第44話

アルムの屋敷に戻りアルムと会う。これからラピスに戻る事を伝えるとアルムが悲しそうな顔をしてはいたが送り出してくれた。


王宮に行きタイナーとモンナにラピスに戻る事を伝え首都を後にする。


マリエラ行きの馬車に乗り込み移動を始める。カーリの乗り物酔いに付き合いながら戻って来た。何だかんだ、拠点に戻るとやっぱり落ち着く。


ハマイルさんから借りている部屋に戻り何もする事なくベッドに入り寝てしまう。僕はこの場所が案外好きなんだ。そう思った。


次の日、雑貨店の混雑している音で目を覚ます。なんと雑貨店に行列が出来ていた。窓から外を見てるとカーリが来て

「凄いでしょ、何でも私達の試験が終わってからずっとこうなんだって。ハマイルさんが喜んでいたよ」


「おはようカーリ。ハマイルさんと合ったの?」


「リオン、おはよう。リオン昨日帰ってからずっと寝てたでしょ、昨日ハマイルさんと会ったら教えてくれたの。リオン効果って呼んでたよ。それからハマイルさんが目が覚めたら1度お店に来て欲しいって」


部屋を見渡すと、カーリと僕しかいない、アルネはリーンハルとルーニーを連れてギルドに行き結果報告とこの後の予定を伝えに行ったらしい。

ベッドに座り混んでぼーっとしているとカーリが抱きついて来る。

最近わかった事だけど獣人族のカーリって獣の毛に近い髪質をしていてモフモフしてて触ると気持ち良い。カーリの頭を撫でながらモフモフするのが最近のマイブームになっている。


モフモフしててもカーリは嫌じゃ無いらしく触らせてくれるのが嬉しい。ひとしきりモフモフした後、ハマイルさんのお店に顔を出す。従業員の人が増えていてお店も繁盛していた。


奥に行きハマイルさんと会う。奥の高級品を扱う部屋に通された以前はなかったテーブルセットが有り、カーリと2人座ってハマイルさんと話す。


ハマイルさんが言うには、Aランク試験が決まった辺りから僕達が良く使うお店と言うことで忙しくなって、試験合格が決まってから連日大盛況となっているらしい。


「リオン君、疲れて要るところ悪いね。ちょっとお願いがあって、リオン君。これからダンジョンにはいったり、外でモンスターと対戦する事も多いと思う、その際倒したモンスターを私の所に優先的におろしてもらえないかな」


「僕が捕らえた物を卸すのは問題は無いです。ただ、リーンハルとルーニーはまだ昇級するに当たり、ギルドに優先的に卸す必要が有ります。またマラリエにカーリが武器店を持っています。ある程度ですが武器素材をそのお店にも卸したいと思っています」


「そこはどんなお店ですか?」ハマイルさんが商売人の顔になってる。


「神谷 一文字と言う人が任されてやっています。この方は、刀鍛冶の職人さんです」


「そうですか。神谷さんとは我々も少しお付き合いが有ります。神谷さんの作る刀は特に優れています。Cランク以上の冒険者の方に良くでるんです。


カーリさん。良ければ神谷さんの作った武器を私どもに卸しませか?お店は、ここと首都ラアドにも有ります」


カーリがちょっと考えて「お店は私の名前を貸してるだけなので神谷がそれで良ければいい。駄目だったらごめんなさい」


「よろしければ、これからマリエラのギルドに行く予定です。時間があればご一緒にいきませんか? 先に神谷さんにお話をして頂いても構いません。いかがでしょう」


「わかりました。僕とカーリもご一緒します。僕も神谷さんに会おうとしていた所です」


1度ハマイルさんとマラリエのギルドに行く。カーリと一緒にギルドで暇を潰し、ハマイルさんの用事が終わって神谷さんに合いに行く。


ハマイルさんは神谷さんの作る武器を仕入れたいと言って話を始める。色々と話を終えた後、神谷さんから「私は商売が苦手で販売してもらえる方がいると助かる」

そう言ってハマイルさんとの話しを終える。


ハマイルさんは別の商談が有るらしく忙しく出ていく。

「神谷さん。この素材を神谷さんにと思って持って来ました」

ラピスのダンジョンで拾ったミノタウロスの角とゴーレムの魔石を渡す。


「角と魔石は、この刀のお礼です。それからカーリは僕と共にしばらく留守にします、その事をお伝えしたくて来ました。またいい素材が入れば持ってきますね」


神谷さんがお礼なんていらないのにと言ってはいたが、やはり良い素材は欲しいらしく、また手に入れたら持って来てもらえるかと言っていた。


翌日、ギルドから呼び出しをうけた。なんとアルムがいる。アルムが話したい事が有ると言うことで場所を変える事にした。


リンゴの卵亭に行き、個室を借りる。

この店はハマイルさんが経営しているお店でリーンハルとルーニーの歓迎会でも使ったお店だ。僕とカーリ、アルネとアルムの4人で個室に入る。


「姉さんどうしたの、僕も話したい事が合って近々顔を出そうと思っていたんだけど」


「ちょっとね。リオンのお母さんの事でね。私のお父さんとお母さんがそろそろリオンに教えた方が良いんじゃないかって言っててさ」


「そうかですか、実は僕も姉さんに母の事を聞きたかったんです。カーリとアルネには伝えたけど、最近僕の頭の中に直接話しかけて来る声があって、もしかしたらと思っていた所でした」


「一応、私が知ってる事を伝えるね。後はリオンがどうなるかはリオン次第、カーリ、アルネには負担だと思う。

一応、私も女だから2人の負担はわかる。途中でも嫌になったら出て行っても問題無いからね」


「先に言っておく、私が子供が出来なくなったその理由はリオンのお母さんよ。アルネとカーリも同じ状況になる可能性もある」

アルムは子供の頃の話しから始める。リオンがさらわれた日、アルムは呪いをかけられた、リオンの母親よって。

リオンの母親は、名前を ルカリオ サンム サーチと言う。


元々リオンのお祖父さんの家でメイドとして働く女性だった。リオンの父親がリーナ(継母)との結婚前に無理やり関係を持ち、産まれたのがリオンだ。リオンの母親は相当な難産だったらしく、産まれたリオンを物凄く可愛いがった。

リオンのお祖父さんはその事を知ると父親を家から追い出しリオンと母親を迎い入れて、リオンに爵位を譲ることにして、アルムとの婚約を決めた。

それから2年がたちリオンが2才になった頃、リオンの父親は別女性と結婚。その翌年にリオンの弟ベリスが産まれた。その年、リオンのお祖父さんが遠征中に事件が起きる。リオンの母親が毒殺される事件がおきた。


当然リオンにも毒が盛られるが、すんでの所で助かったらしい。


みんな知らなかった事だが、リオンの母親はハーフドラゴンだった。その事を知ったリオンの父親はリオンの母親を殺し、あろうことかダンジョンの中に遺棄したのだ。まだ幼いリオンとその母親の死体を連れ出し、ダンジョンに入り絶滅の谷と呼ばれる谷に、リオンと母親の死体を捨てて自分だけ戻って来た。


その後リオンの居場所が判明して、リオンとアルムのお祖父さんがリオンの救出に向かった。


その時の戦いで、リオンのお祖父さんは怪我を追い、その怪我が原因で亡くなった、アルムのお祖父さんもリオンを救出後、体調をぐずしリオンが8才の時に亡くなった。


母親の思いは強く時に我が子を毒す。リオンの母親はアンデットドラゴンとなり、リオンがお祖父さん達に救出されるまでダンジョンにいて。母親だったアンデットドラゴンのお腹の中で生きていた。アンデットドラゴンの肉をくらい生き延びていた。


「これがお祖父さん達が経験した凄惨なリオンの過去。それで、リオンが言われも無い理由で、父親スカルプから嫌われていた理由よ」


「言って置くけど、私はリオンが好き。でも同情やなさけでは無い。それは本当よ」


「姉さん、有り難う。

僕に話しかけてきてのは僕のお母さんなんだね。謎が解けて良かった。やっぱりリュックニーに行ってけじめつけないとね」

「でも知らなかった僕は1/4でドラゴン血が混じっていたなんて」


「ねえリオン、リオンは私とアルネに何がして欲しい?」カーリの質問に困惑する。


「僕は一緒にいて欲しい。でも無理にとは云わない・・・いや、やっぱり、一緒にいたい」困惑しつつ本音を伝える。


「わかった。乗りかかった船だしね。お姉さんも一緒に乗りきろう。

私もカーリもお姉さんもリオンの前では平等よ。

それに私はリオンが例え神様でも問題無いし。何の変哲もない子供でも関係無い。

リオンはリオンだもの。私はそれでいい。私はそんなリオンが好きだから」アルネの言葉に救われる。


「有り難う」


しかし、アンデットの死肉を食べていたって!! 僕の体って、よく死ななかったな。


「姉さん、僕はどの位捕らわれいたのでしょうか? 死肉を食べて生き伸びたって・・・・どう考えたらよいか、良くわからなくて」


「そうよね。私の記憶が正しければ約4年くらい、リオンが6才になる前に助け出されたから」


「そうか」

何故生き残れたのか。自分に何が起きたか、はっきりさせる為にはやっぱり会わない駄目だね。

「姉さん、有り難う。姉さんも色々葛藤が有ったと思うけど正直に教えてくれて」


「私達こそ、色々と黙っていてごめんね」そう言うとハグしてきた。アルムの目にはうっすらと涙が合った。


アルムが戻り部屋に移動している途中リーンハルとルーニーに出会う。


「ねえ、今日は僕達だけで昇格祝いをしない? 何か色々有りすぎて今日はこれ以上人に会いたくないね」


「さんせー」「リーンハルとルーニーはどう?」


「私達もですか?」


「当たり前だよ、折角Dランク昇格したんだから。どうかな?」

アルネが少し強引に話しを進めてのお祝いの準備をしてくれる。


準備が終ると早々宴会を始める。この日は何も考えずたくなかった。みんなとくだらない事で笑い楽しんだ。

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