第43話

ここ数日、頭の中に僕を呼ぶ声が有る。アルネは感が鋭いからその事を心配しているのかも知れない。


朝食を食べに食堂に集まる。タイナーとモンナもいる、昨日王宮に帰らなかったようだ。


「リオン、今日は謁見の間で新任式を行う。忘れずにこいよ。後リーンハルとルーニーもリオン達に同行して問題無いよ」

タイナー曰くAランク以上は御披露目をする風習があるらしくその為、王宮に行く必要が有るらしい。それとライズとオランさんも来ることになっているらしい。


食事を終えて4人を部屋に呼ぶ。


「ちょっと話しておきたい事が会って来てもらった。

このところ僕の頭の中に聞こえる声があって、そのせいで物凄くイライラしたり、寝れなかったりしている。

しかもその声は僕を自分の子供だと思っていて、会いにこいと言ってる。

最初はただ疲れただけだと思っていたけど、そうでは無いようだ。おそらくこれから僕達に何かよからぬ事が有ると思う」


「リオンはその声に聞き覚えはないの?」

アルネが真剣な顔で見ている。

「詳しい事はわからないけど懐かしく思う声だよ、声だけ聞くと何故か落ち着くのは確かだよ」

「わかった。リオン教えてくれて有り難う、1人で抱え込まなくて良いからね」

カーリが優しく言ってくれる。


確かに今はそれしかわからない、これ以上は何も出来ないのも当たり前かも知れない。


全員揃って王宮に向かう、謁見の間に向かう前に控え室でオランさんと会う。オランさんから昇格のお祝いの言葉をもらう。ライズについて聞くと謁見が終わってから話しが有ると言っていたらしい。


謁見の間に行き、膝をつき開始を待っているとタイナーとモンナが連れだって来た。


謁見が始まる。

「リオン、アルネ、カーリ、この3名をオーヂエン国 国王としてAランク冒険者として認める。拠点マラリエのギルドマスター、オランの了承の元、正式にAランク冒険者としての資格を与える」


「有り難うございます。これからも奢ることなく精進し、Aランク冒険者の名に恥じないように心がけます」


兵士が前に来る。タイナーに平伏しながら近づき証書を取る。後ろを向くと背を伸ばしこっちに来る。

「国王陛下より、証書である」

そう言うと証書を渡される。

「謹んでお受け致します」


Aランクの承認式が終り、タイナーとモンナが退室した後、我々が退室する。

控え室にいるとライズからの呼び出しが有る。ライズの王宮内の執務室に向かう。テーブルセットがあり割りと広い部屋だ。ライズとオランさんが待っていた。


2人の迎いに座る、真ん中に僕が座り両隣にアルネとカーリが座るその隣にリーンハルとルーニーが座った。


ライズからの説明が有る。

「リュックニーについて手続きをしているが直ぐには行けないようだ。ナーラ国が入国を少し拒んでいる。今回のリュックニーの問題に原因があると思われる」


「ライズ様、その説明は私が」

オランさんが代わりに話をする。


「リュックニーのSランク相当のパーティーがやられたそうです。ただ、ダンジョンを閉鎖することも出来ず軍隊を投入して対応を行っていますが未だ解決の目処がたっていません。その為、ナーラ国より一次避難命令がリュックニー周辺に出されました。現在ギルドも問題解決に向け対応していますが目処がたっていません」


「おってナーラ国から正式に各国に要請が有ると思いますが、現在は入国手続きも出来ない状態です、しばらくリュックニーに行くのを待って頂けますか? 入国手続きが行えるようになったら必ずお伝えします」

そう言ってオランさんが謝罪した。


「構いません。僕達も急いではいません。少し知り合いの所に行き更なる強さを求めたいと考えております。我々とルーニー、リーンハルはこれから少しの間アメールのギルドを中心に活動します。アメールに連絡を頂ければ連絡はとれるようにします」


「オランさん。今回僕はアルムに勝てませんでした。要するに僕が弱い事を示しています。おそらくリュックニーに行っても生きて帰ってこれる可能性は低いと考えています。リュックニーに行っても、またここに帰ってこれる力を先につけたいと思っています」


「リオン、アメールに拠点をおいて何処かに行くと言うのか」ライズが怖い顔で言う。


「はい、しばらく魔属の森に潜って腕を磨きたいと思っています」


「魔属の森に誰かいるのか?」


「ライズも会った事があると思います。ギル マイルです。そのギルの弟でガンス マイルと言うドラゴンが自らの村を造りひっそりと暮らしています。そこに行き鍛え直したいと考えております」


「ギル マイル様に弟君がいるのか?その方は強いのか?」ライズが驚き固まる。


「強さで言えばギルより強いです。ただ、ガンスは自由人です。ギルのように王としては生きれない性格をしています」


「連絡は取れるようにしておいてくれよ。それとリーンハルとルーニーも連れて行くのは構わんが決して死なすなよ」


「わかりました。ライズ、僕が約束します。リーンハルとルーニーは生きてラピスに戻すことを」


オランさんがわからないと言った顔をしてこっちを見ている。

「リーンハルとルーニーは知ってるのね? 2人はそれを承知で行くのね?」


「はい、私達もリオンさん達とはいつまでも一緒と言う訳にはいきません。ですが私達が情けない姿を見せるとリオンさん達に迷惑がかかります。私達は自分達の意思でより強くなることを目指して行く事に決めました」


オランさんが諦めの表情で2人を見ている。

その後、ライズとオランさんが仕方ないと行った顔で諦めた。僕達は先に戻る事を伝え部屋をでる。

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