111話
ジロっと睨みさらに威圧を強める。ついに座っていられなくなった国王が地面に付しながら僕をにらむ。
「セバスチャン ルイル国王。貴方より第3王女のオルフィがまだ立っています。それもこの重圧の中で刀を抜いて貴方はオルフィ第3王女を守ろうとしている。これ程までに執念を燃やすのは貴方に騎士だから?
それとも僕がベリス ダシャナの兄だからでしょうか?」
「貴方が本当の国王かどうかなんて僕にはわかりません。でもオルフィ第3王女は本物でしょう。この殺気と怯えた表情は実際に殺されかけた者の表情です。
さて、貴方は本物の国王ですか?
もし違うならこの場で死んで頂きます。こんな小芝居に付き合うつもりは無い」
オルフィ第3王女がふらふらとした足取りで僕の前に来て平伏する。
「数々ご無礼を謝罪いたします。この辺で皆を解放して頂けますか?
我が国を守る為であれば私のこの命捧げも構いません。どうかお許し下さい」
威圧を解く。
「僕を試したければこの国の騎士、兵士を全て集めてからにして下さい。必要によっては本当に国の1つは潰しますからね」
オルフィ第3王女が平伏したまま話す。
「承知致しました。今回の失態はこのオルフィが提案した事です。私の命をもって償わせて頂きます」
「僕は貴女の命は要りません。それより本題に入りたいと思いますが、この人、この場所でよいですか?」
「では、改めてご案内致します」
オルフィがまた僕を連れ出す。大きな会議室に到着すると中に入る。
ダリアさんがつまらなそうにしていた。
「リオン君、こっちこっち」
僕を見つけると手を降って僕を呼ぶ。
「ダリア、リオン様は国王の向かいに座って頂きます。必要があれば貴女がこっちに来なさい。
私は今回リオン様のホストを勤めます。よって私も横に座らせて頂きます」
そう言うとオルフィが右に、ダリアが左に座った。
この少しあと兵士が声をかける。
「陛下が入室致します」
見ると先程よりやや歳が上の男が来た。
「皆様、ご起立願います」兵士の言葉にみんな立ち上がる。
壮年の白髪混じりの男性が僕の向かいに座る。
「先程は失礼をした。我が国も攻められる事を余り経験したことがなく皆、警戒が強い。
私がセバスチャン ルイル フオン アルメニア。この国の国王をしておる。先程は失礼した」
「いえいえ、謝罪の言葉を頂けて光栄です。
リオン レース レインです。よろしくお願いします」
国王が椅子に座るのを待ち皆一斉にに椅子に座る。
「リオン殿、この度は依頼を受けて…」僕が国王の言葉をさえぎる。
「おい…」「へ…」「なんて失礼な」等ヤジが飛ぶ。
「僕は依頼を受けるとは一言も言ってません。何か勘違いされてませんか?」
「ダリア、本当か」国王の横に座る騎士がダリアをにらみながら言う。
「私はここにリオン君を連れて来るように言われただけです。仕事の内容は何も聞いておりません。ましてリオン君が嫌がる仕事なら、そもそも私は受けていません」
「ダリア、貴様それでも誉れ有るロイヤルナイトの一員か?」騎士がさらに悔しいそうにダリアさんをにらむ。ダリアさんはそっぽを向いた。
「まずは依頼内容を教えて下さい。受ける受けないはその後です」僕が話しを進める。
国王が話しを始める。
「この国に、四聖獣教団なる不届き者が来た。幸いにも皆無事では有るが奴らを捕える事が出来ずにいる。
リオン殿はかの者達の隠匿魔法を常に見破る、そのように話しを聞いた。それで来てもらったと言うわけだ。」僕が不思議そうな顔をしていたのだろう。
「何か不思議そうな顔をしておるがリュックニーの、エンリール ルイルはアルメニア王国出身だ。そのエンリールから色々と教えてもらった。だから来てもらったと言うことだ」
「何か釈然としませんね。アルメニア王国は最強の名を欲しいままにして来た。そんな強国の兵力と王国を支えるロイヤルナイトがいながら何故、僕が出てこないといけないのでしょうか?」
「恥ずかしながら、誰も君のような事が出来ない。君の横に座るオルフィは、我が娘で有りながらロイヤルナイトの一員でも有る。能力は先程見てもらった通りだ。
そのオルフィですら、何かに触れた感覚だけで対処した位だ。誰しも君のようには行かないものだよ」
「なる程、王の恥を見ず知らずの冒険者に見せて、対処しろとおっしゃるわけですね」
国王の横に座る騎士が立ち上がり文句を言って来る。
「貴様、口の聞き方に気をつけろ。さもなければ…」
ガタ。僕が立ち上がり騎士を見る。
「貴方こそ、言葉を選んだ方が良い。さっきも言ったが僕は何が置きようとも生きて帰る自信が有るからこんな所まで、のこのことやってきた。その意味をきちんと考えた方がいい。
そんなきれいな鎧しか来たことの無い人にはわからないかも知れないけど」
オルフィが立ち上がる
「進言します。私はリオン殿と事を構えるべきでは無いと進言致します」
国王がオルフィを見て話す。
「オルフィ、そなたはリオン1人にこの国が負けると申すか?」
「結果的には勝てるも思います。但し魔族の国との対応に当たる我が国最高の兵力を総動員してと、前置きします。
これはリオン殿1人と戦うと想定した話しです。
もし、リオン殿の仲間が加わった場合。
リオン殿のパーティーメンバーは皆恐ろしく強いメンバーです。皆リオン殿に近い能力を持ち、個々の適正能力はリオン殿を越える能力を有する者ばかりです。
万が一、リオン殿1人ではなく。パーティー全員との戦争となると我々はこの国を放棄する以外に解決策は無くなる。兵士、騎士だけでなく王家も断絶を覚悟をするべき。
若輩者ですがこのオルフィはそうに判断致しました」
国王がオルフィを見て驚きを隠せずにいる。
このオルフィを見ると姉さんと似ている気がする。
となると、お互いに情報交換をしている可能性が高い。そう考えるのが自然だと思う。
やはり、オルフィ殿下はタイナーの妹なのたまろう。お母さんの手紙どうりだ。
「わかった。オルフィがそこまで言って間違えた事はいまだに無い。
さて、皆に問う。この問題はオルフィに一任するのが正しい答えだと私は判断した。皆の意見を聞きたい」
1人の男が立ち上がる。
「オルフィ様の意見に賛同します」男がオルフィを見てニヤっと笑う。
オルフィは感情を押さえた顔で男を見た。
貴族のドロドロはどこの国も一緒だな。面倒だ。本当にいやになる。
結局オルフィに一任された。詳しい話しを聞くためにオルフィの私邸に招かれた。
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