第42話

Aランク昇格試験が終わりタイナーと別れ、一旦ギルトに戻り昇格手続きをする。


受付嬢のモンローさんから説明を受ける。


Aランクからギルトカードではなく指輪が証となる。Aランクがプラチナの指輪とネックレスチェーンにプラチナのAランク表が取り付けられたも物が渡された。


受付嬢のモンローさんの説明によると、Aランク以上は様々な場所に行くことが多く、カードだと何かと不便もあるらしい、指輪がギルドカード代わりでネックレスがランクを示すらしい。この指輪とネックレスは全世界共通らしくどこのギルドでも受付してもらえるらしい。


ひと息ついて、ギルドの食堂で休んでいると沢山の冒険者からパーティーを組もうとお誘いの言葉を受ける。

ただ男達の目が女性陣に向けての事なのがやっぱり気にくわない。

挙げ句リーンハルとルーニーにまで言い寄る状態に嫌気が差してきた。


そんな盛り上がりの中、ガンスがわって入って来た。ガンスの登場で辺りから潮が引いたように人がいなくなる。


「リオン、お前相変わらず弱いな」ガンスが笑いながら話す。


「すみません。アルムにはまだかないませんでした」


「いいさ、鍛えがいが有る」

ガンスを迎え少し落ち着きを取り戻し少し遅めの昼食を取る。

ガンスは相変わらずエールばかりを頼む。


「ガンス、エールだけで良いですか? 何か食べませんか?」心配になり聞くと

「気にするな、アルムの屋敷でたらふく食う予定だ」

そう返事が来た。その内、仕事を終えた受付嬢のモンローさんが何故か合流して早々と宴会が始まる。


アルネとルーニーは、お酒が強くガンスと並びよく飲んでいた。カーリとリーンハルが甘いスイーツで盛り上がる。

僕と受付嬢のモンローさんが料理をたべながらマイペースでエールを飲み楽しんでいた。


やはり回りの目が痛い。「チクショウ、女に囲まれて、1人寄越せ」

等酷い言われようだか、直接言い寄って来ない分、気がらくだ。


いい加減、盛り上がった所で王宮の兵士が迎えに来た。受付嬢のモンローさんとお別れしてアルムの屋敷に向かう。


屋敷につくとアルムが出迎えてくれた。これにはみんな驚いてしまった。

屋敷にはいるとタイナーとモンナがいて「遅い」と文句を言われた。


入り口でガンスは止められたが僕のパーティーメンバーとして中に入った。


通された部屋は立食パーティー用の部屋でかって知ったる身内だけがいる部屋だった。


タイナーがグラスを持ちパーティーを開始させる。

「リオンのパーティー全員が昇格したことを祝って。乾杯!!」

タイナーとモンナが来ると。

「リオン良かったぞ、アルムを追い込んでくれて。アルムの実力が各国にしれわたってほっとしたよ」なんか昇格よりも別の話題が多かった。

アルネとカーリは飛行隊に負けないと言うのが大方の予想だったようで、その後どの様にしてアルムの実力を各国に魅せるか、その事が今回のテイマだったようだ。


何かタイナー達の思い通りに事が進んだ事がか腹立たし気がする。


盛り上がるパーティーを抜けテラスで休んでいるとアルムが来た。

「やっぱりここにいた」


試験の時と違いドレスを身に付けお姫様のような雰囲気をかもし出していた。

「アルム、とても綺麗です」


「お~、彼女達に言ってやろう、彼女をほっておいてアルムを口説いているって」


自分で言うかね。


「今日は負けました。いつになったら、アルムに勝てるようになるのか、何か自信を失うよ」


「ふふん。まだリオンに負けてやる気は無いぞ。でもだいぶ強くなった。たった1年程で良く頑張ったな」


「ありがとうアルム、そう言ってもらえると自信に繋がるよ」


「所で、飛行隊に来ない。リオン達なら歓迎するぞ」


「アルム、僕は王宮にも、貴族にも興味が無い。ましてギルドが決めたこんなランクにもね。


・・・


ごめんね、面倒な事をアルムに押し付けて」


「いいのよ。公爵家の仕事は、私にはわりに合ってるし、リオンが人嫌いなのも知ってる。それにリオンは1つの国に収まっちゃいけない人なんだよ。


でも、ここは貴方の家だから、いつでもおいで。私がおばあちゃんになってもリオンを面倒見てあげる。行くところが無くなったらおいで。私はいつでもリオンの見方だから」


「うん。アルムありがとう」


アルネとカーリ、リーンハルとルーニーがおずおずしながらテラスに来た。


アルムが声をかける

「早くおいで、ほらリオンに綺麗な姿を見せなさい」


アルネは橙色のロングドレスに身を身に付け、カーリがおとなしい黒のタイトドレスを来ていた。

2人の眩しさに思わず見とれてしまう。

「アルネ、カーリ綺麗だよ。思わず2人に見とれてしまった」

恥ずかしそうにしていた2人から笑顔が出た。

アルネがリーンハルとルーニーを呼ぶ。

「リーンハル、ルーニー良く似合っている。綺麗だよ」

リーンハルとルーニーが緊張しつつ「こんなドレス初めて来ました。お姉さんが私達の為に準備してくれていました」と教えてくれた。


アルムの気遣いに頭が下がる。普段冒険ばかりでこんな綺麗な姿はなかなかお目にかかれない。


4人をエスコートして部屋に戻るとモンナが気付いて近寄って来た、アルネ達を見て

「リオン、あんたこんな可愛い子、どこで見つけたの? みんな素敵じゃない。私の回りいつもいて欲しいくらいだわ。

でもタイナーが鼻の下を伸ばして仕事しなくなりそうね。それは困ったな」

と真剣に考え出す。


タイナーも来るとびっくりした声で

「リオン? このお嬢さん達ってリオンのパーティーの子達だよね?


綺麗な子達だと思っていたけどこれは驚いた。ぜひモンナの所で働いてもらいくらいだよ。こんなに強くて綺麗な子はめったにいないよ」


アルネが「リオンに捨てられたら雇って下さい」

と、いたずらっ子のような顔て言う。俺ってどんなやつなんだろう?


今日のパーティーは深夜まで盛り上がった。


◇◇◇◇◇◇


≪私の可愛い坊や、どこにいるの≫

直接聞こえる不快な声、何故か今日はハッキリと聞こえる。凄く不快になる。

≪坊や、私をおいてどこに行ったの?私を助けて。早く来て≫


不快感が凄く目が覚める。アルムの屋敷の部屋を出て庭の椅子に座る、月明かりが心地よく夜風が涼しく少し気持ちが晴れた。


何が原因かわからないが聞こえる声、懐かしく嬉しい気持ちが有るが不快で気分を害する不思議な声だ。

私の可愛い坊や。まるで子供を待つ親のような囁きがさらに不快な思いにさせる。この声は何を望んでいるのか?

僕を導いているのか?

それとも罠にはめようとしているのか?


答えの無い問いかけが余計にイライラとした気分にさせる。そして声と一緒に感じる視線、確実に僕を見ている。


そう感じる。


部屋に戻り眠ろうとしたが落ち付かずゴロゴロとベッドの中を行ったり来たりして時間を過ごし、朝を迎えた。


朝早くにアルムの屋敷を出てギルドに来た。得に用事は無く散歩がてら訪れる。流石に朝は人もいなく何も無い。

ハマイルさんのお店に来た。朝の開店準備で忙しくしている。

自宅があった場所まで来ると、大きな空き地になっていた。

ご近所さんに見つかる前にまたアルムの屋敷に来た。


部屋には行かず庭の椅子に座り休んでいるとアルネとリーンハルがやって来た。

アルネが「探したぞ」と言って隣に座り、リーンハルが向かいに座る。

「なんか合ったの?」

アルネに聞く。

「部屋に襲いに行ったらいないから心配したぞ」

それってどういう心配? 襲うってなに?

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