第40話

兵士に呼ばれる、試験だ。


場所は謁見した場所と違い闘技場だ、観客席もあり、タイナーとモンナが一番見やすい席に座っている、観客席と闘技場の間の通路に杖を持った兵士がいる、おそらくタイナー達を守る魔法使いだろう。観客席に被害が行かないようにするのが任務だろう。


闘技場の中央にギルドの制服を着た男性がたっている。おそらく審判だろうと思う。


アルムを含む、飛行隊3名が呼び出される。アルムの他は30代の魔法使いとおぼしき女性、杖を持っている。

もう1人が大剣を持ち、背も高い男性だ、30代だと思われるが体躯が分厚く体の傷もその力を表している。


僕達も中央に呼ばれる。対戦は1対1で行い僕達は対戦して勝った段階で昇格が決まる。


組み合わせ

アルネ 対 飛行隊 魔法師  ルイル


カーリ 対 飛行隊 聖騎士 ダーリーズ


リオン 対 飛行隊 聖騎士長 アルム フォン リウム公爵



ルールとして、相手が負けを認めた時、審判が負けを認めた時、相手が戦闘不能となった時。


審判は首都 中央ギルドのギルドマスター

ランナー マルツ


闘技場の中央でギルドマスターのランナーを中心にタイナーの方を向く。タイナーが試験の開会を宣言する。


それぞれ闘技場の奥の席に座る。


ランナーの呼び出しがある。ランナーは何かしらの魔法具を使っているのか、地声がでかいのか、ガヤガヤと雑音が有るなかでよく通る声で話しを進める。


「私は、ギルドマスターのランナーと申します。審判をさせて頂きます。先ずは魔法師同士の戦いです。結界魔法をお願いします」


通路にいた魔法使いによって闘技場全体に結界が張られる。流石に王宮に使える魔法使い、凄いレベルの結界をはる。


アルネとルイルが中央に陣取る。ランナーからの簡単な説明のあと、試合が始まった。


ルイルが無詠唱で結界をはり守りを固める。

「ごめんね。私攻撃魔法が劇的に弱いの、防御専門、でも陛下の専門結界師だから。私の結界は破られないわよ」


アルネが少し拍子抜けした顔で

「そう。私は人より魔力が強すぎて弱い魔法を使えないの、もし怪我とかしたらごめんね。先に謝っておく。人が死なない程度何てチョウセイできないから」


アルネが無詠唱でファイアーボールとアイスボールをだす。共に球体の大きさが1mを優に超えている。


アイスボールを飛行隊のルイルに飛ばす。ルイルは結界を強化するが、アイスボールの威力が強く結界が砕ける。ルイルは結界を何重にも張り直し、押されないようにする事に必死のようだ。


アルネがその間にさらにファイアーボールを巨大化させる。優に2mを越えるファイアーボールがすでに5個も出来ている。


ルイルが超級クラスの魔法は聞いたていないと言ってランナーに抗議したがランナーがその抗議を拒否。そのまま続投となる。


アルネがファイアーボールを1つづつ飛ばす。ルイルは2.3回耐えたが5発目には完全に吹き飛ばされた。


ルイルが吹き飛ばされたことで結界が消える。


「ルイルさんまだ続ける? 私は肩慣らしにもなってないけど」

アルネの言葉に怒ったルイルが剣を手にアルネに襲いかかる。


向かい側の席からダーリーズの叫び声がした。「ルイルは剣も得意だ、飛行隊でも上位にはいる、魔法使い程度には負けないぞ。やめるなら早めにな」


ルイルの剣がアルネの頭の上から振り下ろされた。

まさか、飛び上がり両足が地面についていない状態での攻撃だとは思わなかった。不意打ちならまだしも、剣の扱いに慣れた者に行う対応とは、思えない行動だ。


アルネが剣を抜きざまに右前にルイルのお腹を切りながらルイルをかわす。ルイルがそのまま地面に倒れ伏せてしまった。


ランナーが試合を止め白魔術師を呼びルイルの治療を行う。ルイルの傷が消え立ち上がる。ルイルはランナーに試合向こうを訴えた。


理由として、魔法が超級であると言うこと。剣が使えるとは申請されていないと主張する。


ランナーが書類を確認中にルイルが来て叫ぶ。「貴方達、どんなインチキをしたか知らないけど。申請不備は資格損失にかかわる出来事よ。陛下の前で恥じを知りなさい」


その言葉にイラつきを覚える

「悪いがアルネは魔法戦士として申請している。魔法と剣術が使えるのは当たり前の事だ。それにアルネの唱えた魔法は初期魔法のアイスボールとファイアーボールだよ。もし陛下の御前で、こんな言いがかりをつけたとなったら、僕がお前を許さない」


白狐を呼び出す。体長3m近い体躯で白い毛並み、九本の尻尾を出した白狐が隣にでる。


頭を体に擦り付けゴロゴロと甘えてくる。


ルイルが白狐を見て腰を抜かししゃがみ込だ。ダーリーズがルイルの前に来て大剣を出し構える。ダーリーズもルイルも白狐の凄さを肌で感じたようだ。


ランナーが間に入る

「申請内容を確認した。アルネ リカリオはBランクの魔法戦士で間違い無い。よってルイルの申し立てを却下する。ただ、魔法の威力が強いのは確かだ、よって魔法師3名に結界魔法をはってもらい中級魔法を1度しようしてもらい判断したいと思う。アルネさんお願い出来るか?」


「魔法師なんて不要よ。ここにいるルイルとダーリーズが受ければいいんじゃない。ここまでこけにされたのは初めてよ、本気の私を見せてあげる」

「ファイアーバート」

アルネの上に炎の鳥が5体現れる。サイズはそれぞれ2mを越え、熱量は先程のファイアーボールとは比べものにならない位にあつい。


そのままファイアーバートを飛ばす。ルイルとダーリーズの前でファイアーバートが消えた。アルムが2人の前で結界をはり魔法を止めた。ただアルムも無傷ではなく、両手、両足等、体の1部が焦げていた。


観客席からため息と歓喜の声が漏れた。早速あの冒険者に接触しろ等と、様々な声が出た。


アルムがルイルとダーリーズを素手で殴る。2人は壁まで飛ばされ意識を失なった。

アルムが僕達を見て謝罪した。

「アルネ、ごめんなさい。私の管理不行き届きです。こんなに不快な思いさせて申し訳ない。

陛下を守護するの飛行隊がここまでレベルが低く、稚拙で恥じ知らずがいたこと自体恥ずかしい。


失礼だと思うが、良ければ今回は我々の負けとして貴方達3人の昇格を通達したいと思うが受けてくれるだろうか」


アルネがこっちをみる。僕は白狐を元の刀に戻し

「アルム公爵様。その申し出はありがたい言葉ですが、昇格を決めるのは僕達ではなく陛下とギルトです。僕達は陛下の言葉に従います。このまま昇格もよし。日にちを改めて対戦もよし。

ただ、後日対戦する時に条件をつけるなら対戦相手はアルム公爵様と同等の能力の方をお願いします。そうでなければ僕達が笑い者にになります」


僕の言葉に観客席がざわついた。自らAランク昇格を蹴っただけでなく。アルム公爵と同等の者を連れてこい等、命知らずな田舎者の言うことだ。


アルムが頭を下げ「申し訳ない。現在、私に近い者が皆、首都以外で活動をしている。現在は戦える者は私しかいない。よろしければ私との対戦で昇格を決して良いだろうか」


観客席がさらにざわめいた。アルム公爵がでる。これで昇格が無くなった。皆口々にそう言っている。観客の中には終わったと言って席を立つものもいる。


「僕は構いません。後は陛下とギルトに決める事です。ただアルム公爵様、ご英断ありがとうございます。私もアルム公爵様とお手合わせしたかったと言うのが本音です」


タイナーが通路まで降りて来てランナーと話し込んでいた。そこにアルムが行き事の顛末を伝えた。タイナーがニヤっと笑い席にに戻って行った。


ランナーが観客席に向かい説明をした。

「陛下、アルム公爵と話しあった結界、今回飛行隊の2名が戦闘不能になった事からリオン、アルネ、カーリの3人を全員昇格とする事にしました」


その言葉にブーイングがでる


「ただし、受験者のリーダー。リオンよりアルム公爵との対戦の希望がありました。我々ギルトは陛下の指示に従いこの申し出を許可いたします。これより受験者のリオンの実力をとくと見ていただき、皆様にAランク昇格試験の難しさを再度確認していただきたい。そう思っています。

アルム公爵の実力は皆様ご存知の通り、その公爵にどれ程、接近出来るかも見たいものです。開始は1度休憩をいれて30分後から開始します」


一斉に席を立つ観客、アルムは1人静かに席に座っている。


アルネを見て「ごめんな嫌な思いをさせて」と謝った。

「いいよ。上級者がいないならしかたないし。それよりアルムさん大丈夫かな。部下の失態って結構響くでしょう」


「そうだね。だからこそ、圧倒的な力でアルムは勝たないといけない。アルムの集中の邪魔はしないようにしないとね」


「リオン何か楽しそう。本当、戦闘狂だよね」とカーリが嫌そうな顔で見てくる。そんな顔してたかな。


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何時も読んで頂き有り難うございます。


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