第135話

「おお、それよりガンナム ランジ様、こちらの方はタイナー陛下から視察命令を受けてこの村にこられた、全権大使のリオン レース レインさんです」

リオン アルバルトがガンナム ランジに僕を紹介する。


「初めまして、リオン レース レインと申します」


「丁寧にありがとうございます。ガンナム ランジと申します。今回はどのような要件で、お越しなされたのですか?」


「詳しい事はこの書状に書いてあります。ですが先に終らせたい事があります。

ダメル ナルミ ホォン ナーニ旧侯爵家について詳しい事を教えて下さい」


「え、旧侯爵家?ダメル様は現在伯爵と伺っております」


「いえ、タイナー陛下がナーニ家の爵位は許可しておりません。また、廃爵してすでに5年を過ぎてオーヂエン国の法律では既にナーニ家の復刻は不可能となっています。

そのナーニ家の者を復活又は、別家として取り立てる事も禁止されております。


詰まりダメル氏がもし本当にオーヂエン国の伯爵位を持っているならそれは、一族郎党含め死罪となります。また、他国で伯爵位を取ったと言う事なら王宮に報せず国内に3日以上いることも罪となります」


ガンナムが少し考える。

「一つよろしいでしょうか? もしダメル氏が嘘をついて伯爵位を持っていると、言っているだけだった場合はどうなるのでしょうか?」


「それは不敬罪となります。国王陛下に対する罪、死罪は免れません」


「それ程の事をダメル殿が行ったと言うことでよろしいのでしょうか?」

ガンナムが厳しい顔をする。


「タイナー陛下より、ナーニ家の詳細な説明を、僕がして良いと言う許可はでていません。その理由はお伝え出来ませんがお許し下さい」


ドンドン!! 突然マスター室のドアを叩く音がする。リオン アルバルトがドアを開ける。


「マスター、大変です。マキュリーとダメル様がギルドの中でもめています」


「わかった」皆で部屋を飛び出し受付カウンターに降りる。


「おい、ダメル。てめぇからでた依頼は完遂しただろう。何故、お母さんを殺した」


「マキュリー、私は生きた虹色蛇を要求したんだよ。それとお母さんは残念だったね。そもそも君が僕の事を毛嫌いしなければ良かっただけだよ。

ククク、ハハハハハハハ」


マキュリーをカーリとエリアスが必死に押さえている。


「生きた虹色蛇が希望かい、僕とマキュリーと2人で取ったのもだ、生きているが欲しければ取り替えるがどうする」

僕がマキュリーの前に立ち、ダメルを見る。


ダメル ナルミ ホォン ナーニ本人では無い。恐らく息子だろうか。

ダメル本人は僕より30才以上は年上だ。目の前の男は20才~30才位だろう。この男の意図が知りたい。


「貴様は何者だ。私はダメル ナルミ ホォン ナーニ伯爵だ。近々侯爵に返り咲く予定だ、不敬罪で貴様を捕まえる事も可能だぞ」


「伯爵位又は侯爵位を持つならその証拠をお見せ下さい。爵位表、もしくは帯刀をお見せ下さい。領地を離れ移動する時にはどちらも必要となります。

もし、失くした、奪われた等有ればそれこそ廃爵は免れません。お見せください」


「貴様は先程から何を言っている」取り巻きがでてきて文句を言う。


「僕はタイナー陛下より視察の命令を受けた、全権大使 リオン レース レインと申します。今回の件、以前より他地域より同様の苦情が出ています。今回、同様の問題かどうかを調べる為に来ました」


ガンナムが僕を見て、何かを思い出したのだろう。指を指し少し震えている。

「リオン殿、もしやと思うが、マルイル様と一緒にロンリーヌとガレシオン公国をたった5人で制圧した、あのリオン殿か?」


「おっさん、そのリオンさんだよ。本物だ」マキュリーが少し落ち着きを取り戻したのか、ガンナムにそう伝える。


「ちなみに、私らのAランクの試験官でもある。いまこの大陸でもっとも敵に回してはいけない奴だよ。

そんな奴のパーティーが全員揃っている。下手するとこの村だけじゃなく、大陸の形、それ自体が変わることになるぞ」


このやり取りを聞いていた、ダメルが逃げようしている。


「黒鎖」アルネがタイミングを見て、偽ダメル達を捉える。


ギルドの中と外にも捕まった者がいるらしい。僕がガンナムに近づく。

「ガンナムさん、何故彼らをこの村にいれたのですか?

僕にはもの凄く、疑問でなりません。貴方は、タイナーの信用も厚い。かつて、マルイル辺境伯と共にオーヂエン国の双璧をなした、飛行隊の正騎士では無いですか?」


ガンナムがヘタリ込む

「すみません。ダンサール国から圧力をかけられていまして、藁にも掴む思いであんな奴にまで期待をしないといけない状態です」


「詳しく教えて下さい」


「はい」ガンナムがギルドを閉めてしまう。ダメル一向はリオン アルバルト達、騎士がみな捉えつれていった。


「皆様、聞いて下さい。私の事を思い陛下がリオンさんを送り込んだと思います。


現在、この村だけがダンサール国と貿易を行っております。昨年、ダンサール国から、第4王女がオーヂエン国にいる、その王女をダンサール国に戻すようにと。突然言われました。


ですが我々にはその方が誰かも分からず、陛下に伺うも一向にその返答が無いのです。

仕方無く、我々は「その様な方は見当たらなかった」そう答えました。


ですがダンサール国の方の圧力が強くなり、貿易の停止出はなく、この村を潰すと脅される次第で。


私はたまらず兵力の増強を考えました、マキュリーとエリアスをAランクにしたのですが、我が国に入っている、王女の情報をもたらす者は誰もいないのです。

恐らく、私の事を考えリオンさんを我々の村に…

すみません、私が誰かに相談したらよかっなのですが」


「ごめんなさい。そのダンサール国の第4王女って、おそらく私の事です」アルネが頭を下げる。

「ごめんなさい。私、おじいさんが呼んでいるだけだと思って、しばらく通信を閉ざしていました。

先程私の父から通信があってこの村に来るそうです。ごめんなさい」


ガンナムが混乱している。

「あの、貴女がアルネ リカリオ姫なのですか?」


「はい、大変ご迷惑をおかけしました」アルネが折り目正しく頭を下げる。

アルネの言葉にマキュリーとエリアスが唖然としている。


「良かった、本日が返答の期日でございます。良かった。本当に良かった」ガンナムがヘナヘナと座り込んでしまう。


「アルネ、僕にも分かるように説明をお願いしても良い」事と次第によってはダンサール国と戦う必要がある。


「リオン、ごめん。実は婿探しのためにこの国に私は来ました。国を出る時にそういって国を出たの。


誰も期待してるって、思わなくて。


でも、リオンとあって、楽しくて婿につて言えなくて。リオンと家に戻れば皆、理解してもらえると思って、ごめんなさい、言えなかった」


僕の怒りが頂点に達した。押さえているが魔力が大幅に漏れる。辺りからモンスターの気配が消えて、大きな魔力がこの村に向かっているがわかった。


「アルネ、何で僕に黙っていたの? でも何故だろうね。さみしいよ。


僕はみんなに僕の気持ちは伝えていたはずだよ。でも先ずはこの村を守る事がさきだ。

アルネ、君も僕に従うように。例え君のおじいさんと戦う事になっても」


「はい」アルネが小さく返事をした。


「不味い、リオンが切れた。皆急いで避難して」カーリとルーニー、リーンハルが村人に声をかける。


「リオン、あの、お父さんと多分お兄さんも来ると思う。ダンサール国の宰相をお父さんが努めているから」


「アルネ、1人の人の命がこの事で失われたんだよ。何の罪の無い人の。君の行動の責任は僕とアルネで、一緒にとらないといけない、それは分かるよね。

僕が直接会う。気に入らなければ、例え誰だろうとわかっているね」


「うん、ごめん」アルネがうなだれる。


「マキュリー、エリアス!!」「急いで村の人達を避難させて」

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