第149話
アルネに会い、シールズマウンテンの卵について伝える。アルネが卵をもってマンチャタ国の首都に行くと言って出かけてしまった。
拠点で休んで要るとキュートビッヒとリュウがやってきた。
「リオン、お前さん暇だろう」キュートビッヒの遠慮の無い言い方に少しイラつきを覚える。
「すみません、僕も忙しくしています。何の用でしょうか?」
キュートビッヒが後ろを向く。
「フン、寝転んだ奴が良く言うわ」
僕がキュートビッヒを見る。
「用がないなら僕はこれで」
部屋を出るとリュウが追いかけて来る。
「お願いがある。俺を強くしてもらえないだろうか?」
「お断りします。強くなりたいなら、僕に言わずキュートビッヒに言ってはどうですか? 僕は貴方を強くすることは出来ない」
キュートビッヒが部屋から出て来て文句を言う。
「お主はケチだな。リュウの事すら強く出来ないか?」
僕がキュートビッヒを真っ直ぐと見る。
「出来ないものは出来ない。僕に文句を言うなら貴女が責任をもってやればいい。
僕は貴女とはただの他人だ。
その事を忘れないで下さい。貴女の回りにはロンバートもいる。貴女達のやり方に僕が付き合う必要は無い」
「チッ」舌打ちして、キュートビッヒがきびつを返し帰って行く。リュウが訳がわからないと言った顔をしながらキュートビッヒについて帰っていった。
リーンハルが成り行きを見ていたのだろう。近付いて来た。
「リオンさん。何故彼を突き放すのですか?」
「リーンハルは彼に無くて僕達に有るものは何か解るかい?」
突然の問いかけにリーンハルが黙って考え込む。しばらく考えて首を横にふる。
「そうだよね。実際に僕もわからない。でも僕の感が、彼は絶対的な強さを知ってる事が危険だ。そう言ってくる。
彼に始めて出会った時、彼は強さに慣れていた。絶大な強さが当たり前に有ることに疑問を持っていない。
彼はかなり幼い時からロンバートと一緒に過ごしたと思う」
「リオンさん、私はそれ自体は悪い事じゃ無いと思います」
リーンハルが真っ直ぐな目を僕に向ける。
「僕が思っているのは、彼は守られ過ぎた。それだけだよ。
もっと前に自分の力で立ち上がって、限界を感じて、乗り越えて。
悔しい思いをして、様々な事を勉強してやって来る必要があったと思う。
彼は努力をしたことがない。何でもそつなくこなし、身に付けて来たタイプの人だと思う。
リーンハルもルーニーも僕からみたら天才に見える。でもそこに努力を重ねている。
でも彼はそんな努力すらしなくても才能だけでこなして来たタイプだよ。実際に今のリーンハルと同じ位強いと思う。でもリーンハルには勝てない。残念だけど」
「それは何故ですか?」リーンハルが表情をかえず聞く。
「彼は自分より確実に強い者と対戦したことがない、その恐怖を知らない、狡猾さを知らない。臆病さを知らない、極めつけは本当の自分を知らない。それだけだよ」
「リオンさん少し難しく言い過ぎです。つまり言いたい事は何ですか?」
リーンハルが難しい顔で聞いてきた。
「リーンハルは僕と真剣に戦って勝てる自信はあるかい?」
「そりゃあ、有りますよ。絶対的に自分に自信の有る必殺技的なものが」
「それだよ。勘違いしないように言うけどそれだよ」
僕が後ろを向いて廊下に響くように大きな声をだす。
「勘違いするなよ。必殺技じゃ無いぞ」僕の言葉の後、複数の気配が屋敷から消える。
リーンハルが怒りを露にする。
「盗み聞きしておいて、そのまま逃げる何て許さない」
怒気を帯びた魔力が町全体を覆う。屋敷から消えた気配が揃って一瞬動きを止める。
リーンハルがその気配を追いかけて動きだす。ものの数分でキュートビッヒ、メイド2人を連れて戻って来た。
リーンハルの怒りにキュートビッヒとメイド達がしなだれてしまっている。
部屋にルーニーとカーリが来た。リーンハルの怒りが原因だと思う。
リーンハルがキュートビッヒに近づき言う。
「これ以上リオンさんを馬鹿にしないで下さい。
基本的にリオンさんは優しいからこの程度では怒りません。
ですが私は違います。
ましてアルネさんの故郷かどうか知りませんが。リオンさんが怒らないように納めるのが私達4人の役目です。
キュートビッヒ。ハッキリ言わせてもらうけど、私達4人でロンバートは倒せる。でも我々4人ではリオンさんは倒せない」
リーンハルが怒りをこられて話す。
「その事を忘れるな!! お前やリュウは暇潰しの道具にすらならない。それ以下だ。
そんな程度の奴が私達を、礼儀を忘れて怒らせる何てもっての他だ。ここから出たいなら謝罪してから出ていけ。
さもなければ、明日お前達は魚の餌だ」
さらにリーンハルの圧が強くなりキュートビッヒが倒れて苦しみだす。メイド達が何とか耐えているのが不思議に思える。
キュートビッヒが誓いをたてた。
「今後二度とリオンを侮蔑するような見方、考え方、話し方をしない」
誓いをたて自ら血判を押しリーンハルに許しをこう。
リーンハルが残りのメイドを見る。リーンハルの動きに風斬丸が呼応する。メイド2人の右腕が吹き飛んだ。
風斬丸から声が聞こえる。
「何だ、2人とも首を斬ったつもりだったが、何で止めた? 白狐」
白狐が姿を表す。
「主は無駄な殺しはしない。わきまえろ」
そう言葉を告げると姿を消す。腕を斬られたメイド2人が白狐の姿に恐怖している。
「私はまだまだですね。リオンさんと白狐の強い絆が羨ましいです」
リーンハルが風斬丸にお礼を伝えマジックバックにしまう。
メイド2人が震えて動けずにいるのをルーニーが抑え、腕を神聖魔法で繋げる。
キュートビッヒとメイド2人が並び僕前で膝まつく。
「白狐、でておいで」
白狐が姿を表すと、九つの尻尾を優雅になびかせ頭を地面に付け、僕の言葉を待つ。
「白狐、君の判断に任せる。気に入らないなら殺せ」
僕の言葉に反応して、キュートビッヒを噛み殺した、その様子を見たメイド達が完全に失神してしまう。
拠点の前にキュートビッヒの首をさらし、体を地面に投げ捨てこう立て札を立てる。
『キュートビッヒは、当家 主人 リオン レース レインの怒りかい、死罪となった。
この死体を取ることは、即ちリオンの異にそぐわない行為となる。
リオンの異にそぐわない事を行ったはキュートビッヒと同様死罪とする』
その日から、町中に行列ができる。キュートビッヒの死を痛み、別れを惜しむ者達がキュートビッヒの前に花を起き帰って行く。
翌日、ロンバートが姿を表す。地元の者達は何かをロンバートに期待しているが、ロンバートは花を手向け、何も言わず従者達と町を後にした。
ダンサール国の絶対強者が居なくなった事を国民に示した格好となった。
この事実は驚きを持って各国に伝わる。ホルスメン大陸、和議の国、その他の島国の小国等、全ての国に伝わるのに1週間とかかならかった。
ダンサール国に近付こうと目論む者、様子を見ようとするもの等が多数いるなか、僕達5人が首都に呼ばれる。
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