第87話

朝御飯を食べて落ちついた頃にランバートさんに会いに行く。


ギルドマスターの部屋通されると、ランバートさんは応接セットの椅子に座り待っていた。


僕が椅子に座るとランバートさんが話し始める。


僕が指定したリーンハルとルーニーの昇格手続きと、馬の準備、護衛に付いて話しが有る。


昇格手続きと、馬の準備は問題なく進み、今すぐにでも問題は無かった。ただ、国の宰相を護衛する数が2人だと問題が有ると各方面から意見が出ていた、まあそうだよね。


確かに国のトップが交渉に向かうに当たり護衛2人は確かに少ない。

「なあ、リオン。この護衛2人はいくらなんでも少な過ぎないか?」


「この国の中なら問題無いと思いますけど」


「ロンリーヌ地方もガレシオン公国の貴族が多い、当然兵士も増える、そうなるとお前達だけだと宰相を護衛しながら戦う事になる。流石に不味いだろう」


「むしろ宰相が沢山の護衛兵士を連れて行く、その方が問題だと思います。ロンリーヌに到着前に色々な憶測が飛び交う。最大限その憶測を回避したい。ロンリーヌに付いたら一気に派手に対応しますよ」


僕とランバートさんの話し合いのなか受付嬢のマールボロさんが来た。


「マスター、お話し中にすみません。カード バハル様がおみえです。どうしますか?」


ランバートさんが少し考え答える「入ってもらってくれ」


「ハイ」マールボロさんが頭を下げて戻ると入れ替わりでカード バハルが来た。


「おや、リオンもいたのか丁度よい。娘のラーネから報告が有ってね。今度リオンに付き合って欲しいとタイナー殿から言われた。その話しをしようと思って来た所だよ」


ランバートさんが益々頭を抱える。


「カード バハル。内容は聞いたかい?」


「いや、何も聞いてないよ。リオンに聞いて欲しいと言われてな」


その後3人で話し合いが持たれた。

王都からアメールまでは僕達と護衛2人。アメールのギルドでライズがかくまっているヒューズの護衛2人と合流してロンリーヌに向かう。


ライズの所にいる護衛2人は僕達が前日には連れてくる。


ロンリーヌに付いた時は、カード バハルの一族500のドラゴンがロンリーヌを包囲して僕達の行動をサポート。僕達がガレシオン公国の貴族を討伐、領主のサリンジャー ホォン ビルルマを捉える。その後はアルムの到着を待って宰相をドラゴンと共に連れだってガレシオン公国に向かい交渉に立ち会う事になる。


出発は明後日のお昼、一度アメールで1泊した後にロンリーヌに向かう。カードバハル達は明後日には一族が揃いロンリーヌ付近で待機することになった。元々カード バハルの息子 マーマン バハルのねぐらがロンリーヌの近くにありそこで僕達が到着を待つことになった。


その夜、僕達だけで話し合いが持たれた。食堂は使えないので部屋のなかで行う。明後日の行動を確認、他にアルネとカーリには別で有ることをお願いする。


出発当日、僕とカーリ、リーンハルの3人が王宮の正面入口にいる。今回は宰相がアメールを経由してロンリーヌまで行くと大々的に宣伝を行い、通行の安全を証明する事で商業の発展を国民に知らしめる目的と言うのが表向きな理由。


内実、不穏分子を徹底的に潰滅するのが本当の狙いである。表向きの理由により、宰相護衛は最小限に留めると報告されている。


僕とカーリが馬に乗り先導する。宰相の馬車にはリーンハルと文官が一名と宰相が1人、馬車の後ろに護衛が2人と完全にお気楽な旅行のていを取っている。


王都からアメールまではたいした事はない。モンスターも少なく、盗賊等の犯罪者も少ない、何せ正騎士のが訓練をかね、モンスターや盗賊狩りを行っているからだ。


本当にお気楽なな旅だ。馬車で真っ直ぐ向かえば3日とかからない距離でもある。


王都を出るまでのお祭り騒ぎと違い王都を出るとすぐに静かになる。カーリも馬車酔いはなく、自分で手綱を取っているためかかなりご機嫌だ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


そんな 中アメールで小さな異変が起きる。ルーニーとリーンハルに親しげに話しかけてきた、セバスチャンとモンストーリの元王宮兵士のパーティーが忽然と姿を消した。


まあ、分かりきっていた行動ではあったがここまであからさまだとは思わなかった。カード バハルが来た時に、もたらされた報告の中にセバスチャンとモンストーリに付いての報告が有った。


ヒューズを捕らえて先にロンリーヌに移送する。それが彼らが受けた依頼だ。


その動きに合わせアルネが動き出す。広範囲にわたり索敵と魔力察知をかける。そこに反応した者の中で危険と判断した者をルーニーが狩り取る。


元々、アルネは索敵と魔法攻撃の後方支援が得意な魔法使いだ。そこにレベル60を超える強さを得た。


そんなアルネの索敵と魔力察知はどちらも半径10kmを超える。正確に、人、動物、モンスター、昆虫に至るまで判断可能で、敵意を持つ者も明確に判別する能力を持つ。


アルネの警戒に気づかないセバスチャン達は何事無いかのようにギルドに戻る。それまでいなかった。兵士と思われる集団を40人をつれて。


セバスチャンも知るよしも無かった、自分達の行動全てが、アルネによって全て正確に把握している事を。


40人もの兵士はギルドを囲むように4ヵ所に各々10人のグループを作って待機している。そこを狙い、ランバートさんとルーニーが各々に隠れている兵士の元に襲撃をかける。


そんなことを何も知らないヒューズは、サンリューチュさんとアルネと3人で、夕食を食べ盛り上がっている。

「ルーちゃんも来れば良かったのに、折角美味しいモンスターを掴まえたのに」

ヒューズは、事の成り行きを知らないためか1人楽しんでいる。


ギルドのドアが空き、セバスチャン達4人が入って来た。セバスチャン達は何事も無かったようにギルドに依頼報告をした後食堂で宴会を始める。


ある程度、セバスチャン達の宴会が盛り上がった頃にランバートさんとルーニーがギルドに戻りアルネ達と合流する。


セバスチャンがアルネに声をかけてきた。

「今日はリオンはいないのかい?」


「ええ、リオンは野暮用でね出かけているの」


「所で君はダークエルフだよね。間近でみるとやっぱり綺麗だね」


「有り難う。それより酔ってない? 私達の事はいいから自分のパーティーを大事にしなさい」アルネがたしなめるように言う。


「いや、こんな綺麗な人がいなくなると思うと残念でね。良ければ君だけでも俺達の所に来ないか? 自慢じゃ無いが、これでも男爵の息子でね、近々俺が爵位する予定何だよ」


「そう、リオンは公爵の弟よ。この間も、廃爵した元公爵家をリオンの名前で復活させるって国王から打診が有ったの。それと比べたらどっちが良いか何て歴然としてるわ。


それと、私は基本的にリオン以外の男を信用してないの。お子ちゃまのお守り何てまっぴらだわ。おけ毛がはえそろったらまたいらっしゃい。もっともその頃には貴方は生きていないだろうけど」


セバスチャンが顔を真っ赤して震え上がる。

「出てこい、みまこ…ごろ…たあ」声にならない声を張り上げ剣を抜く。


「ふ~…。ふ…。ふ~」セバスチャンがもう一度声をあらげる。


「出てこい。貴様ら!!!!!」「く、お前ら何で動かない。こんな連中殺してしまえ」

セバスチャンが自分の仲間を見たときに言葉を失う。他のパーティーは全員。アルネの黒鎖によって拘束され動くことすら出来ずにいる。


ヒューズだけが何が起きたか分からずに混乱している。

「ランバートさん、サンリューチュさんこれはどういう事でしょう?」ヒューズが驚きの余りに聞いていた。


「残念だが、こいつらはヒューズを捕えるのが目的だ。

今、この国は危険な状態であることは確かだ。しかしこんな雑魚がうごめくいて、目的を達成出来ると思い込むなんて情けない事だな」


ヒューズとランバートさんの会話をよそにルーニーがセバスチャンを回し蹴りで倒す。

首を蹴られたセバスチャンは一撃で気を失い倒れてしまう。


「アルネ、残りは俺達が拘束するから、残りを解放していいぞ」ランバートさんが拘束洋用の魔道具を出し、残り3人を捉える。


「この者達はどうするのですか?」震えながらヒューズが聞いてきた。


「殺してもよし、魔族の森に放置しても良し、この馬鹿が本当に男爵の息子なら、慰謝料を取っても良し。好き放題よ」アルネが嬉しそうに答えると捕らえられたモンストーリがセバスチャンを指差し声を上げる。


「ねえ、悪いのはこいつだけでしょう。私達は解放してよ。この馬鹿の言う通りに、し、したがっていただけ何だから」


「あらそう。外でくたばっている大勢の仲間に対し、あんた威張り散らしながら指揮していたわよね。楽しそうに。それも嘘なの?」現場を目撃していたルーニーが鋭い質問をぶつける。


「く!!」そう漏らすとモンストーリが大人しくなる。

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