第142話
ロンバートに案内されてダンジョンにくる。
世界樹と言うのは本当に大木だ。幹回りの太さも凄いがその高さだ。
上が見ない。雲を突き抜けてまだ天にそびえ立っている。
ダンジョン内部に入る。意外にも迷宮型のダンジョンだ。
もっと湿地系や森林系のダンジョンを想像していた。
1階層はゴブリンがメインのようだ。鳳凰を抜き先に進む。
白狐に声をかけられる。
≪主、何やら楽しそうですね≫
「この所、刀の練習が出来ていないからね。のんびりとダンジョンの中で練習しようと思ってね」
≪面白いモンスターがいれば案内しますか?≫
「お願い、後、セイフティゾーンもわかれば教えてもらえるか? そこを拠点にする」
≪過去に訪れた事があります。そのままであれば1階層の隠し部屋がセイフティゾーンです≫
「白狐も来たの?」
≪はい、主のお母さんと旅をしたことがございます。その際に立ち寄りました≫
「そっか、少し楽しみになってきた」
等話をしながら1階層全てを回る。
出て来るモンスターがゴブリンたけで練習した気にならない。
白狐の案内で隠し部屋に入る。部屋の中だけモンスターの臭いも気配もない。ここがセイフティゾーンだろう。
そこに寝床を作り隠し部屋から出る。2階層に向かう。
2階層に登ると、オークゾーンだ。
オークが群れで歩いている。僕を見つけ一斉にかかってくるが動きが遅い。
ただ、油断なく確実に1匹1匹倒して行く。
すぐに2階層を全て回り付くしてしまう。調子に乗って3階層に来る。
3階層は強酸性の鼻につく酷い臭いがする。苦手な虫系モンスター特有の物だ。
出てきたのが1mは有るだろう軍隊大白蟻だ。まだ良かった、蜘蛛系やミミズ系は本当に嫌いだ。
軍隊大白蟻が大顎をガチガチとならし仲間に獲物の発見を伝えている。
虫系モンスターの弱点は寒さ。それを利用して倒す。
「アイスフィールド」単詠唱を唱える。
回りから氷初め、軍隊大白蟻の動きが鈍る。
動け無くなった軍隊大白蟻を1匹づつ倒して行く。
軍隊大白蟻の女王蟻は貴重な食べ物らしく滅多に出回らない物だ。折角なので女王蟻まで捕まえに行く。
アイスフィールドをかけながら探すとほぼ3階層全てを氷らせた頃に巣を発見。
天井まで届く土の塊が巣の入り口だ。土の塊を壊し中に入る。
巣の中は意外に広く。立って歩く事が出来る広さがあるの。アイスフィールドをかけまくったせいか、巣の中も氷った状態で軍隊大白蟻を倒しながら進むすの最深部にでかい軍隊大白蟻がいる。
女王蟻だろう。丁寧に部位に別けて解体してマジックバックにしまう。
軍隊大白蟻の卵がある。これも貴重な物だ。有るだけ取ってマジックバックにしまう。
巣を出て4階層に出る。
4階は広い岩だらけのドームになっている。セイフティゾーンかと思ったが違った。上にハーピーの群れがいる。
ハーピーは見たことがなかった。知識だけなら知っているが、少し楽しみだ。
「ラララ~」ハーピーの歌声が聞こえる。耳を塞ぎ索敵をかける。
かなりの数に囲まれた見たいだ。おもいっきり威圧をかける。
回りに群がったハーピーが落ちてくる。ハーピーは幻覚を使い、敵を倒す。特に男はハーピーの歌声に魅了され、自ら死を選ぶと教わって来た。
鳳凰に魔力を込める。「ライトスピア」を唱えハーピーの中心に向けて放つ。
天井からさらに沢山のハーピーが落ちて来る、そんな中、一際煌びやかなハーピーが優雅に降り立つ。
「ロンバート? 妾になんのよう?」
ロンバート? 僕の姿が見えていないのだろうか。
「悪い、僕はロンバートじゃない」
ハーピーが驚き体をよじる。
「お前は誰だ?」
「僕はリオン。ロンバートから儀式と言われてここに来た」
「リオン? は、もしやロンバートが死んだのか?」
「いや、元気だよ。彼は殺しても死に無いだろう」
「確かにそうだ」
「何が欲しい? これでもハーピークイーンだ、お前の望みをかなえてやろう」
「なら、この階層に到達した証が欲しい」
ハーピークイーンが殺気立つ。
「おい、ロンバートがそう言ったのか?」
ハーピークイーンの言葉に僕も驚く。
「何か、面倒な事なのかい。ロンバートからは何も聞いてないけど」
「いや、聞いていないなら良い。私のこの羽をやろう」ハーピークイーンから唯一ピンクに輝く羽をもらう。
「これは?」僕の問いにハーピークイーンが遠い目をする。
「ロンバートに会ったら伝えて欲しい。私はいつまでも待っていると」
「わかった。伝える。明日もここを通りたい。許可してもらえるか?」
「許可しよう。お前は若い頃のロンバートに似ているよ」
ハーピークイーンに別れを告げて5階層に登る。
4階層と同じような造りだと思うが何か変だ。
蜂蜜蟻が5匹も動かずにいる。何か変だ。蜂蜜蟻は物凄く臆病なモンスターだ、それが元で捕まえるのが難しいモンスターだ。
その蜂蜜蟻が僕が見える場所にいながらその場にとどまっている。
それも5匹全部。罠だと考えるが妥当だろう。
「ウイン」ウインが眠そうに肩にもぼる。普段用がなければマントのポッケでフルと一緒に寝ている事が多い。
「ウイン、エアーを弱く出してくれ。特に蜂蜜蟻の上を中心に頼む」
ウインがそよ風程度の風をお越し蜂蜜蟻の上に風を流す。
糸だ。
蜘蛛系のモンスターだろう。蜘蛛系のモンスターの中には知力が高く、罠を張り獲物を捕えるモンスターがいると聞いた事がある。
「ウイン、そのままの状態で風を送ってくれ。フル力をかせ」
フルがモソモソと出てきて肩に乗る。
ファイアーを唱え先ずは蜂蜜蟻を焼く。糸のような物が燃え、上に登って行く。
「フル、上まで火の柱を伸ばすぞ」
ファイアーを最大限にかける。5体の蜂蜜蟻を繋ぐように炎の柱を作る。
天井に届く高さまで炎の柱を作る。ウインを使い、風を常に送らせる。
天井付近でかなり炎が激しくなる。何かの燃えカスがヒラヒラと落ちてくる。さらに強く炎を作る。
そのまま1時間燃やし尽くす。炭化した、何かが落ちて来る。
かなり大きく、塊が落ちて来た。
中に来て天井を見る、大小様々な黒い物体を確認する。
炎で焼いたのが良かったみたいだ。
下を見て進むと蜂蜜蟻がいた辺りに魔石を見つける。懐かしい蜂蜜蟻の魔石だ。辺りを見ると5個の魔石を確認出来た。
やった。珍しい魔石が見つかった。ホクホクした気持ちで6階層に向かう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
6階層に到着する。また迷宮型になる。何かが目の前を通り抜ける。レイスだ。
レイスがいるダンジョンも今までなかった。
「鳳凰、この階層はレイスがメインだ。頼んでも良いか?」
≪問題無いぞ。待ってろ≫
鳳凰が飛び出し体を光らせる。その光りがダンジョンの階層全体を覆う。
モンスターの気配が消えた。この階層を抜け7階層に登る。
階層の入り口がセイフティゾーンになっていた。そのセイフティゾーンに魔力を登録すると1階層の隠し部屋に空間転移する。
お腹が減っていたが作るのが面倒で何処かに移動することを思い立つ。リュックニーまで移動を試みる。
空間移動魔法を詠唱する。範囲を確認すると、リュックニーまで行ける事を確認、空間転移する。
僕達が潜った時と比べ沢山の人で賑わっている。
リュックニーのハマイル商店を見つけ店内に入る。
受付の人に店長をお願いする、忙しいのか何のようかと聞かれる。
ハマイル商店の金カードを見せ、再度店長をお願いする。店員がかなり慌てて店員を呼びに行く。
金カードすげー。こんな効果あるの?
見た事のある女性が来た。
「リオンさん。お久しぶりです。よくぞおいでくださいました」
「お久しぶりです。ハマイルさんからこのお店の事を伺って、来ました」
店長が後ろを向いて店員だろう男に言う
「私はこれから、休みにします。誰も部屋に入れないように」
「はい」
「ではリオンさん行きましょう」
店舗の裏から3階に上がると食堂の裏口につく。そこから店内に入る。
「リオンさん、私はこの店舗ではマーリンと名乗っています。今後マーリンとお呼び下さい」
「有難う。僕達の事は?」
「大丈夫です。伺っています」
「なら良かった。今僕がオーヂエンには入れないので」
「フフ。でも思い切りましたね。国宝を盗むなんて」マーリンが笑いながら話す。
「思い切ったと言うより、してやられた。と言うのが僕の思いです。
それより、物凄く珍しい物を手にしました。そのお裾分けをしたくて、来ました」
「どんなものですか?」
蜂蜜蟻の魔石を1つ。軍隊大白蟻の女王蟻を出す。
マーリンの顔が変わる。
「この魔石と女王蟻を我々に頂けるのですか?」
「ええ、ハマイルさんには最後まで助けて頂きました。そのお礼です」
「助かります。さる王家の方から、蜂蜜蟻の魔石を用意するようにかなり強く言われておりまして、これは助かります。
後、こっちのモンスターは軍隊大白蟻の女王蟻ですね。こちらも需要の高い物です。良くこのようなモンスターを見つけましたね」
マーリンが真剣な眼差しで僕を見る。
「詳細は言えません。それと蜂蜜蟻の魔石はおそらく今後は取れません。今回たまたまです。
もし定期的に取れるなら最高の産業になると思いますが」
「そうですか、それは残念です。でもまたお会い出来て嬉しく思います」
それからマーリンと食事をして、ダンジョンまで戻る。
1階層の隠し部屋は完全なセイフティゾーンのようでやはりモンスターはいない。
そのままベッドに潜り込む。かなりお酒をのんで帰ったがそんなよってはいないはずだ。
だか、その部屋に1人の女性がいた。索敵にかからず、気配を消し。静かに祈りを捧げる姿に、完全に酔いが冷めてしまった。
その女性が祈りを捧げるのが、世界樹の破片だ。
僕が女性の後ろ姿を眺めて要ると僕の方を向いて話を始める。
「この場所に来たのは貴方が5人目です。最初の方は、私を何とかしようと頑張っていましたが、貴方は違うようですね」
「この状況で貴女をどうにかしようと思える奴を僕は1人しか知りません。
もしかしたら同一人物だと思います」
女性が首をコテンと倒した後に笑う。
「貴方も不思議な方ですね。私を怖がらない方は、私も初めてです」
「貴女に敵意を感じません。それと敵意より驚きが大きいです。僕は寝ていても人の動き等は大体把握しています。でも貴女は何も感じない。
それこそ、この世界樹と同じ魔力を感じます。そっちに興味を覚えました」
「あら、珍しい」
急に体が動かなくなる。不意にアルネの心配した顔が目に浮かぶ。
女性が僕の顔をまじまじと見る。
「良い事、明日7階層の入り口に必ず来なさい。逃げたら一生このダンジョンから出れないと思ってください。今日のような、空間転移魔法は今後認めません」
「あの、時々、息抜きがしたいので何日かに一回は認めてください」
女性が僕の顔を覗き込む。
「良いでしょう。貴方はロンバートと違い約束を守る人のようです」
「聞いても?」
女性がうなずく。
「ロンバートさんとはかなり長いお付き合いですか?」
「ええ、彼がここに居着いた時からです」
「彼の寿命はとっくに過ぎているように感じてます。無理やり生かしているのは貴女ですか?」
「半分正解です。残り半分はあの男の助平心です」
思わず笑ってしまった。たが、この女性はロンバートを必要としていると感じた。ロンバートを待っていると。
「明日、また話ましょう。この場所はいるだけで魔力を吸収されます。貴方程の魔力が無いとここで生活も出来ないでしょう。
明日楽しみに待っています」
その言葉を最後に女性が消える。
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