第39話

夜、誰かに呼ばれた気がして目を覚ます。

それはどこか懐かしく、不快で何故かイライラさせれる。


アルネが僕の異変に気かついて目を覚ます。

「リオン寝れないの?」

そういって横になりながら抱き締めてくれた。アルネの胸に顔があたる。

「男の人ってこうすると落ち着くって聞いたから、寝れるまでこうしてるね」

優しくそう言ってくれる。

僕は甘えてアルネの胸に顔を埋める。アルネの香りがする。優しくて甘い香り。

アルネの優しさに包まれながらまた、寝ることができた。


朝とても疲れた状態で目を覚ます。また、あの声だ。どうにもイライラとさせられる。

普段、練習するため早く起きるのだか今日は寝過ごしてしまった。アルネとカーリが起きて出かける準備をすませていた。


カーリからリーンハルとルーニーが到着する時間だからギルドに迎えに行ってきてと声をかけれた。

もうそんな時間か?


そう思いながらギルドの受付に降りていく。カウンターに人だかりが出来ていた。男達が集まりゴタゴタとやっている。その中から僕を呼ぶ声がきこえる、男達の中心にリーンハルとルーニーがいた。

男達の中に無理やり入りリーンハルとルーニーを連れて出ようとしたが、戦士風のキザっぽい男に捕まれた。

「兄ちゃん、こんな可愛い子1人締めは駄目だろう。俺が1人預かってやるよ」と絡んで来る。周りからもヤジが飛んで来る。


「悪いけど、今日は機嫌が悪い。絡まないでくれるか?」

辺りの男達が笑い出す。「僕ちゃん、ママのおっぱいでも吸ってな」

と声が聞こえた所で我慢の限界が来た。


リーンハルとルーニー以外に向けて威圧をかける。手加減無しだ。

周りにいた男達や、冒険者達、ギルドの制服を来た者等、重力に押し潰されたように地面に伏している。

どこからか「くそ、早く威嚇をとけ!」そう声が聞こえた。

その言葉に反応し威圧をさらに強める。建物がギシギシと音を立て周りからうなり声が聞こえる。何名かは完全に意識を失ったようだ。数名の男女が辛うじてたっている。


その中の女性騎士が「君達にちょっかい出さないようにさせる。もう威圧を解いてくれないか?このままたと弱い奴は死んでしまうよ」


「わかった。貴女の言葉を信用する。それに今日は昇級戦がある、この辺で勘弁してやる。2度と僕の仲間に余計なことはするな」

そう伝えると威圧を解いた。

ギルドのなかから声をかけられる。


「リオンさんのお久しぶりです。最初に受付をさせてもらったモンロー マリーと言います。原則、ギルド内では争いは禁止です。それとギルド内では威圧も禁止です。わかりましたか」


「わかりました、今後気を付けます」


モンローさんがニコっと笑い

「首都に戻られたのですか? 首都にいる間は私がリオンさんの担当になります。あと後ろお姉さん達にいたずらしたら連中については、しばらくギルド利用停止処分とします。首都ギルドもいやな所では無いので、いつでも来て下さい」


モンローさんに挨拶をして、リーンハルとルーニーを連れて部屋に入り、みんな揃って食事を取る。

食事をしているとガンスが来た。ガンスは本当に自由だ、彼には出入りできない所は無いのだろう。


リーンハルとルーニーに試験が終わってからガンスの村に行こうと思っていると伝える。リーンハルとルーニーも一緒に行かないかと聞くと、即答で行く。そう返事があった。


試験時間になり王宮に入り口で手続き行い、兵士に先導され王宮の間に来た。


膝を付き合い平伏して陛下の到着を待つ。


兵士が「タイナー殿下、モンナ王妃殿ご到着です」と声をあげる。


僕が先頭で後ろにアルネ、カーリ、リーンハル、ルーニーの順に4人が並び待つ。


陛下と王妃が席に座った。

「リオン、本日の昇格試験はかなり厳しと思う。受ける者もお前達だけだ。存分に実力を発揮しろ」


「「「はい」」」


「表をあげよ」陛下からのお許しがでる。


頭をあげ挨拶をする。

「太陽なるタイナー陛下、親愛なるモンナ王妃殿下におかれましてもお元気そうで嬉しく思います。首都を出てからなかなかお会いするお時間がなく、ご挨拶にこれかなったご無礼をお許し下さい」


モンナがニコニコしながら「リオン本当に久しぶりです。試験が終わったらゆっくりと首都にいるのですか?」

普段の砕けた話し方ではなく、どことなく威厳を持った話し方をする。


「申し訳ございません。もし昇格出来たら、しばらくは知り合いのところにこもり、更なる強さを求め修行に明け暮れたいと考えています」


モンナが驚いた顔をする。

「リオン、貴方はよくても周りが良くありません。これは命令です。試験のあと、結果にかかわらず1週間は首都に残り何もしない事、わかりましたか」


タイナーが苦笑いをしてモンナを見ている。こうなるとモンナはテコでも動かない。

「かしこまりました。このリオン謹んで王妃殿下のご命令をお受けさせて頂きます」


「よろしい、後ろの者達もよいな。お前達全員だぞ」

「「はい、かしこまりました」」


タイナーとモンナとの挨拶が終わり、2人が戻った。


兵士より、この後1時間頃に試験を開始すると説明があった、それまで控え室で待機となる。控え室にいか途中、侍女に呼ばれる。みんなでついて行く。


兵士が部屋の入り口で警備をしている、侍女はその部屋に入り僕達に入るように促す。部屋に入るとタイナーとモンナがいた。

タイナーが「かしこまらなくていい、私とモンナは、リオンの古くからの友人だ。今は友として接している」


リーンハルとルーニーは緊張してまだ硬い表情をしている。


「タイナー、モンナ。2人に紹介したい。アルネとカーリ。今、2人と付き合っている」


アルネとカーリが挨拶した。

「タイナー、噂は本当だったんだ。あのリオンに彼女が出来た。あ~、どうしよう。私夢を見てるみたい。こんな奇跡あるの~、あのリオンが女の子と仲良くするなんて。あ~」モンナが顔を両手で押さえ、興奮している。


「ねぇモンナ、そう言う悪口は僕のいない所でしてくると嬉しいな」


「リオン、悪口じゃ無いわよ。嬉しくて舞い上がりそうよ。アルネにカーリね。リオンをよろしくね! 何かリオンが悪さしたら何時でも言って来なさい。私が凝らしめてやるから」と口をとがらせている。


嬉しいけど何かひどい言い方。


「今日は宿は有るか」

タイナーが聞いてきた。


「いえ、そのままギルドに止まる予定です」


「ならちょうどいい。試験は今日1日で終わる。アルムの家に全員行こう。パーティーだ。アルムもみんなの事を待ってるぞ、アルムの家にそのまま泊まればいい。アルムからも試験が終われば同じように言われるぞ」


アルムならあり得る。だってアルムだもん。


試験時間が近づきタイナーとモンナと別れて控え室に入る。控え室にはガンスがいた。本当、王宮まで出入り自由って、こと人なに?って思うよね。


「ガンスもアルムの家に呼ばれいるの?」


「いや呼ばれてはいないが、弟子の顔を見に行く予定だ」


「ならみんなで行こう」


アルネとカーリはガンスにあっても問題無くなった。リーンハルとルーニーは緊張してはいるものの何とか問題無さそうだ。


兵士に呼ばれる、試験だ。

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