第62話
「リオン様、おいでになりましたか。アルム様もご在宅です。それでその女はどうされましたか?」
僕の担いで煎る女を見て指を指した。
「この女のことでアルムに会いたい。中に入っていいかな。それと10番牢の準備もお願いしたい」
「はい、直ぐに。先ずはリオン様、アルネ様、カーリ様お入り下さい。アルム様もお待ちでございます」
担いでいた女を中にいた兵士2人に預け、10番牢に入れるように伝える。兵士が緊張したのか強張った顔で女を捕えて行った。
そのあと、執事に連れられて貴賓室に向かう。ドアが空けられ中に入とモンナ王妃がくつろいでいた。
「姉さん、モンナ王妃とご一緒だったのですか? 僕達は後でも良かったのに」
「問題無いわよ。モンナだって気にしないし」姉さんは良いけどこっちが気にするよ。
「リオン、元気でやってましたか?タイナーもリオンに会いたがっていましたよ」
「ありがとうございます。何時も心配して頂き感謝の言葉もありません」
「いいのよリオン、堅苦しい話し方しなくて。モンナも気にしていないんだから昔みたいに普通して。私達もそっちの方が話しやすいし」
「姉さんわかったよ」「カーリ、アルネも楽にしてね」アルネとカーリが挨拶した。
「リオン、リュックニーはどう?」
モンナが興味津々に聞いて来る
「思ったより面倒ですね。和議の国の黒服の集団が絡んでいるようです。後、和議の国のSランクの終炎も入ったまま生死不明です」
「何?あの黒服、ナーラ国にも進出してるの?」アルムが面倒臭そうな顔になる。
「それもあって今日来ました。ついでにリュックニーのギルド受付の女も1人、10番につないでいます」
「何かあったのね?」アルムとモンナの顔つきが代わる。
「リュックニーの7階層で捕まえました。和議の国との関係性は不明です。唯、和議の国の終炎のメンバーと名乗る奴と同じ隠匿魔法を使い僕達を何時も付けて来ます。なのでお話しを聞きたいと思って連れてきました」
モンナが不思議そうに聞いて来る「和議の国の隠匿魔法ってなに?」
「完全に姿を消して尾行してきます。また終炎のメンバーだと名乗る者はレベルやスキルまで隠匿しているようです。確実にレベル50は有ると思いますが、ギルドカードはレベル6のEランク登録です」
「それを証明するものは有るの?」アルムも興味を示した。
「7階層のドラゴンです。 Aランク相当の強さでしたが僕達と同じ様にその男を警戒したした。後、僕の居合い術を受けきりました。手加減はしてません」
「あんたの居合い術を受けきったの?それは凄いわ。私も不意にこられると難しいわ」アルムの驚く声にモンナが反応する。
「アルム、貴女の見立てとしてリオンの話しは信憑性ありでいいのね」モンナが確認する
「大丈夫。居合い術はリオンに勝てるレベルの人は今はいない位強いわ。完全に見切ったとなると少なく見積もってもAランクの上位クラスね」「下手な所に幽閉すると逃げられる可能性が有るわね。それで10番牢にいれたのね」
「そういう事、それに僕の知るなかでここ程安全な場所はないでしょ」
「ねえ リオン。お姉さんの屋敷の10番牢ってなに?」アルネが聞いてきた。
「ここの10番牢は特別な作りになっていて中から逃げれない、外から壊せない、魔法はきかない、通信手段は使えない、極めつけは自殺出来ない。なんて言う素敵な作りになっている。なあ、他にも機能は有るけどそこは秘密だよ」
「リオン、それを素敵な作りって言わないよ」カーリに呆れながら言われる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
リュックニーの受付嬢にドア越しに話しかける。
「貴女は何故、和議の国の冒険者と同じスキルを有しているのですか? それとも貴女達のスキルを彼らが奪ったのでしょうか」
返事がない。
「貴女のお名前は?出身は何処?何故リュックニーのギルドにいて、何故我々の後をつけてきた?最後貴女何者?」
「答えたくなければ答え無くても良いですよ。2.3日中に答えが全部出ますから。ここは尋問専用の部屋です。貴女の答えを期待しております」
''ガキン"とドアを蹴飛ばす音が聞こえる。
「1つ言っておきます。我々を追って来た者達はほぼ全員捕まりました。残した者は我々の仲間が追跡中です。そちらの情報も入ったらお伝えしますね。
それとこの部屋は夜にモンスターが出ます。死にませんが痛みは残りますし、体も影響出ますので、精々やられ無いようにしてください」
「おい、武器をよこせ、モンスターが来るなんて聞いて無いぞ」
「ご自慢の魔法があるではないですか?通常のモンスターです。魔法で十分です。食べられるモンスターも多いので問題無いでしょう」
「四六時中モンスターが出るんだぞ。武器をよこせ」
「何言ってるんですか?僕はここに2年こもりましたよ。僕ができたのですから僕よりレベルの高い貴女なら心配無いでしょう。ただゴブリンは要注意です。女性が大好きです、操はたもてないと思います。結婚していなかったら、諦めて下さい。ミノタウロスも出ます。どちらもお盛んです。ではごきげんよう」
「出せ、待って。出して下さい」・・・・
僕は牢屋を後にする。でも嘘は辛いね。僕達を追って来た者はいないし、仲間も追ってない。
何よりこの10番牢の本当に怖いさは、あの人が女性であること。命は助かるがそれだけだ。むしろ死んだ方が楽だろうな。ここはそう言う牢屋だ。
翌朝、牢屋の前に来た。
「起きているか?」
"ドン''
「起きているなら返事位しても言いと思うけど」「ねぇ、すみれさん、和議の国の出身で忍者。変わったスキルですね。それとリュックニーにいると会えるとお告げを聞いてリュックニーにいた。探しているのは九尾の白狐ですか?」
「貴様、何処でその様な情報を得た」
「貴女には関係無いでしょう。それより、協力しましょう。貴女のお探しの九尾の白狐は僕の側に何時もいます。取り引きしませんか。我々には和議の国の情報が有りません、それを教えてくれれば九尾の白狐に合わせる事も問題有りません」
「貴様なにを言ってる?九尾の白狐様は神だぞ。貴様等に何も出来るはずもない」
「なら先に証拠を見せましょう」
牢屋のドアを開けて中に入る。すみれさんが驚いた顔が印象的だ。
「この牢屋は僕を閉じ込める為だけに作られました。今では僕は出入りが自由です。他の方は駄目見たいですが」
すみれさんが立ち上がり構える。
「先に証拠を見せましょうね、この刀は神谷 一文字さんから頂ました。一文字 白狐です」
刀を抜いて見せる。
「何故お前が持っている。神谷 一文字が生きているか?」
「神谷さんは生きています、貴女が我々に協力してくれるので有れば合わせることもできますがどうしますか?」
「先に白狐様に会わせてくれないか?何故我々を見捨ていなくやったのか知りたい」
「会う会わないは僕が決めるこのは出来ない」僕は話しを遮る
「なら、誰にお願いすればいい?お前以外にお願い出来るのがいるなら何でもする。体が欲しければくれてやるし、命が欲しければくれてやる…。だから会わせてくれ…」
≪主、私が出ます≫
白狐の姿で出て来ると奥にいるモンスターに向け威嚇をした。白狐はSランク相当の能力と力が有る。当分は近づかないだろうな。
≪すみれ、何故私の言い付けを守らず出てきたのです。巫女であるお前が何故、社を離れたのです≫
「白狐様。父が殺されました ゥゥ」
すみれの父は和議の国の小国の殿様でその国では九尾の白狐を祭り崇めていた。白狐が死んでも一文字 白狐を神として崇めていた。
2年前に突然、4聖獣を神とする団体がこの小国を襲い国を滅ぼした。神谷 一文字に御神体を預けたすみれの一族は、4聖獣を神とする団体と戦った。
それは壮絶を極めたが数に勝る4聖獣を神とする団体に敗れすみれの父と家族が殺された。すみれは別の用事でたまたまナーラ国にいてなんをのがれた。工藤 桃の条はすみれの部下ですみれの護衛でも有るらしい。
「白狐様、桃の条は生きておりますか?このリオンと言うものに刀を切られたと申してましたが。捕まっていないのでしょうか」
≪直接、我が主にきいたら良い≫
白狐が男の姿になる。膝を付き頭を下げる。
≪主、私のわがままを聞いて頂きたい。この三名 すみれを解放して頂けますか。この者は私が保証します。もし主を裏切るようなことが有れば私が全力で三名 すみれを殺しましょう。私のわがままを聞いて頂けますませんか≫
スミレが慌てて飛び出し。
「白狐様。リオン殿、私はどうでもよい。それより白狐様を我が国の祠に1度連れて行ってくれないか?そうすれば白狐様は解放される、それは我々の一族と白狐様の願いでもある。私はいい。私は白狐様の巫女だ」
≪スミレ黙りなさい≫
「いやです。我が一族は貴方様を助けられず死んだ一族では有りません。リオン殿お願いします。私は何でもいたします。何でもしますので…。」
「最初から話してくれればよかったにね。所で工藤さんは終炎のメンバーなの?」
「いえ、黒服の頭目が終炎の中にいると伺い工藤が探しております」
「そ、ならいいよ正直工藤さんとは戦いたく無かったしね。じゃ白狐戻って」
「三名 すみれさん、貴女は今日から私の仲間として受け入れます。それなりに協力してもらいますからね。まずは牢屋を出ましょう」
すみれの手を引いて牢屋を出る。
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