第150話

その日、呼ばれた場所は何かの儀式なのだろう。大きな祭壇にロンバートの主要な親族が集まり、祭壇の下にはエルフの一族が見渡す限りに揃っている。

そんな中、僕達5人ロンバートの横に揃って座らされられた。たが、残念ながら僕達は今日何が行われるのかすら教えられていない。当然、孫のアルネを何も聞いていなく、珍しく緊張していた。


「これより、退位式と新任式を執り行う。立会人をここにいる、リオン レース レインに頼む」


ロンバートが集まった人達全員に伝える。

「まず、私ロンバート リカリオは本日を持って国王を退位する。新しい国王は、サンベルシュ リカリオだ。そしてサンベルシュ リカリオの守り人を。立会人、リオン レース レインが勤める」


会場にいた数万のエルフ達がため息をこぼす。ざわつく者すらいない。


サンベルシュ リカリオが国民を前に立ち上がる。

「この国は、長らく、父 ロンバートにより支えられて来た。

皆、ロンバートを恐れ、敬い、いずれは越える事を望んだ。

だか、実際に越える努力をした者はいたか? その強さに憧れてはいたが、倒そうと挑んだ者はいたか?

長らく、父ロンバートはその国民の不甲斐なさに悩んできた。だか、今ここに父ロンバートは自由を得た。それはロンバートを越える強者をダンサール国に繋げる事に成功したからだ。

それがこの男だ。この男は我が娘を自らの者にした。そして、我が母を殺した。さらに、私の後ろ楯となってのうのうとこの国で暮らしている。

貴様らは悔しく無いか? 我らが他人に頼る弱き国に成り下がる事に悔しさを覚えないか?


私は違う。皆につぐ。我々は1人で強くなる必要は無い。我々皆で、ロンバートを、リオンを越えればいい。

そしてこの国を狙う者達に示してやれ。ロンバートがただの飾りだったことを。この国を守る我らの力を。

リオンが何時でもこの国を出て問題無いことを、そして戻ってきた時には我らはリオンを凌駕する力を得たことを示せ」



一呼吸於いてサンベルシュ リカリオが国民に頭を下げ最後の仕上げをする。

「いきなり、私についてこいとは言わない。私は全ての国民に私のやりたい事を見せる、気に入ったなら付いてこい。一年も立たずに私はこの国の全ての国民を見方にしていることを約束する」


その演説のあと。ため息と、拍手と入り交じりながら国民がひとつになる為の最初うねりが生まれた。


絶対的な力を持った。ロンバートの寝床が今日、終わった。


◇◇◇◇◇


新任式が終わり1ヶ月位たった頃、ギルドから僕宛の指名依頼が来た。依頼人 リュウ。

書かれていたのはそれだけだった。


ギルドに行き、指名依頼について聞く。

「リオンさん、マスターの部屋にどうぞ」

そう言われマスターの部屋に案内される。


男の人が座っている。見た目的にロンバートにそっくりだ。


「始めまして、リオンさん。ギルドマスターのダンテと言います」ギルドマスターが立ち上がり挨拶してくる。


「始めましてリオンです」


「貴方は有名人だ。私も遠巻きに親任式を見ていました。国王の守護者とお会い出来て嬉しく思います」ダンテの見下した笑みに少しイラつきを覚える。エルフの特徴なのだろうか、他種族を見下す所が気になる。


「所で、この指名クエストについて聞きたくて来ました」イラつきを抑え話を聞く。


「リュウを覚えていますか? 彼はリュートビッヒを親のようにしたっていました。そのリュウから貴方に、たっての願いと言われて出したものです」


「で、僕に何をしろとおっしゃるのですか?」


「それは、リュウ本人に聞いてください。我々も聞いてはおりません」


「では、そのリュウと会うにはどうしたら良いですか?」


ダンテが地図を出し場所を示した。

「ここにロンバートが若い頃に練習場として使った場所があります、こちらに来て欲しいと言われてます。

但し、ここはモンスターがよく出る場所でもあります。行かれるのは構いませんが注意だけはして下さい」


「わかりました。日にちは決まっていますか?」


「いえ、リオンさんのタイミングで問題ありません」ダンテが用心深く僕を見る。


「なら、明後日。朝に僕はここを出発します。リュウにそのようにお伝えください」予定をギルドマスターのダンテに伝えてギルドを出る。


拠点に真っ直ぐには戻らず森の中に入っていく。僕を付けてきた男達も森に入る。


男達はギルドから僕後をつけている、初日にギルドからついていた奴らと一緒だ。


あえて森の中で男達が近くに来るまで待つ。

「おい!」「ああ」


男達の緊張した声が聞こえる。その男達の後ろに空間移動して声をかける。

「僕に何の用ですか? ギルドに行くたびにつけてきますが?」


男達が振り向き恐怖のあまり腰を抜かす。震えながらも僕を見る。

「用が無ければ僕は帰ります」


男達が反応出来ずにいる。も少し待つか考えたが、男達を置いて空間移動して、拠点に戻る。


男達は僕がきえてから動けるのにだいぶ時間をようしたようだ。


リュウとの約束の日、1人で拠点を出て指定場所に向かう。隠れているがかなりの数の人間が配置されていた。


練習場と言うだけあってかなりの広さだ。真ん中にリュウを見つける。


「おはよう」僕がリュウに声をかける。


「今日は何のようだ?」リュウから聞いてきた。


「え、リュウがキュートビッヒの敵討ちしたいって、この場所指定したんでしょう」

僕が聞く。


「いや、あんたが俺に用が有るとギルドのダンテに言われたぞ」


思わず2人で顔を見合わせる。


そう言う事だよね。要するに僕とリュウが潰しあってくれると喜ぶ奴がこんな手の込んだ事をしたんだよね。

「リュウ、対戦前に肩慣らしが必要だと思うけど、どう考える?」


「なる程、そう言う事何だな」リュウが考え込む。

「すまんが、俺はこのまま逃げてもいいか? 何せここに住んでいるからな」


「今度、正式に対戦しよう」

僕の言葉に振り向き少し笑って姿を消す。


「出てきてください。貴方達の目的を教えてください」

大きな声で問いかける。


茂みに隠れていた者達が姿を表す。ほとんど冒険者と言うより、ならず者の集まりに思えた。「目的と言われてもな、お前達を始末しろと言われただけだ」


集団の誰かが言う。


「誰にですか?」そう問いかける。


「誰が言うか。飯の食い種が無くなるだろう」先程とは反対側から声が聞こえる。


_____________________________________________________


祝 150話。


パチパチパチパチ。

いつも1人で盛り上がってすみません。


いつも読んで頂いてありがとうございます。本当に感謝です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る