第145話

アルネが少し元気になって来た所を見計らい声をかける。

「アルネ、体調はどう?」


「うん、ありがとう。かなり良いよ」


「良かった、カーリとリーンハルと練習したけど、変化が凄い。なんか、3倍位強くなってるよ」


「え~、また。住むとこ無くなるよぉ」


「だよね、それで少し相談なんだけど、ロンバートさんから、僕が住むなら海沿いに行けって言われ入るだけど、海沿いってどうなの?」


「微妙ね、でかいダンジョンもあって色んな人が集まっているけど、割りと治安が悪い地域なのよね」


治安が悪いか。僕達自体は問題なさそうだけど生活するには考えてしまうな。


「マンチャタ国の人達はいつ頃来る予定なの?」


「うんとね。今、収穫期なのね。収穫期が過ぎてお祝いの時期になるから、3ヶ月程先ね」


「なら、海沿いを視察してみたいけど良いかな。後、僕も体を動かして闘いの感を戻しておきたい。カーリの事も有るから」


「確かにそうね。じゃ、おじいちゃんに話しを通しておくから来週から海沿いに行こう、おじいちゃんの別荘も有るし意外と快適かもね」


ロンバートの了解をもらい海沿いのダンジョン都市にくる。

「ルーニー、体は大丈夫?」最近ルーニーの調子が悪く心配する。


ルーニーとしてはたいした事は無いと言っているが少し気になる。

「リオンさん、私、大丈夫です。そんなに心配しないで下さい」


「そう、でも心配だから、何かあったら教えてね」


ルーニーが困った顔をする。どうも僕が気にしすぎるらしい。


ロンバートの別荘を借りて拠点を作る。ギルドがありギルドに入る、依頼書を見るとほとんどが海のモンスターに関してだ。


ダンジョン地図もあり地図をもらう。

受付がエルフだ。当たり前かもしれないが何か嬉しくなる。


「何かお探しですか?」受付のお姉さんに声をかけられた。


「初めてなのでダンジョンに関する物が知りたくて決ました」


「あの、どなたか知りませんが、初めてという事は言ってはいけません。よろしいですか?

幸い、今は、冒険者の方が少ないから良いですが。用心してください」


「ありがとう。このダンジョン地図以外に何かダンジョンの情報はありますか?」


「はい、こっちも必要情報がのってますので、参考にして下さい」


「ありがとう。後、ギルド登録しなくても素材は卸せますか?」


「はい、持って来ていただければ大丈夫です」


「ありがとう、お姉さん。よろしくね」


ロンバートの癖がうつったのか? 何か自分を疑う。


でも、このギルド、ギルドとして機能してない気がする。リュックニーに似ている。それは間違いなさそうだ。問題はこのギルドにまともな者が残っているかだけだけど。


ギルドの掃除をしている男がなぜか気になった。


食堂に言って男に声をかける。

「お兄さん、ゴミが落ちてるよ」男がこっちを睨む。男が近く来たタイミングで声をかける。


「初めてここに来ました。お兄さんのおすすめがあれば教えてください」


「は、あんた何をいってんだ」


「はは、物好きなもので」


「なら、裏通りの飲み屋行きな、この町がわかるぞ」


「お店の名前は?」


「隠れ家だ。一軒しかない。怖いものがなければいってみな」


「ありがとう」


ギルドから別荘に戻る、ギルドから付けて来た奴がいるが気にすることなく別荘に入る。


カーリが出てきて抱きついてくる。

「リオン、変な奴つれてきたな。お仕置きが必要だぞ」笑いながら言う。


「この辺は、リュックニー以上だ。凄い場所だったよ」


「ふふ、やっとわかった。だからおじいちゃんがリオンをここによこしたんでしょう」


知らなかったのは僕だけみたいだ。

「カーリごめんね、彼らはどうしたら言いと思う?」


「中に入らなければそのままかな。潰したければ何時でも潰して問題無いよ」


「うん、カーリの言う通りにするよ」


よしよし、カーリが僕の頭を撫でる。

アルネと会い、この町の情報を確認。ギルドで聞いた飲み屋、隠れ家に情報収集の目的でいくと説明する。


「良いかもね、この辺の町が良くわかると思うわ、後上手くすれば仲間ができるかもね。元々この辺のは漁師町だから、懐に潜り込めば協力者を得れるかもね」


裏通りと言われる通りに来た。中々凄い感じた。まるでスラムのような場所に、この隠れ家と看板の有る飲み屋がある。


隠れ家に僕が入ると好機の目で見られる。気にせずカウンターに座る。回りが驚きの目で僕を見る。その内哀れみの顔になる。


カウンターの中から声をかけられる。

「なに飲む?」


髪を後ろでまとめただけの女性だ。客より明らかに強い魔力を持っている。


「エールを、あと食べ物。おすすめで」


「フッ」そう笑うと大きなジョッキに入ったエールを僕の前にだす。


「あんた、気に入ったよ。エールは私のおごりだ飲みな」


「お姉さん、気前がいいんですね。頂きます」エールを一気に飲む。


「あんた気に入ったよ。ロンバート以来だよ。そこに座り、私が出したエールを残さず飲んだ奴」


キョトンと顔をして「ロンバート?」

と呟く。


回りの客が僕にたかる。

「兄ちゃん、ロンバートの旦那知らんのか?」


「ごめんね、この国には遊びに来ただけだから」客と団らんする。


小一時間程団らんしているとギルドであった男に会う。


「なんだお前来てたのか?」


「ギルドではどうも」カウンターの中から殺気を感じる。


「リュウ、どういう事だ」


リュウと呼ばれた男が話す。

「今日、こいつがギルドに来た。初め来たらしくな。奴らに目をつけられてた。それだけだ」


「「何時だ」」客の男達がいきり立つ。


「朝だ。もう心配無い」


リュウが僕の隣に座る

「お前、良く生きてたな。あいつらハイエナより強欲だぞ」


「朝言った通りですよ。僕は今日来たばかりだ、ここの事は何も知らない」


「それで良く生き延びたな。追ってはどうした?」リュウが驚き過ぎて怖い顔をする。


「宿までついて来たけど、その後は帰ったよ」


回りがざわつき警戒しだす。


「あんた、私はこの辺りの顔役でキュートビッヒって言う。少し話しを聞いても良いか?」


「なんでしょう?」

少し冷静に言葉をだす。


「あんた何者だ? 私らの知るロンバートと変わらない強さを持っているだろう?」


「さあ。何の事かわかりません。ちなみに僕は、ただダンジョンにもぐにり来ただけです。だから少しの間楽しく過ごしたい。それだけです。

ただ、まかり間違って僕の家族に何かおかしなことをしたら、誰であれ容赦はしません」


「聞いても良いか?それは例えばロンバートが相手だとしてもか?」リュウが聞いてくる。


「ロンバートが誰を指すかは知りません。ですが、僕の知るエルフ族のロンバートだったら、地獄の底まで追いかけて殺してやりますよ」笑いながら言うが、誰も冗談だと思った者はいないらしく。皆青ざめた顔をしてみたい固まってしまった。

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