第28話

「カーリお疲れ様」そう声をかけると褒めてと言わんばかりに抱きついて来る。

カーリの頭をよしよしと撫でるとカーリが落ち着いた。アルネはその様子を呆れた顔で見ている。


渓谷の底についた。以外と広く歩き安い場所に驚く。渓谷の最深部にむかい歩いて行くとユニコーンを見る。


まさか幻獣種をこの目で見るとは思わなかった。


アルネとカーリも初めて見るユニコーンに目を奪われていた。


ユニコーンの体はうっすらと光、幻想的な雰囲気をかもしだし全てを魅了する美しさを持っていた。ユニコーンが僕達に気付くと空高く消えて行った。


何か凄く得した気分で、今日は何か良いことが有りそうな気がしてきた。


ユニコーンと別れ渓谷の最深部に向かい歩いて行くと、ドラゴンの気配が強くなるに連れて他のモンスターの気配が消えて行く。


道の真ん中にドラゴンがいて寝ている。ドラゴンのこういう行為は近づく事を拒否している行為だ。

分かる事としてかなりドラゴンが苛立っている事を示している。


「すまないがここを通してもらえるかな?カード ハバルに会いたい」 僕がドラゴンに話しかける。ドラゴンは左の目だけを開けまた目を閉じる。


「カード ハバルは要るかな?会って話しがしたい」


横たわるドラゴン少し面倒臭そうに体をお越し、顔だけ動かし通れと言う。


ドラゴンの脇を通り進むと背の高い女性が立っていた。


「お前がリオンか?」


「そうだ。カード ハバルに会いに来た」


「カード ハバル様は今はいない、後でこい」 背の高い女性が威嚇してくる。圧の有る威嚇でそのレベルの高さが分かる。


「カード ハバルがいないなら待たせてもらう。ここを通って問題無いかな?」背の高い女性の取り囲むようにドラゴンが5体出て来た。


背の高い女性がさらに威嚇してくる。 本来なら一旦引いて再度来るのが一番良いのだが今はそんな時間も無い。


「すまないが僕もカード ハバルに会わないといけない。僕達は君たちに危害を加える為に来た訳じゃ無い。

ただ、このまま引いてくれないのなら無理やり進ませてもらうよ」


背の高い女性がドラゴンの姿に戻ると回り集まった5体のドラゴンが近づいてきた、道を塞ぐように先に進ませないように立ちはだかる。


僕がラゴンに向けて威圧をかける、威圧は威嚇より更に強い圧力をかける技術だ。前にいるドラゴンが6体地面に倒れこっちを睨み着けて来る。


そのままドラゴンの前まで来た。


「どうする? このまま通すか、このまま押し潰されるか好きな方を選べ」


後ろから声が聞こえる 「リオン、僕の兄弟達をこれ以上いじめないでくれ。ここは通って問題ない」


「そう、有り難う」


後ろを向いて威圧を解除する。 前にいるドラゴン達がふらふらと立ち上がる。1体がまた女性の姿になり、こっち見て睨らむ。


「ち、とっと行け」と言う。


「さあ、行こう」アルネとカーリと共に先に進む。所々ドラゴンがいてこっちを向いて睨みつけて来る。


やはりドラゴンが支配している地域だけあって他のモンスターと会うことがなかった。 それにしても、ドラゴンの数が多い。これだけ多い数が集まるとは相当、何かを警戒している。


カード ハバルに何かあったか、カード ハバルに近い者に何かがあった可能性が高い。


ドラゴン達がいる渓谷の一番奥まで来るが、カード ハバルがいない。奥で休んでいるドラゴンに声をかけここで休む事にした。


「リオン、何時までかかりそう?」 カーリが心配したように聞いてきた。


「さあ? どのくらいだろうね?カード ハバルの戻り次第だからね」


「ま、焦らず飯にでもしよう」 ゆっくり休んでいると後ろにいるドラゴンが声をかけて来た。


「お前達はこれだけのドラゴンにかけまれて恐ろしくは無いのか?」


「怖くないと言ったら嘘になるけど。僕はカード ハバルの方が大事だからね」


「 それはなぜか聞いても良いか?」


「当然、大丈夫だよ。僕はカード ハバルの味方だ、小さい頃から一緒にいた大切な友達だよ。

カード ハバルは何か問題を抱えていると思う。こんな時に手助け出来なければ友達じゃあないだろう」


「ほう、私はカード ハバルの娘でラーネ ハバルと言う、よろしくな」


「そうか、入り口にいたマーマン ハバルの兄弟かな?」


「マーマン ハバルは私の兄だ」


「ラーネ? 君は体が弱っているのか?」


「何故そう思う?」


「僕はテイマーだ。多少の事は分かるつもりだよ。良ければ僕に見せてもらえないか?」


「ふん、お父様の言う通りの奴だな、本来ならお前等には見せたくは無いがお父様が認めた奴だ、失敗しても誰も文句は言わんやって見てくれ」


僕はラーネの体を見て回り調べると後ろの羽の下に3本の矢を見つける。矢には呪いがかけられていた。


「ラーネ聞いても良いかい?この矢が刺さってから体がおかしくなったのかな?」


「そうだ、変な呪いをかけられていて抜くことも出来ない。このままおとなしく死を待つだけだ」


僕はラーネの矢が刺さった場所にハイ・ヒールをかける。反応のある矢を1つ抜いた。 抜いた箇所にヒールをかけて傷口をふさぐ。


先ずは1本。流石に呪いはヒールでは解呪出来ない。


覚悟を決め適正の無い、つかった事の無い神聖魔法を詠唱する


「聖なる光をここに集め 悪なる想いを滅し聖なる者に光を与えよ ホーリーローブ(聖なる衣)」

唱え終わるとくらっとして膝を着く、膝をついたままラーネの体から刺さったうちの1本を抜いた。


「リオンと言ったか?これ以上は無理をするな。私よりお前の方がよりしんどい状態だろう」 ラーネが僕を心配来て聞いて来る。


アルネとカーリが僕の体を支えてくれて 「リオンまだいける」

アルネが心配そうにこっちを見る。


「アルネ、大丈夫。カード ハバルはこの事で怒っているのだろう。であれば僕がやらないと」

アルネとカーリに体を支えてもらい再度神聖魔法を唱える。 先ほどよりももっと強い解呪魔法。


「聖なる光の精霊達よ。我が王の名の元に集り光の癒しを与えよ。我が力がなりて、弱る者の助けとなれヒールローブ(癒しの衣)」


ラーネの体に刺さった矢にはがカタカタとゆれ始める。矢を手に持つと一気に抜き取る。 矢を3本取ると全て折って捨てる。矢から黒い煙が出て消えて行った。


「ラーネ、体はどうだい?」


「大丈夫だ。礼を言おう」


僕はその言葉を聞くとそのまま倒れ意識を失う。魔力の使い過ぎによる枯渇状態になったのと、適性の無い神聖魔法を使ったせいだ。


どのくらい気を失っていただろう目を覚ますとアルネとカーリが目の前といた。


「リオン起きた、心配したんだぞ」とアルネとカーリが抱きついて泣き出した。2人を撫でながら、ごめんと謝る。


気が付くとテントのような所にいた。ラーネの体の矢を取り出した後、ドラゴン達がわざわざ建ててくれたらしい。

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