112話

結局僕の対応はオルフィに一任された。


詳しい話しを聞くためにオルフィの私邸に招かれた。


何故か行動を共にするダリアさん?

ダリアさんの仕事はもう終わったはずなのにどういうわけかついてくる。


オルフィの私邸に付くとお抱えの兵士が出て来る。どうにも警戒されているようだ。構わず応接室に入りオルフィの到着を待つ。


執事だろう、白髪の男が紅茶とお菓子を出す。僕が手を出さずにいるとお茶位飲んではと声をかけられる。


「では、貴方達が飲めばどうですか?」僕が聞く。


「お客様に出した物を我々は頂くのは作法に反します」執事が言う。


「出されたお茶に手を出さないのは作法に反するのですか?」僕が聞く。


「いえ、消してそのような事はございません」執事の顔色が悪い。


「なら、オルフィ様が来られるまでお待ちしております」そんなやり取りの最中にオルフィが部屋に入る。


執事が新しいお茶セットを改めて準備を行う。

「何故先程の物を使わないのですか?別に作法に抵触はしていないはずですが?」

僕が執事に聞く。


執事はますます顔色が悪くなりうつ向いてしまう。


「リオン殿何か合ったのでしょうか?」


「オルフィ殿下、大した事ではありません。どうも私のお茶やカップに何かしかの細工がされていたようです」


「じぃ。申せ」オルフィが怒りを押さえて言う。


じぃと言われた執事は黙っている。

「じぃ、私の言うことが聞けぬと言うのか?」


オルフィがさらに強く言う。言うが執事は何も話さない。


「なら、そのカップは私が使う。お茶もそのままでよい。お前達を信用しお茶を任せた。私に恥をかかせるつもりがなければ、何も怖く無いだろう」


執事がお茶を取り一気に飲む。数秒後に泡を吹いて倒れてしまう。


オルフィが窓を開け、良く響く鈴を鳴らす。ものの十数秒で騎士が駆けつけてきた。ドア開け部屋にいた黒服の執事やメイド等全て捕える。

「連れていけ、全てはかせろ」オルフィの命令に駆けつけた騎士十数名が応じる。


残ったオルフィとオルフィと一緒に来たメイドの2名が平伏している。


「どうにも、僕は嫌われていますね。さっさと仕事を終えて帰るとしましょう」


オルフィが立ち上がる。

「お待ち下さい。本日お仕事を受けて頂く代わりに我が家族をご案内させて下さい」


「家族? 何故僕に?」


「リオン殿の最高の報酬になるとあるお方より伺いました。」


姉さんだ。何処までの情報を持ってるんだあの人は。通されたのはリーンハルとルーニー瓜二つの少女2人だ。2人とも成人して間も無くの人物と思われた。


「初めまして、アルメニア王国、王女 メルシャン ルビー フォン アルメニアと申します」

メルシャンはリーンハルに似て金髪で清楚な顔立ちの女の子。


「初めまして、私はオリオン ルビー フォン アルメニアと言います」オリオンはルーニーそっくりな子で黒髪に青い瞳だ。それに体に会わない巨乳な子だ。


「オルフィ様、このお二人は?」


「はい、正当なアルメニア王国の王位継承者でございます」


「わかりました。ここまで見せて頂いた以上、僕は最善を尽くさせて頂きます。まずは王宮やこの屋敷にいるものから捕えるか討伐しましょう」


「よろしいですか?リオン様」


「お付きの騎士と兵士を各々言われた所に配置してください。それと、メルシャン様とオリオン様はこの部屋にいて下さい。」

そう言うと白狐を抜く。


オルフィ殿下は他の人とは違う理由で驚いている。先ずは、以前アルネとカーリを捕えようとしたあの細い糸を出す魔道具と、糸全てを切る。


白狐をしまい、練習用の刀を抜く。部屋の左隅にいる黒尽くめの頭を叩き気を失わせる。


部屋中を丁寧索敵するが他はいない。オルフィ殿下より、捕縛用の魔道具を借りて捕縛する。オルフィ殿下のお付きのメイドと一緒に部屋を出る。メイドの案内の元、私邸の中の隅々まで確認してさらに6人の黒尽くめを捕える。その後はオルフィ殿下の案内に代わり王宮の中を索敵する。人の魔力と同時にモンスターの魔力を感じる。


魔力を感じる方に進みある部屋に着く。その部屋は長らく使われていない部屋だと言う。


許可をもらい中に入る。足に鎖を付け、捕えられたドラゴンがいる。

「聞いても良いかい。君はこんところで何をしているのかな?」


≪大分前に捕まりここに閉じ込められてしまった≫念話を使い話かけてくる。


「奴隷契約やテイムはされていないのか?」


≪それは無い≫


「ならここから出そう。悪いが君を捕まえた者は当の昔に死んだ。今は君を知らない者ばかりだ。逃げた後、悪いがこの城は壊さないでくれるか?」


≪よかろう、助けた者の言葉だ約束しよう≫


鎖を刀で壊し、足の自由をとり戻させる。一緒に中庭に移動してドラゴンが旅たつのを待つ。ドラゴンはある程度の高さになるまで人の形を崩さずに飛び上がり、城の高さを越えるとドラゴンの姿になる。


一気に城の上に飛び出し、数回上を回った後見えなくなった。僕達が中庭に要ることで姿を消した黒尽くめが集まってきた。呼吸を整え、集まった黒尽くめを倒す。中庭に五人が集まった。城を丹念に索敵した後、オルフィの私邸に戻る。


メルシャンとオリオンに会った後、メイドに声をかける。

「姉さんには余計な事は報告するな。わかったな。お前の仲間にも言っておけ、僕はネズミが嫌いだ。見つけたらすぐに刈る事にしている」


メイドが青ざめながらうなずく。


メルシャンとオリオンと別れオルフィと2人で部屋に残る。

「今日は泊まっていってください」オルフィ殿下がそう言って来る。


僕はうなずき、オルフィ殿下に変な注文をする。オルフィ殿下は首をかしげたが了承してくれた。


その日はそのまま部屋を借りて寝る。夜になるまでぐっすりと寝る。


夜、だいぶ月が高くなり、灯りのついた部屋がなくなって来た。

オルフィ殿下の私邸の屋根に登り。屋敷、王宮の周り全体に索敵を行う。

その範囲、半径10kmに及ぶ範囲だ。怪しい反応があるたびにソイルラビリンスを唱え倒して行く。


僕が倒した音を聞いて兵士が捕えに行く。そんなことをずっと繰り返していた。まあ、領民かどうかもわからないで行っている。後をホォローする兵士も大変だとは思う。


一組の集団が現れる。何とも懐かしい魔力を感じる、スカルプ ダシャナにかわれていた牙ウルフの集団だ。真っ直ぐにオルフィの私邸に向かって来る。屋根を離れ牙ウルフを迎える。


先頭いる男は知らない奴だ。男の首と肩の付け根を刀で叩き気を失わせる。


「お前達、元気にしていたか?」

≪お前、リオンか?≫


そう言って先頭の牙ウルフが腹を出して伏せる。腹を撫でながら話を聞く。


「何でこんなところに来た?」


≪上手い飯が食いたくて来た≫


「飯を準備してくれる人がいるのか」


≪ああ、飯を食わせてもらう代わりに仕事を手伝う。そんな関係だよ≫


「僕を案内してくれるかい?」


≪問題無いぞ。リオン、お前に逆らえる奴なんて中々いないぞ≫


「そうか、ありがとう」

牙ウルフについて行くと、オルフィの私邸を過ぎて、王宮の近くに来た。大きな屋敷に慣れたように牙ウルフが入る。僕もその後をつける。


1人の男がまっていた。


男を黙って取り押さえて、気を失わせる。牙ウルフ達の餌は準備されており牙ウルフに食べさせる。

満足しただけ食べたのだろう。屋敷の中に大量のウンコをしていた。


牙ウルフを連れて、もと来た道を戻る。入り口を快く教えてくれた事もあり兵士と共にその中に入る。


やさぐれた冒険者が何人もたむろしている。牙ウルフを押さえ威圧をかける。兵士も牙ウルフも動け無いだろうと思い、1人づつ、ロープで捕縛していく。


地下道をおりるように進み国境を越える出口を発見した。兵士がロイヤルナイトと連携しこの出入口を押さえた。オルフィの指示で待機していた総勢500の兵士達がこの秘密の通路を押さえた。


行動を共にした。牙ウルフとはここでお別れ。

≪リオン、また一緒には暮らせないか?≫


「今は無理だよ。お前達も自分達で生きて行くんだぞ」


牙ウルフが見えなくなるまで見送ってオルフィの私邸の部屋に戻る。

まだ早かったのでそのまま寝ることにした。ちなみに、牙ウルフに餌を与えいた屋敷はすでにロイヤルナイトが押さえている。後はゆっくりだ。


翌日、オルフィ殿下自らがおこしに来た。オルフィ殿下と共に会議室に行き、事の詳細をまとめる。

その後は国王に報告である。我々がもたらした報告書を見た国王は驚き過ぎて腰を抜かしていた。また月末に行われるビルルマの冒険者の大会に何故かオルフィ殿下が来賓として会場入りすることになった。

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