第159話
メルニの激しい攻撃をかわしつつ、何とか熊族のダンメを引きずり出せないかを考えた。
結果、メルニを完膚なきまでに叩きのめす事を思いつく。
僕を攻撃するメルニが一呼吸ついた瞬間に距離をつめ、右ストレートを叩き込む。
足は4本地面を噛んで耐えていたように見えるメルニも、意識はもうろうとしているようで焦点がざたまっていない。
メルニの顔を下から蹴り上げ、状態が浮いた所でさらに回し蹴りをくわえメルニを倒す。
メルニの巨体は仰向けになり頭を熊族のダンメを前にして、音を立て倒れる。
ダンメが剣に手をかけ僕を睨む、ざわつく獣人族の戦士達の息が荒くなる。ダンメが剣を抜き威嚇して後ろを向き、迫力の有る声で吠える。
「動くなぁーーーーー!!」「メルニ国王は全力で闘った。その名誉を汚す者はこのダンメが相手だ」
ダンメの迫力に、獣人族の者がしなだれる。
カーリが僕の所に来る。
「みたか、これが私の夫だ。意義の有るものは何時でもリオンに挑め。リオンを倒す者が現れたら、私を好きにして良い」
「オオーーー」
獣人族の男達から、太いため息が漏れる?
「メルニを越える者が現れるのを楽しみにしている」
カーリが話し終えると、メルニが目を覚ます。
「しまった。やられたか」メルニが巨体をお越し立ち上がると、虎から人の姿に戻る。首を抑え、少し頭を振って意識を取り戻す。
「リオン、わしら獣人族はお前に忠誠を誓う。お前は現在、獣人族の中でわしを倒せる可能性を持つカーリを嫁にする予定だ。
カーリがリオンを裏切ることは絶対に無い。獣人族の中からお前さんを越える奴が現れ無い限りな」
メルニが後ろを向いて獣人族に言う。
「今日、この時より、我ら獣人族は、リオンに忠誠を誓う。気に入らん者はリオンに挑め。リオンに勝てる者が新しい獣人族の王だ。マンチェッタ国はこのまま継続するが、わしら獣人族全てがリオンの兵隊であり、家臣である。わかったかぁー」
「ハハー」皆、平伏して答える。
獣人族から反発が有ると思っていたが、予想に反し何も出なく、寧ろ歓喜の声が上がる。
呆気にとられる僕をよそにアルネのお母さんサンベルシュ リカリオが膝を付き平伏する。サンベルシュ リカリオの横にアルネが並び平伏する。
アルネの横にカーリが並び、カーリの隣にメルニ国王が並ぶ。
そしてアルネが代表して話す。
「リオン、私達の夫である貴方にダンサール国、マンチェッタ国は忠誠を誓います。
今後いかなる事が合っても我々、エルフ族、獣人族の一族はリオンを主と崇め、協力してリオンを守り慕う事を両国民が誓います。そして代表して、アルネ リカリオ、カーリ
ベルトルト両名が命を通し従う事を誓います」
アルネの決意表明で結婚の儀式の全てが終わりを告げた。
サンベルシュが出て来て僕に言う。
「これからの結婚式の予定を伝えます。
先ず、我らが国では1日に1人の結婚しか許可されておりません。申し出順に言うと、3日後から結婚の儀式を行います。
結婚の式を挙げる順番をお決めください」
僕は迷うことなく伝える。
「分かった。アルネ、カーリ、リーンハル、ルーニーの順番に式を行う」
「かしこまりました。4人には其々の離宮をもうけます。今後、大宮を中心に4つの離宮を使ってください。日中は問題有りませんが、夜。妻達はそれぞれの離宮を寝所にしていただきます」
「式は3日後からだね。ならば少し知り合いを呼びたい。構わないか?」
サンベルシュが少し考え了解した。
「はい。必ずおもてなしさせて頂きます」
「では、呼んだ者はどこに行かせる? 僕の客人を粗末に扱う事は許さない」
サンベルシュを見て聞く。
「はい、寝所はこちらで準備いたします。何人呼ばれるおつもりですか?」
「4人だ」
「かしこまりました。準備はすぐにします。明日からご利用いただけるように手配いたします」
「サンベルシュさん。よろしく頼みます」
僕がサンベルシュ言うとルーニーとリーンハルの元に向かう。
僕の後ろをアルネとカーリがついてきた。
5人揃った所で僕がサンベルシュとメルニ国王に声をかける。
「少し休んでいいか?」
「かまいません、夜には迎えを出します。本日は前夜祭です。新しい両国の国王と、新しいリオン殿の門出を祝いましょう」
リオン レース レインがダンサール国、マンチェッタ国を従えた、この出来事は世界中の各国のネズミによって早急に各国に伝わりセンセーショナルをもって報告される。
それは最も多くのネズミを放っていた、ホルスメン中央ギルドも同じだった。この出来事を含め、リオン レース レインは第2魔王の称号を与えられる事になった。
◇◇◇◇◇
首都に準備されている部屋に戻ると一気にだらけてしまう。
「はぁ、疲れた。取りあえず僕の予定は全部終了で良いのかな?」
「リオン、お疲れ様」アルネが自分からそういってハグしてきた。
アルネのこの行動は要注意だ。何時もこの後に爆弾発言がある。
「取りあえず、明日から夜はみんな別々にすごさないと行けない決まりだから、今日だけは一緒にすごそう」アルネが感極まった声で話す。
「え、そうなんですか?」
リーンハルが心配そうに言う。
「うう、リーンハルと別々の部屋ってさみしい」ルーニーが何故か泣き出す。
「コラコラ、別に別々に暮らす訳じゃ無いんだから。それに、こから子供が出来た時や病気したり何か有った時、今まで見たいにみんな一緒に寝るわけには行かないでしょう。
その辺の事も含めて、経験しよう。私達の住みかを見つけた時に一番良い状態が出来るように」
アルネが何とかみんなをまとめる。
「所でリオン、後4人呼ぶって誰呼ぶの?
闘姫のマキュリーとエリアスは元から頭数に入っているよ」アルネが確認してくる。
「僕にとっても大切な人達だよ」それだけを伝える。
闘いの疲れか少し体の痛みを感じる。体をさすっているとルーニーが来てくれて神聖魔法で体を癒してくれる。
「ルーニー、何時もありがとう。ルーニーも戦いで疲れただろう。ゆっくりしてていいよ」
「大丈夫ですよ」ルーニーの優しい笑顔に癒される。
そうこうしていると宴の準備が整い呼び出しがあった。
宴席について、宴か始まると驚いた。
獣人族の女性から、直接沢山の婚姻の申し出がヒッキリ無しにくる。
面倒臭くなった時にメルニ国王が来て女性達を押し返した。当のカーリは女性達の行動を楽しそうに眺め、優越感に浸っていた。
「カーリさんはリオンさんか結婚の申し込みを受けるの、嫌じゃ無いの?」
リーンハルが聞いていた。
「私達獣人族は、主人に申し込む女性の数だけ嬉しいからな。今、リオンは全ての獣人族の女の憧れなの。そんな中で私達以外は、リオンは全て断る。それは、私達をリオンが認めている証拠。私達は選ばれたんだって、思える。獣人族の誇りなのよ♡ 不思議でしょ」
リーンハルが頷く。
「だからこそ、私はリオンに見合う女でいることが私の矜持なの。私はそこに幸せとやりがいを感じるの」
カーリが幸せそうな顔で、リーンハルに伝えると僕を後ろから抱きしめる。
普段と変わらないカーリの行動だが、いつもと違うのは獣人族の女性達から異常な殺気が飛んで来るとこだろう。
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