく。
入れ違いでアルネとカーリがギルドに入ってくる。ハルルが2人の存在気付かす僕と話しを始める。アルネとカーリを見て緊張感をかもし出す。こっちを見て睨んで来た。違和感感じたぼくはアルネとカーリの前に出てハルルを見る。
「ハルルさん。僕のパーティーメンバーを紹介しますよ」口では仲良くしているがお互い相手を警戒している。
「リオン、大丈夫だよ。それにしてもリオンは猛獣使いなんだね。そんな猛獣は飼い慣らす事なんて出来ないだろう」ハルルさんの顔から笑顔が消え、強張りヒヤアセをかいている。
僕がカーリとアルネの肩を抱きよせ上から言う。
「そうですか、見ての通り可愛い女ですよ。僕には従順です。欲しくてもあげませんからね」そう言って微笑む。
「ははは」ハルルが構える。
ハルルの右横に入るエルフの男が何か魔道具を触る。エルフの男の周りから髪の毛より細い糸が飛び出してアルネとカーリに向かう。
僕が居合いで刀を抜きエルフの男の持つ魔道具を切る。返す刀です飛び出した糸を切り落とす。
刀を鞘にしまう所でハルル達が気が付き後ろに飛んで逃げる。どうにもワンテンポ遅れた反応が少しおかしく感じる。
ハルル達3人はすでに僕の刀が魔道具を切った事に気づいてはいない。
「リオン、刀を引いた方が良い。我々はSSランクだ」ハルルが虚勢を張る。
「余計な事はしないで下さい。僕は僕の仲間が傷つくのを嫌います。貴方達がアルネとカーリを傷つけるおつもりならこの場で殺します。貴方達の出した糸は全て切り落としましたよ」口調こそ優しいものの、僕の殺気を感じハルル達の雰囲気が代わる。冷や汗をかきながら各々に武器を持って構える。
白狐が外に出ると僕の前に伏せる。
「白狐、君がやるのか?」
白狐が僕の手をなめて甘えて来る。
「はぁ~。白狐様ぁ」すみれのだらしない声が聞こえる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます