第126話
アルム視点
この場所はリオンすら知らない場所。
剣聖と歌われたレース レインには秘密がある。 初代と三代目神谷 一文字によって完成された伝説の3本、白狐、鳳凰、風斬り丸(別名 エクスカリバー)
レース レースはその風斬り丸を使いこなし剣聖と言う確固たる地位を作り上げた。
白狐、鳳凰にもひけを取らない妖刀で。能力は名前の由来ともなった切れ味。風だけでなく、雷すら斬ると言われる名刀でる。
そんな風斬り丸の元にリーンハルをつれてきた。理由は簡単だ。
リーンハルに希望を感じた、それだけだ。私もリオンも抜けなかった名刀をリーンハルなら、そう思った。
「リーンハル、ここが本当の剣聖 本間 勇幸様の墓だ。この墓の事はリオンも知らない。誰にも言わないように」
「そうなんですか? そんな大切な場所に私が来ても良いんですか?」
「かまわん、管理者は私だ。その私からリーンハルに試練を与える」
そう言うと墓石の裏にある大きな石をよせる。底には階段があり下に降りれる造りになっている秘密の場所だ。
リーンハルをつれて降りるとキョロキョロとしながらリーンハルが言う。
「確かにこんな静かな場所があるとリオンさん籠ったままで出てくる事も無さそうですよね」
「リーンハルは良く観察してるな。それもリオンをここに連れてこない1つの理由だ」
話しをしながら奥の部屋に向かう。巨石に埋り、その上から剣が刺さっている。
風斬り丸は他の2本と同様に持つ者を選ぶ、選び方は2段階、先ず抜けるか?
抜けた後は自力でその力を抑える。
力を使いこなす為の戦闘はリオンがやるだろう自分の妻になる女だ。私がそこまで面倒を見る必要も無い。
「さて、これはレース レインの愛刀と言われた風斬り丸。リーンハルはこれを引き抜き、再度リオンと対戦してもらう」
「それはどういう事ですか?」リーンハルが不安そうな顔になる。
「そのままだ、風斬り丸も持ち主を選ぶ。先ず抜くこと、その後は自力で刀を使いこなす事、力を使いこなすには対戦が一番。
シンプルだろう」
「でもリオンさん試験の後でまだ疲れてますよ」
リーンハル。自分じゃなくてリオンの心配?何か腹立つなぁ。
「リオンなら心配いならい。力を使わないように闘うのが大変だっただけだ。
リーンハルが風斬り丸を使えば、リオンも闘い安くなる。
リオンを心配するなら、お前達が強くなれば良い。試験の時、リーンハルとルーニーは半分位の力で闘ったろう。
リオンは1割も力を出してない。それでもSSSランクの金獅子のリーダー、ガイよりはお前達の方がリオンの力を引き出していたけどな」
「それと、リオンが魔王認定されると、リオンはギルドのランクから外れる。ギルドでは対処出来ない存在として扱われる、時に敵対関係になる可能性もある。
これから先、リオンを支えれるのはお前達4人だ。
私の言いたい事はわかるな?」
「ハイ!!」リーンハルの覚悟が読み取れる、良い返事だ。
風斬り丸の前に立って手を合わせる。ここまで来ると、私には祈るしか出来ない。
リーンハルが風斬り丸の柄を両手を持ち、真上に引き上げる。
風斬り丸が岩から抜けその本体をあらわにする。
黄金に輝く刃にうっすらと風が巻き付く。剣を持つリーンハルの力が抜けて行くのだろう。ひざを付き肩で息をし始める。
部屋の中に男の声が響く。
「おい、レン爺。お前、歳なんだから俺を使うな。長生き出来ねぇぞ。
って、お前誰だ? 誰に許可もらって俺様を持っている」
「私は、リーンハル エレン。あんたの新しいご主人様よ」
「ぶはははは、笑わせてくれる。面白かった。今回だけは許してやる。元に戻せ。それとレン爺を連れてこい、それで許してやる」
「レン爺って、誰の事を言ってるの? ここには私しかいないわよ」
「レース レインだよ。もうよぼよぼのジジイだけど、俺が認めた奴はそいつだけだ」
仕方ない、私が出るしかない。
「私はアルム ホォン リウム。レース レインの弟子よ。残念だけどレース レインは死んだわ。レース レインから貴方をおこすなと言われていたけど。新しい使い手が見つかったからおきてもらった」
さらに部屋の中に男の声が響く
「レン爺が死んだ? そん訳は無い。鬼人族は人族より長生きだ。まだ生きてるだろう」
「残念だけど本当よ。貴方宛の遺言も私が預かっている。聞く?」
「教えろ」風斬り丸が少しおとなしくなる。
「ふう坊、ワシは先に行く。ワシら皆、お前さんみたいに長くは生きれんかった。ワシらの一族は終わりだ。
だからふう坊を使える奴がきたら力を貸してくれ。当然気に入らん奴に力を貸す必要はない。
旅は楽しいな。ワシは弟子を残した。弟子が来たら1度見てやってくれ。
なあ、ふう坊。いや、風雷の王子。王子を残し死んだ配下達を許してやってくれ。
斑目族 15代当主 本間 勇幸」
手紙を読み、風斬り丸に見せる。
カタカタと剣が揺れだしリーンハルがしきりに抑える。その手がピタリと止まる。
リーンハルの雰囲気が変わった。失敗だ、乗っ取られた。
魔闘気をまとい構える。と、その瞬間目の前が暗くなり意識を失った。
◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます