第20話

「リオン。パーティーを組むに当たって私もアルネも呼び捨てにしてちょうだい。冒険者の鉄則よ。上下関係は外の誰にもわからないようにする。いい」


カーリさんから注意があった。呼び捨てするのね。でも上下関係って何だ?2人が呼び捨てが良ければそうするけど。


「はい、カーリさん、アルネさん」


カーリさんに顔を両手で挟まれ

「あんた、私の話を聞いて無いでしょ」

と怒られる。


「わかった。カーリ。だから止めて」


「本当にわかった「うん」しょうがないな」そう言って許してくれるがカーリさん…いや、カーリの手はそのままだ。


「カーリ」・・・「カーリちゃん、手離して」 カーリがニッと笑い手を離す。


翌日、ギルドによってから辺境都市にあるダンジョン ラピスに来た。


ギルドのラピス支部によりマラリエのギルドからの依頼書を提示して受付を行う。受付はわりとすぐに終わった。ダンジョンが有るためか冒険者が多い。それにしても初心者と思われる冒険者が多い。


このダンジョンはそう言うダンジョンなのだろうか?それともラピスは初心者が最初に訪れるような場所なのだろうか?


ギルドを出てダンジョンの近くに来る。宿、雑貨、武器、防具、飲食店、ちょっとした観光地と化している。


「カーリ、アルネ、ダンジョンに聞く前に雑貨店によっていいかな?」


「いいけど何買うの?」


「2人にマジックバックを買いたいって思って」


「駄目だよ高いよマジックバック」

アルネがいらないと言って要るが荷物が一番多いのがアルネ何だけど。


2人を強引に雑貨店に連れていく。お店は夫婦2人でやっているお店らしく、こざっぱりとした店内に沢山の商品が置いてある。


「いらっしゃい、何をお探しで?」

店の主人が聞いて来た。


「マジックバックを探している」


「それなら良いのが有るよ。こっちだ」

そう言って店の奥に行き、扉を開ける。


高級品ばかりを展示しているスペースに来る。マジックバック、高級ポーション、魔石、モンスターの牙や角等豊富なラインナップだ。


「ここは、普通は人を入れない所だよ。リオン君は特別だ」


ん? 何処であったっけ?良く見ると行商人のハマイルさんだ。


「ハマイルさん、行商人じゃなかったんですか?」


「はは、こっちが本業だよ」


「ハマイルさん、ババヤさんとワイバーンに会ったりしますか?」ワイバーンにもあってないな。


「先月あったよ。ワイバーンが私にも最近なつくようになって少し荷物を運んだり手伝ってくれるようになったよ。本当にリオン君のおかげだ」


カーリとアルネが知り合い?て顔でこっちを見ている。

「リオン。知り合い?」「良ければ紹介してほしいな」アルネとカーリが袖をつまみ引っ張る。


不味い、すっかり忘れてた。


「紹介するね、ハマイルさん、アメール村で出会ったんだ」


「ハマイルさんカーリとアルネ。僕のパーティーだよ」


「カーリさんとアルネさんだね。2人は知ってるよ、以前、辺境伯のお城であった事が有る」


「流石ですね、ハマイルさんは顔が広い」


ハマイルさんがニコニコと笑いながら

「そうでも無いよ。しかしリオン君がパーティーを組むなんてね。カーリさんにアルネさんリオン君とこれからも仲良くしてやって下さい」


「「はい」」なぜ2人が緊張気味に答える。


「ハマイルさんマジックバックをこの2人にと思っているけど、良いの有りますか?」


「待ってな! 今持ってくる」

そう言って更に奥に入っていく。


アルネが申し訳無さそうにしている。


ハマイルさんがマジックバックを2つ、光のマントを2つ、闇のマントを1つ持って来た。


「マジックバックは高級品だから余り人前で見せない方が良い、リオン君のバックはわかりずらいように加工されているけど年のためこのマントをつけよう。


光のマントは物理攻撃、魔法攻撃に対し30%の耐性とヒーリング効果もある。闇のマントは物理攻撃、魔法攻撃に対し30%の耐性と隠匿耐性がある。


これをセットにして500万リルでどうだろう?」 価値がわからずアルネに聞く、かなりお安いらしい。


「ではそれで、後このポーションを5本もらえますか?」


「ポーションはおまけしましょう」ハマイルさんがポーションをおまけしてくれた。


「ハマイルさん、このお店は買い取りも行っていますか?」


「やっているよ。これからダンジョンに入るのかい?だったら魔石やミノタウロスの肉、黒鎧トカゲ何かいたら持って来てくれるかい、金額はギルドより少し高く買い取りしている。

まあ、わかない物でも持って来てくれるかい、こっちで確認するよ。

いらないものは処分も出来るしお願いしても良いかい?」


「わかりました。ダンジョンの地図作成の依頼をもらったので当分ここにいるつもりです。良く使わせてもらうと思うのでよろしくお願いします」


「ああ、リオン君。宿は決まったかい?」


「いえ、これからです」宿?忘れてた。


「実はこのお店の二階が空き部屋でね。良ければ使わないか?こんなに沢山買い物してもらったからね。宿代はいらないよ。鍵も有るから」


2人を見ると任せるって顔に書いてあった。 「ハマイルさん、ではお借りします」


ハマイルさんに付いて1度お店の外に出る、建物裏に来ると二階に上がる階段が有り階段を上り部屋に入る。


広い部屋にベットが4つ、テーブル。キッチンと生活スペースが整っている。 元々ハマイルさん達のパーティーが使う事を想定して建てた物らしいが結局使うことなくそのままになっているらしい。


ハマイルさんから鍵を預かり地図作成の準備を済ませる。


それぞれマジックバックに必要な物をしまい、僕とカーリさんが光のマントをつける。白を基調としているが光沢はなく、落ち着いた色合いをしている。

アルネが闇のマントを着ける。深い紺色でおとなしい色合いだ。


カーリもアルネも美人がより際立つ、何を来ても似合う人ってうらやましい。


「なに見てるのリオン?」

アルネは僕の心の声が聞こえるだろうか。


「リオン、美人2人に囲まれて浮かれているんでしょう?」

カーリまで、2人は僕の心が読めるのだろうか?


「2人共似合っているなって思いました。準備出来たら行きますか」 少しドキドキした気持ちを押さえる。


カーリが抱きついて来る

「言うようになったね。リオンも成長したな」


アルネが呆れたように

「カーリいつまで発情してるの? そんなの帰って来てからにしなさい」


子供のようにイヤイヤをしてこっちを見るカーリを引きずって外にでる。アルネって意外と力持ちなのね。

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