第152話

リュウが僕の推薦のもと。ガンスの弟子入りを了解した。リュウを連れて拠点に帰る。


アルネとカーリが僕の部屋に来る。

「リオン、また面倒事に首を突っ込むの?」アルネの辛辣な言葉が飛ぶ。カーリは何事も無かったかのように抱きついて絡み付く。


「そんなこと無いよ。リュウをガンスに預けようと思っているだけだよ」


「あ、それは賛成。私達がいなくなってから、誰かにここ場所を守ってもらわないといけないしね」

アルネがうなずく。


僕らの話をよそに絡み付くカーリを見て、リュウが絶句している。


「リュウ、気にしない。この子いつもの事なの」アルネがリュウに説明する。


カーリは満足行くだけ絡んだのか、僕のベットに潜って寝てしまった。


リュウが僕を見て混乱した顔をしている。

「なあ、リオン。お前はこんな強い奴らに囲まれて恐ろしく無いのか?

以前、魔族のマルチーズと会ったこと有るけど、彼よりこの2人は強いだろう。俺は恐怖心しか、出ないぞ」


「リュウ。それはリオンが私達の数十倍は強いからよ。力の差が有りすぎると力を理解出来なくて何も感じ無いのよ。

リュウが私とカーリの強さがわかるって事は貴方もマルチーズさんと変わらない位強いってことでしょう。自信持ちなさい」


アルネが穏やかに説明する。


その後、移動する時、ルーニーとリーンハルを連れていくよう言われた。

アルネはやることがあるらしくお留守番をするらしい。カーリは寝てるからおいて行って問題無いとアルネが判断する。


リーンハルとルーニーと合流して、リュウを連れてアメール村に空間移動する。


リーンハルとルーニーが元気良くギルドに入る。

最近活気の出てきたギルドに可愛い女の子が突然入って来た事もあり、冒険者達がざわめく。


ランバートさんがリーンハルとルーニーに声をかける。

「いらっしゃい。リオンは一緒か?」


「「ランバートさん」」

2人が近付いてキャッキャと話をしている。僕がリュウを連れて中に入る。


「お、来たな!」

名前をよばずに食堂の椅子を引いて招かれた。リュウを連れて食堂に入る。

ルーニーとリーンハルは勝手知ったる他人の家と言わんばかりに、ギルドの中に入ってサンリューチュさんのお手伝いをしている。


「こちらは?」ランバートさんがリュウを見る。

「リュウと言います。訳有って、ガンスに預けようとと思って来ました」


「そうか、なら優秀な人材だな」

ランバートさんがリュウと握手する。


「リュウと言ったか、俺はギルドマスターのランバートだ。こいつとは付き合いが長い。何か会ったら訪ねてこい」


「それと、この国では、まだリオンの名前は出しては駄目だ。込み入った事情があってな」そう小声で話す。


リュウが?となっていたが了解した。


ルーニーとリーンハルが来て懇願する。

「何日かアメールに停まりましょう。今度お祭りやるらしいですよ」


「停まるのは良いけど2.3日だよ。マンチャッタ国からの使者が来る。その対応は僕達全員でしないといけない」


「「はーい」」なぜかつまらなそうに話す2人。

「結婚式の準備は出来ているのか?」

ランバートさんが聞いてきた。


「マンチャッタ国の王家が揃ってから始まりますので後、2ヶ月程先です」


「そうか、でもリーンハルとルーニーも良かったな。これで正式にこいつの奥様だな」

ランバートさんの声に、ブーイングが出る。


僕達の会話を聞いていた冒険者達の文句が溢れる。それにランバートさんが反応した。


周りにいる冒険者を睨むと、冒険者達がおとなしくなる。


「所で、こっちに何日かいるならハマイルのお店に行ってもらえるか?」


「わかりました」真剣な顔で答える。


「リーンハル、ルーニー。僕はリュウと出かける。帰りは迎えに来るから、ランバートさん達とゆっくりしててね」


「わっかりました!」ルーニーがカウンターの中に入って行く。


「リーンハル、悪いけど頼むね」

僕が頼むとリーンハルがうなずく。そして僕の側に来て小さい声で話す。


「気を付けてください。嫌な空気がしてます」

「わかった」


僕の返事を聞いてリーンハルもカウンターの中に入って行った。


「リュウ、そろそろ行こうか。ランバートさん、あの2人お願いしますね」


ランバートが頷きながら笑う。


リュウと一緒に、アメール村にあるセキュリティゾーンに来る。


僕達がつくと同時にガンスが現れた。

「リオン、どうしたこんな時に?」


「ガンス、お願いがあって来ました。こちらはリュウ。知っていますか?」


リュウを紹介する。


「ロンバートの所の子供だろう。こいつが何かしたのか?」


「リュウを育ててもらいたくて来ました。彼は鬼人族の生き残りです」


ガンスが驚き、リュウを睨む。

「お前、本当に鬼人族か?」


「はい、鬼人族 座部座 龍神(ザブザ リュウシン)。

今は和議の国の山奥で複数の鬼人族が交わって暮らしています。

俺はロンバートに生け贄として子供の頃に渡されました。ただ、運良く生き残っています。

リオンから貴方の話を聞きました。俺を強くして欲しい。その一心で今回お願いに上がった次第です」


ガンスが考え込んで了承してくれた。

その後僕は1人で、ラピスに空間移動する。


ギルドに来て、ダリアさんに会う。お昼前と言うこともあり、ギルドはだいぶ空いていた。


「少しお伺いしてもいいてですか?」

カウンターでダリアさんに声をかける。


ダリアさんが驚き過ぎて声を失っていた。

「最近、ハマイルさんに変わった事はありませんでしたか?」


「ハマイル商店のハマイル様ですか?」

ダリアさんがゆっくりと話す。


「はい」僕が頷く。


何か手紙らしき物を出してこっそり渡される。

「いえ、特に何も変わった所はありませんでしたよ」


手紙を受け取り答える。

「そうですか。ありがとうございます」


ギルドを出て、拠点に行くが、マリアが留守にしていた。

拠点はきれいに片付けられ生活感はあまり感じない感じだ。唯一、マリアの物だろう品物が奥の狭いスペースにまとめられていた。


拠点を出て、ハマイルさんのお店に顔を出す。お店中を見て回り品物を物色していると、ハマイルさん、マリア、ラーネ ハバルが戻って来た。3人はそのまま奥の部屋に入る。


店員に気づかれ無いように奥の部屋に来てノックをする。ハマイルさんが僕を見つけて直ぐに部屋に入れてくれた。


「リオン君、いつお戻りになられたのですか?」ハマイルさんが小さい声で聞いて来た。


「今です。今日、用事がありアメールに行きました。そこでハマイルさんにあって欲しいと言われました」


ハマイルさんがほっとした顔で座り込む。

「タイナーに何かあったのですか?」


ハマイルさんが深くため息をついて話し始めた。どうやら僕を国外に出した事で貴族達と確執が大きくなり、大変な状態になっているらしく、それもありモンナもこのところ体調が良くないらしい。


そこでハマイルさんに僕の情報を、融通するようにと貴族達からの圧力がかかっているようだ。


僕とハマイルさん話し合った結果、タイナーにある提案をする。

ハマイルさんはそれをタイナーに伝えて準備してくれる事になった。それと同時にマリアにハマイルさんの護衛を頼んだ。元々、この拠点を借りた時から、この店舗は僕達が守って来たのだから。

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