第146話

翌日にダンジョンにくる。聞いたらリーンハルが一緒に行きたいと言って、ダンジョンに来た。


少し小高い場所から降りるダンジョンはまだ全てが把握されていないらしく前人未到と名前が付く程だ。


2人でダンジョンに入る。1階層が魚人のエリア。魚人は種類が多く。正直に良くわからないモンスターでもある。


ただ強さはオーク程度と言われるモンスターが多い。陸上では、動きも鈍く弱いが海の中ではかなり怖い生き物らしい。


ダンジョンに水がなく魚人はかなり弱かった、たが鱗が固く刃物を通し難い体が倒しがいを与えてくれる。


マーメイドソルジャーやワーム、鎧魚人等を倒しつつ。10階層まで来る。ここはシードラゴンのダンジョンらしい。


シードラゴンは海に存在するドラゴンの中では一番弱く、ワイバーン程度だと言われるモンスターだ。


ワイバーンは単独行動を好むが、シードラゴンは集団行動を好む。自らより強いモンスターが、多くいるなかで生き残る知恵なのかもしれない。


船乗り達が最も恐れる、シーバトラーのような海の怪獣からしたら、シードラゴンは餌に過ぎない存在だ。それを思うと僕達も大した事は無いのかも知れない。


水の中から飛び出すシードラゴンを、全て斬り倒し進むとセイフティポイントを発見。今日のダンジョンダイブを終りにする。


ダンジョン入り口付近に索敵に引っ掛かる集団を見る。一度リーンハルをつれて拠点に空間移動で戻り、1人でダンジョン近くの場所まで空間移動する。


良く見るとギルドにいた連中だ。僕達がダンジョンから出るの待ち構えているらしい。

どうもやってるとこが盗賊と変わらない。


「おい、まだ出てこないのか? いくらなんでも時間かかり過ぎていないか?」


「でも、10階層まで行ったぞ、戻るのに時間がかかるだろう」


「いいから網の準備はできたか?」

等、僕達を捕まえようと画策しているのを後ろから眺める。


僕が近づき声をかける。

「楽しそうだね。ダンジョンの入り口に網をかけてどんな獲物がとれるんだい?」


一瞬で静かになり、ダンジョンに集まった連中が緊張する。威圧をかけ、集まった20人近い人を押さえ込む。

「さて、誰を捕えるつもりだ?」


リーダー的な男が話す。

「最近こっちに来た連中だよ、生意気だから、先輩が色々と教えてやろうともおってな」


「何を教えてくれるんだい? 君達に教養が有るとは思えないけど?」

さらに威圧を強くかける。


苦しさの余り次々と倒れて行き、唯一リーダー的な男だけ残る。


「てめえだよ、優男」リーダー的な男が息を切らしつつ話す。


「良く耐えた。ご褒美に殺してあげるよ。僕の家族を危険な目に合わせようとするのは、絶対に許さない」

そう言って男の手足を根元から切り落とす。

その後、ヒールをかけ、止血だけを止める。


「2度と、僕と僕の家族に近付かないで下さい。わかりましたね」


男が恐怖の余りよだれを滴し気を失った。男達が持ってきた網で20人余りを絡めて近くの木にくくり付けてから、拠点まで空間移動する。


妙にご機嫌なアルネが自ら率先して晩御飯を作っていた。

野菜中心のヘルシーメニューだ。木の実やら、珍しい食材も多くその日の晩御飯は皆で大いに盛り上がった。


翌日、ルーニーとリーンハルがメイドについて食材を買いに行くことになり、同行する。と言っても単なる荷物持ちなんだけど。


町中は木にくくりつけられた盗賊まがいの男達の話題で賑わっていた。


ルーニーが同行しているメイドに話をきく。

「私も詳しく知らないんですが、昨日この町のダンジョンの近くで人さらいのグループがやられたらしくて、それで盛り上がってます」


「それは怖いですね」


「あ、でもあいつらは大した事は無いんです。本当に怖いのは、キュートビッヒさんが率いている、自警団ですかね」


「自警団? それはなんですか?」


「町の治安維持の組織です。キュートビッヒさんは元々有名な冒険者で、騒ぎを起こす人や団体を懲らしめているんです」


「凄い方がいるんですね」ルーニーが感心したように話す。


その反応にメイドが嬉しそうに微笑む。このメイドって、キュートビッヒとつながっているかも、思わずそう持ってしまった。


買い物が終り拠点に戻るとアルネから呼ばれる。

「ダンジョンの近くの騒ぎ、リオンでしょ」


「ばれた」笑って答える。


「キュートビッヒっがその件で話が聞きたいそうよ。お店まで来て欲しいって、伝言も頼まれたわよ」


「ふーん、耳が良いね。もめ事に巻きま混まれたくないんだけど」


「なら、拠点から出ない事ね」アルネが悪戯っ子のような笑顔で笑う。


しかたなく僕はうなずく。


その夜、隠れ家に顔をだす。

「いらっしゃい。首を長くして待ってたわよ」

キュートビッヒが妖艶な笑顔を僕に見せる。


「僕はそうでも無いけど? 家にまで来るなんて、どうかしてますよ」


「あら、ロンバートのお孫さんとご一緒なんて、素敵だわ」


「で、用事は何ですか?」


「せっかちね。夜は長いわよ」


「言ったでしょ。僕はダンジョンに潜りたいだけです」


「用事はそのダンジョンの事よ」キュートビッヒがカウンターにほうずえを付きそう答える。


「どんな用件何ですか?」ダンジョンに関わる事って何だろう?


「ねえ、リオンさん。貴方シールズマウンテンは知ってかい」


シールズマウンテンは海にしかいないマウンテンドラゴンの事だ、でかいもので全長500mを越え、歩く小島と言われるモンスターだ。

「聞いた事だけは」


クス、キュートビッヒがひげた笑いをする。

「素直でよろしい」「ダンジョンの最深部に別の場所に転移が出来る転移石が有る。それを使うとシールズマウンテンの中に有るダンジョンに入ることが出来るようになる。

そこで“暴食神 ノビア”を倒して欲しい」


「何で、よそ者の僕に? 貴女達の問題では?」


「そうさね、私らじゃ倒せないからかな。以前ロンバートが挑んで決着がつかなかった。あたしらの一族じゃロンバートより強い奴なんていないよ。だからだよ」


「やっぱり、僕には関係無いと思うけど」


キュートビッヒがニヤニヤ笑い僕を見る。「私はね、アルネのおばちゃんなんだよ。それでも嫌だと言うのかい?」


「いやいや、急に言われても。はい、そうですか何て言わないよ。アルネが認めるなら詳しく話を聞くけど」

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