第136話
「マキュリー、エリアス!!」「急いで村の人達を避難させて」
「姉さん?な、なにがあったの? 急にどうしたの?」エリアスが驚きを持ってカーリに確認する。
「エリアス、マキュリー。良く聞いて。マキュリーのお母さんの事でリオンが怒った。私達のパーティーの中から出た問題だし、そしてそこまで追い込んだダンサール国の人達に対しても、
リオンがああなると私達が全員で押さえても無理、私達が全員死んでも収まらない。
だから巻き沿いにならないように皆で避難するのよ、
足悪い人いる?私とエリアスで運ぶ。動ける人は自力で避難させて」
マキュリーの顔が青ざめる、エリアスにつられマキュリーが村の人達をシェルターと呼ばれる安全地帯に避難させる。
ギルドの外に出て立っていると、不意に僕達の前に男2人が出てきた。40代と20代の男だ。
その2人を見つけるとアルネが前に出た。
「お父さん、お兄さん。連絡しなくてごめんね。私達もこれから国に帰る所だったの」
アルネの言葉をよそに2人は僕とを睨む。
だが、僕を見たのはこの2人では無い。この弱い2人では無い事は確かだ。
僕を見る目線を後ろから感じる。
白狐と鳳凰を抜いて後ろを振り向く。僕とアルネを囲うように、カーリ達が来た。
「おい、貴様何処を見ている」兄と思われる男が言ってくる。
「あんたに興味が無いそうよ。それより後ろから来ている巨大な魔力を心配してるのよ」アルネが僕の代わりに答える。
「は、なにをいっている。何も感じ無いぞ、なあ、親父殿」
「うむ。アルネ、私も感じ無いぞ」
「だからよ、リオンは貴方達に興味を失ったの。貴方達2人なら私1人でお釣りがくるから」
「アルネ、来たぞ。最悪戦闘になったら、ご家族を守ってやれ、ルーニー、君もアルネに帯同。
カーリ、リーンハルは村を頼む。
恐らくあの2人は僕より強い。完全に敵意をむき出しできている。生き残っていたらここで落ち合おう」僕の声にその場にいた全員に緊張が走る。
アルネの父親と兄が首をかしげていたが、察知したのだろう。恐怖で震え出し頭を抱え混んでしまった。
「ライトクロス」左手持った鳳凰を使いライトクロスを村の入り口に放つ。入り口の門を過ぎた所で大爆発した。
咄嗟に走り門を出る。
前から剣が飛び出してきた。左横にいなし左手で鳳凰を突き刺す。
何かに当たる感じはしたが倒した訳ではない。結界魔法を左右に交差させながら出すと、結界を使い空に飛び出し足元に結界を張って足場を作り。前から飛び出す剣を受けた。
「結界で足場を作るなんて初めて見た、お前面白い奴だな」
白い髪に尖った耳、白い肌に白い服。ハイエルフだ。
「初めましてですね。僕はリオン、貴方は?」
男がまじまじと僕を見る
「私はロンバート リカリオ。アルネの名付け親だ」
お互いに様子見が終りお互いの刀に魔力をためる。
白狐から9本の尾っぽがでて、僕の背中から鳳凰の羽が飛び出す。
鳳凰を鞘に収め白狐を両手で持つ。ハイエルフが放ったアイススピアとファイアーバードが後ろから僕にぶつかるが鳳凰の翼の前でかき消される。
「ダイヤアロー」土属性の最上級魔法を使いハイエルフを下から襲う。
ハイエルフが足元に結界をはるのと同時に上から斬り付け、バランス崩した所返す刀で下から斬りあげる。
ハイエルフが後ろに体をずらし刀をかわす。
「小僧、まだ若いのに戦い方が上手いな」
ピキ、ハイエルフが持っていた剣が根元から折れた。
「そこまでだ」聞き覚えのある声が聞こえた。
「「ガンス」」僕とハイエルフが同時に名前を呼ぶ。
「リオン、そいつはおれの連れだ。お前達が喧嘩すると半年は決着が付かんだろう。
ここで止めだ」
白狐を鞘に収め地上に降りる。
ガンスが酒を飲みながら僕に近づいて来た。「こいつは俺の親友ロンバート リカリオだ。ちなみにアルネのじいさんだ」
「へ、アルネのおじいさん? だってお父さんやお兄さんより若いよ」
「ロンバート。お前からも説明してやれ」
ハイエルフが来た。
「初めましてだな、リオン。アルネを寝とったと聞いてカッとなってしまった。すまんな。孫は可愛いもんでな。んで何だっけ?」
「お前さんが若いから驚いて入るだよ」
再度ガンスが説明する。
そんなやり取りの最中ガンナム ランジが村から出てきた。
「ガンス殿、ロンバート殿。今日はどのような要件でこちらに?」
「ガンナムか、すまんな少し騒ぎを起こしてしまった。許してくれ」
ガンスが丁寧に謝る。僕にはその姿が意外に思えた。
「ガンナム、リオンは俺の弟子だ。今後ともよろしくな」
「それは、そうですか。ガンス殿のお弟子さんでしたか。強いはずです」
「ロンバート殿、村に宰相閣下もお越しです
、どうぞお二人もとお入り下さい」
ロンバートが首をかしげる。
「あいつら何しに来たんだ? アルネの事はほっとけって、言ったのに」
「え、そうなんですか? アルネの事はほっとけって言ったんですか?」
僕の余りの驚きようにロンバートが村に走っていく。
村の中からアルネの驚く声が響いた。
「おじいちゃん。何でこの村にいるの?今日ガンスさんの所にいったんじゃ無いの?」
村に入るとガンスとロンバートにマキュリーとエリアスが平伏して挨拶をしていた。
ロンバートがアルネや父親、兄に向かい合う。
皆片足をついて平伏する。
「アルネは良いとして、お前達は何をしにここに来た?」
「アルネを向かえる為です」
「私はアルネの好きにさせろと言ったはずだが?」ロンバートが威嚇しながら話を聞いている。
「我らはアルネよりダンサール国の方を取ります。現在ダンサールにおいて、王と並ぶ者はおらずアルネを向かえ体制を整えるのが先だと考えます」
「馬鹿どもが、お前ら本気でダンサール国を潰す気か?
ガンスが気をきかせ私をここに連れて来たから良かったものの、お前らだけだとやられていたぞ、その隙にこいつらがダンサール国に入って来たらどうするつもりだ。
私とリオンは決着がつかんぞ。その間にこいつら4人が入って来たらおしまいだ。ものの1週間で壊滅されている。
ホントに馬鹿だ。国のいく末を考えるなら自国の防衛は最優先課題だぞ」
「ロンバートさん、少し良いだろうか?」
僕が話に割って入る。
「何かな?」ロンバートが警戒しながら僕を見る。
「貴方もマキュリーを知ってると思う」
「ああ、小さい頃は私の嫁になるいつも言っていたから。今でも楽しみに待ってるぞ」
「今回、あんたの国の宰相に脅され、ガンナムさんが、死を覚悟し傭兵達をこの村に入れてしまった」
「その話とマキュリーと何の関係がある」
「マキュリーの母親が殺された。ガンナムさんはアルネの事は何も知らない。
当然だ住んでる場所が正反対の場所だからだ。
そしてアルネも悪い、僕達に何も言わず黙っていた」
「だからなんだ?」ロンバートは姿勢を崩さずに僕を睨む。
「悪いがけじめはつけさてもらう。
マキュリーの母親の命を帰してもらおう。
出来ないなら、僕が全力でダンサール国を潰す」
僕の覚悟をきいてアルネが動いた。
アルネが僕の後ろについて杖を出し構えた。
「おじいちゃん、お父さんも帰って。私はリオンに付く。
私はリオンと結婚すると決めたの、旦那をほっといて国に帰る何て、ロンバートの孫じゃない」
カーリが隣に立つ。
「ロンバートおじいちゃん、久しぶり。マンチャッタ国と関係無しに私もリオンに付く。
リオンは私の全て、リオンが死ぬなら私も死ぬ道を選ぶ」
「カーリ聞いて良いか? それはつまり私よりそのリオンが強いと言うことか?」
「そうね。間違いない。リオンはだれよりも強い」
「わかった、カーリとアルネの覚悟を知った」ロンバートが頷きカーリを見る。
リーンハルとルーニーが来た。
「「私達も忘れ無いで下さい」」「私達もリオンさんについて行きます。それが例え地獄であっも」ルーニーとリーンハルの静な決意表明だ。
ロンバートが呆れたように宰相とお兄さんを見る。
「ほれ見ろ、言わんこっちゃない。魔王級が5人も揃った。
良いか、私とリオンだけなら私の方がまだ上だ。だか、あと2.3年もしてみろ。私すら、お前ら同様に雑魚扱いだぞ。
それに、この男の妻達が加わるとそうもいかん、今でさえ私は1週間と持たない。
その後はお前らだけでどれだけ持つ。持って3日と言うところだろう。
お前達の行動は思慮にかけたおろかな行動だ」
突然ガンスが間に入る。
「リオン、ここは俺の顔を立ててもらおうか。マキュリーの母親は俺の責任で生き帰えさせよう。
ロンバート、お前さんは息子と孫をもう一度教育し直せ。
リオンは自分の女の事になると見境がつかん、まだ子供だ」
「ガンス。そんな事が出来るの?」
「お前は師匠の言うことを信用出来んか?」
「わかったよ。皆、武器をしまって」4人が戦闘体制を解除した。
僕がマキュリーの前に来て膝をついて謝罪する。
「マキュリー、知らなかった事とはいえ、ごめん。それともっと早く僕達が到着していればこんな思いはしなかったはずた。
君達には、謝罪の言葉もない」
マキュリーは首をふる。
「気にするな。初めて合った私のお母さんの為にこんな怒ってくれた人はあんたが初めてだ。私はそれだけだ十分だ」
「マキュリー、お母さんの所に案内しろ。俺の約束を果たそう」
ガンスがマキュリーと一緒に家に移動する。
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