第79話

ジョーとメリー達に別れを告げて、須藤 炎州、終 静、三名 茜を連れてリュックニーギルドの前に空間転移した。


ギルドの中に入るとエンリールがカウンターにいた。


「リオン!」エンリールが驚いて、勢い良く立ち上がる。


「遅くなった。結果報告に来たよ」

そう言ってギルドに入る。


「エンリール。終炎についても報告が有る」


エンリールの顔が曇る。

「何人かは生きていたか?」


「3人見つけた。一緒に来ている」

須藤 炎州、終 静、三名 茜の3人をギルドに呼ぶ。


須藤 炎州が代表して話を始める。

「和議の国、Sランク 終炎 リーダー須藤 炎州、副リーダー終 静、メンバー三名 茜以上3人。生き残り帰還しました」


「良く帰えって来た。私はリュックニーのギルドマスターのエンリール ルイル。

今回はホルスメン大陸 中央ギルドを代表して謝罪する。四聖獣教団とやらにギルドが乗っ取られて沢山の冒険者の犠牲が出た。これは我々の失態だ、本当に申し訳なかった」


須藤が真面目な顔で答える

「我々も天狗になっていた。それだけです。実力に見合わない事だと思わず若気の至りです」


「とりあえず、久しぶりの外の世界だろう。ゆっくりとしてくれ。

須藤君だったな。これからどうする?良ければこのギルドで働かないか?」


「我々3人がですか?」


「そうだ、現在 三名 すみれが受付嬢として、工藤 桃の条がギルド付きの冒険者として働く事になった。後リオンの推薦でテイマーのモリリン メンソールと牙狼の群れをギルド付きの冒険者に登録した。お前達もどうだ」


「モリリンも生きていたの?」終が涙目になりながら聞いて来た。


「モリリン」エンリールが声をかけるとギルドの奥の部家からモリリンが出てきた。


「須藤に終、茜まであんた達も生きていたのか?」モリリンが驚いていた。


僕を見るとお礼をいってくる

「リオン。貴方のお陰で我々家族は働き口が出来た。有り難う」

「僕はたいした事はしていない。モリリンのテイム能力が高いからだ。それと子供と旦那さんは?」


「ああ、心配いらない。エンリールさんから良い薬をもらった。旦那は順調に回復してきている。娘も私の手伝いを真剣にしている、どうやら自分達意外にモンスターと話せる者がいたことに驚いたらしい。リオンのお陰でいい刺激をもらった」


「良かったよ」


その後エンリールに宿に戻ると伝えてギルドを出る。宿の前でアルネとカーリが出迎えてくれた。


宿に入るとご主人のサシテさんが出迎えてくれて「リオンさん。50階到達したらしいな。今日はおれのおごりだ。好きなよに食べて飲んで騒いでくれ。


魔族のジョーって人、要るだろう。あの人うちのお得意さん何だよ。ついさき程来てな、これをリオンさんに渡して欲しいって、預かった」そういって手紙をもらう。差出人はカルメンだった。


「ジョーがこの宿の常連さんなの?」


「ああ、食料なんかとヒールポーションとかを物々交換するのさ、ジョーさんの持ってくるポーションはどの種類の物も良く効くんだ。ポーションが入ったと聞くと遠くからでも買いに来るくらいだ」


「そうなんだね。知らなかったよ」


「ジョーさんからリオンさんの話を聞いて驚いたの何のって。あのレース レイン 以来の快挙だよ。何せレース レイン が入った後、30階層以上の深さに入れた者はいない。リオンさんは記録をつくったんだ」

「リオンさん、家の宿を選んでくれて良かったよ。リオンが泊まった宿としてうちはこれから商売繁昌だよ」


サシテさんの商魂たくましい姿に驚きつつも喜んでくれる姿に少しほっこりとした気持ちになる。


1度、部屋に戻ってから食堂に来ると伝えサシテさんと別れる。

部屋にはアルネとカーリがいた。


「「リオン」」2人がかけよって来た。


「ごめん」「ごめんね」

「2人で話し合ったけど、やっぱり私達も行けば良かった」

2人が目に涙をためて言葉を失ったように僕を見ている。


難しいよ、誰にも経験出来ない事だし、どう判断するか何てわからない事だと思う。


「謝る必要は無いよ。それよりお母さんから2人に見せるようにって、手紙が有る」

「それとサシテさんが用意してくれたご飯食べよう。朝から何も食べて無くてお腹ペコペコ何だよ」


「手紙もらってもいい?」

「私も先にみたい」


「とりあえずこれね」

そう言うと 最初 と書かれた手紙を渡す。


2人がベットに移動して真剣に手紙を見る。時々、お母さんの変な内容にクスクス笑いながら。


その日はサシテさんを交え4人でご飯を食べた。決して華々しく行うような時ではなかったが、手紙の最後の言葉、笑顔で送り出して欲しい。その言葉を実践した。


翌日、リュックニーのギルドに顔を出し戻ることにした。


エンリールからしつこくリュックニーに残るように言われたが申し出を断りラピスの拠点に戻る。


リーンハルとルーニーが迎えてくれた。


僕は2人を見ると何故か涙が溢れた。リーンハルとルーニーを、お母さんに合わせる事が出来ない事に罪悪感を感じた事は間違い無いけど、それよりほっとしたんだと思う。


いつも一緒にいる2人が安心を僕にくれる。この安心を僕は深く感じているのだろう。


「2人とも遅くなってごめんね。少しゆっくりしよう」


「リオンさん。ビルルマは急がなくていいの」ルーニーが心配そうに聞いて来た。


「有り難うルーニー。本当は急がないといけないと思うけど、ゆっくりしたいんだ」


「ルーニー。アルネさんもカーリさんも疲れているからゆっくりしてもらって、それから話し会おう」リーンハルがルーニーをなだめる。

「ルーニー、リーンハル有り難う。私もアルネも完全に間違った。リオン1人に大変な事を押し付けて自分達がその事に気付かずに時間を過ごしてしまった。

私達に反省する時間をちょうだい。2度と同じ間違いをしない為に」カーリの落ち込みが激しい。


「「え」」


ルーニーとリーンハルの顔が強ばる。


「ほら、気にしない。間違いは誰でも有る。僕も間違えたんだし、2人の責任じゃない。

でも少し疲れたのは確かだね。拠点をこんなに離れたのは初めて出し。

カーリとアルネは少し休んで。僕はその間に報告なんかを行うから。リーンハルとルーニーの予定も後で教えて。ビルルマは一緒に行ってもらう予定だから」


荷物をおろしハマイルのお店に顔を出す。ちょうどハマイルさんがいて色々と話しができた。


色々とためていた素材を出し買い取りしてもらう。ため込んだ素材全てを出した。買い取り金額は後日となる。これは僕とハマイルさんとの信頼でやり取りしていることだ。


お母さんの魔石はそのまま残しておく。この魔石は売ること無い。お母さんの形見の品と思い出となった物だ。


素材を卸し終えて、気になっていたことを聞く。

ハマイルさんがビルルマの状況を教えてくれた。


僕達、Aランクパーティーがビルルマのダンジョンに入ると噂があり、一気に落ち着いたらしい。どのクランも警戒心を出して成りを潜めたらしい。


ハマイルさんのお店はと言うと、少し落ち着きを得て出店準備が進んでいる。


そんなハマイルさんから貴重な情報がもたらされた。

東の辺境都市、その管理を任されている。宰相、マルイル ホォン ビルルマ宰相の孫娘が現在 マリエラに滞在しておりビルルマに戻るに当たり護衛を募集しているらしく、ライズかビルルマ宰相本人から僕達に依頼があるはずとハマイルさんに、そう教えてくれた。


名前はヒューズ ホォン ビルルマ 年は16歳、護衛の騎士2名と3人でマリエラにいるらしい。


以前タイナ-のパーティーに呼ばれ会った事が有る。ヒューズのことは、はっきりとは覚えていないけど会えば分かるだろ。


僕が考え事をしてるとハマイルさんから驚きの情報を得る。

「そう言えばモンナが妊娠したよ。やっとタイナーに子供が出来た」

「そうでしたか。それは良かった、近々挨拶に行かないといけないですね」


ハマイルさんとはその日この妊娠の話で盛り上がり、その後お店を後にした。


モンナの妊娠は凄く嬉しい事だ。でもアルムの事を考えると少し辛い。お母さんの呪いが解けてアルムの呪いも解けた可能性が高い。そうするとアルムはタイナ-との結婚が待っている。

元々、この結婚はモンナがアルムを説得して合意に至ったものだ。


また、モンナが妊娠したとなるとタイナ-はアルムにより気持ちが向く可能性が高い。

子供は1人より2人と、王の血筋は多い方がいい。


モンナはアルムの強さが欲しかった。オーヂエン国でその名声と力を誇示してきたアルムの子供が王の子供となった時には、より王家の力を誇示出来る。


このオーヂエン国の中にいる。敵対勢力に大きく歯止めをかける存在になる。

モンナの思いが、頑なだったアルムを動かし

、タイナ-との結婚を承諾させたのだ。


丁度、すみれをアルムの屋敷で監禁している時、モンナとアルムの話し合いで決まった事だった。

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