第141話

突然、物凄い勢いで魔力の高まりを感じる。


とっさに結界を張り、アルネの近くまで下がる。僕の緊張にアルネが構えて待機する。


ドガン! 結界が煙を上げて何かを止める。


50才位だろうか、がたいの良い男が来た。


「お前らかー!若の命を狙う愚か者どもは!」持っていたアックスで結界を破壊して近づいてくる。


「ダンシュ!」

「お嬢!」


アルネとダンシュが抱き合って懐かしいがっている。


「お嬢、いつ戻られたのですか?」


「今よ、おじいちゃんとこいつら捕えていたの」


「な、すみません。私はてっきり若を狙っているのもだとおまっていました」


「相変わらずせっかちだね、それよりダンシュ。紹介するね」


アルネが僕の隣に来て腕を組む。

「ダンシュ、私の旦那様。私共々よろしくね」


ダンシュの頭の上に?マークがでている。

「お嬢、いくらこのダンシュ、歳を取ったといえ、そのような冗談には引っ掛かりませんぞ」

「ハハハハハハ」


ダンシュが優しい目をしてアルネを見る。


「ダンシュっ! あんた疑っているでしょう」


「だってあのお嬢ですよ。結婚するなんて、まして男殺しと言われたあのお嬢……」


「ダンシュ、私も女よ。添いとげたい、そう思う程の男性に会えば結婚を決めるわよ」


アルネの怒りを抑えた表情にダンシュが恐怖を覚え黙り混んでしまった。


アルネに何かが飛び込んで来た。

良く見るとアルネとそっくりなダークエルフの女性だ。ただ、アルネと比べかなり大人の色気が溢れている。


「お母さん?」


「アルネお帰り。あんた旦那連れて来たって。ロンバートに聞いたよ。誰よ誰?」


「あの、僕はリオン レース レインと言います。今度アルネと結婚したくてダンサール国に来ました。よろしくお願いします」


「「え~!!!」」

ダンシュとアルネ母が驚きの声をだす。


2人はアルネを連れて少し離れる。

「お嬢、まさかと思うが、彼が旦那で良いか?」ダンシュが恐る恐る聞く。


「ええ、そうよ」アルネがしっかりと答える。


「アルネ、お母さんの目を見て話を聞いて。貴女は同族を連れて来た訳じゃないのね。それだけ彼が魅力的だったのね?」


「だから、そうよ。リオンは凄い男よ。おじいちゃんですら、後2.3年立てば、かなわなくなるだけ強くなるわ。

1つの国で収まる器じゃないの。おじいちゃんも風だって言いはなった程よ。私の目に狂いは無いわ」


「わかった。アルネ、私を彼に紹介して」

「もちろん、母親としてね。絶対取らないでね」


「わかってるわよ。でも思ったより細いのね、お母さんはもっとごついのがタイプ何だけど」


「あら、リオン服脱ぐとマッチョ体型よ」


アルネのお母さんが怖い顔になる。

「アルネ、まさか肉体関係があるの?」


パーン、アルネが母親を叩く

「お母さん、リオンを馬鹿にしないで。そんな奴ならここに連れて来ない。

私をばかにするのは許すけど、リオンを馬鹿にするのは許さないからね」


「あら、そんな真剣な顔は久しぶりに見たわね。信用しましょう。

それと、ママもリオンと仲良くなりたいわ。貴女1人じゃなり無いでしょう。私達長生き出し、問題無いでしょう。ウフフ」


「駄目よ、駄目。リオンは私達だけよ。お母さんは駄目」


「達だけ? 貴女以外にもいるの?」妖しい目でアルネを見る。


「カーリ、覚えている」


「寅族の子ね。覚えいるわ可愛い子よね」


「そのカーリと人族のルーニー、リーンハルと4人よ」


かなり驚きアルネを見る。

「あ、アルネ。貴女、本当にそれで良いの? 何か、本当?」


「お母さん、リオンは、私達4人の希望なの」


僕がアルネに近づく。不安におおわれたアルネを優しく抱き締める。

「アルネ、大丈夫?」


「うん、ごめんね心配かけて」


僕がアルネのお母さんを向いて挨拶した。

「初めまして、リオン レース レインです。アルネと結婚したくてダンサール国に来ました」


「初めまして、アルネの母親のサンベルシュ リカリオよ」妖艶な顔で笑う。


ロンバートが出てきた。

「サンベルシュ、皆捕まえたか?」


「お父さん?何の話? 私、今リオンを捕捉してたところよ」


「止めな。リオンは私が認めた。

彼は風だよ。我が国でリオンの結婚式を挙げる。それは我が国の為になる」


ダンシュが近づく。

「若、本当によろしんですか?」


「かまわない、リオンは我らの希望になる。それは他国もみんなが思うだろう。であれば我らが先に納める」


「パパ、なら私もリオンと結婚したい~」

サンベルシュがロンバートに抱きつく。


「駄目だ。アルネが悲しむ、あいつは風だ。風は1つの所に止めて置くことは出来ない。ガンスがつむじ風なら、リオンは台風だ」


「む~。ならその子孫はダンサールにも残さないと。ね、パパ」


「ならアルネに頼め、上手くするとダンサールに腰を下ろすかも知れんぞ」


何故か僕達の事をほっておいて話が進む。


上の人達をよそに、捕まえた者達がてきぱきと連れていかれる。その中に、アルネの父親と兄も含まれた。


だか何故か周りはみんな楽しそうにしている。アルネが言ったみたいにみんな、個性的な為だろうか?


◇◇◇◇◇◇


ロンバートの案内でダンサール国の中心に案内される。そこは世界樹と言われる巨大樹の下に作られた村のような所だ。


兵士もいなく、農作物に溢れ、落ち着い場所だ。


「リオン、ここがダンサールの首都よ。特に名前なんか無いけど、私達みんな世界樹の街と呼んでいるの」アルネそう教えてもらう。


ロンバートに呼ばれる。

「リオン、世界樹の中を見たく無いか?

特別に案内しよう」


アルネが来てロンバートを止める。

「おじいちゃん、そこは…」


「アルネ! おじいちゃんの言う通りになさい」サンベルシュがアルネを止める。


「リオン、人族にも、様々風習や儀式と言われる物が有るだろう。

当然我々にもある。これからその儀式を受けてもらう。いつから始まったかは忘れたが、他種族が我々の一族と結婚する時に必要な儀式だ」


ロンバートから1ヶ月分の食料をもらう。

「世界樹の中はダンジョンになっている。君は4人の妻をめとる。最低でも4階を制覇した証が必要だ。

当然もっと上の階層に進んでも問題無い。到達した階層分、私達は妻を取る事を許可している」


「わかった。最低4階層は突破するよ」


「リオンなら大丈夫。最深層まで行けるよ」

カーリが楽しそうに言う。


何故かダンサールに来て最初にやることがダンジョンの攻略だとは思わなかった。

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