第63話

部屋に戻るとアルム、アルネ、カーリの3人がいて待っていた。


「リオンお帰り。その子仲間に入れるの?姉さんは感心しないな。女の子ばかり増やして」


「別に女の子ばかりでは無いですよ。工藤 桃の条さんも後程仲間に入れます」


アルネとカーリがジトッと見ている

「ごめん。また相談せずに決めて」

「ふん。リオンのやることだからね。どうせ後で説明すれば言いと思ったんでしょ」アルネが何時になく怒っている。

「ごめんなさい」シュンとしてしまう。


「まあ、いんじゃない工藤さんも入るのでしょう。それよりこれこらどうするつもり?」


「1度オランさんとライズに会う。向こうのギルドの職員なんかも色々と知らないといけないし、誰が敵かはっきりさせないと問題だからね」


「リオン、まさか直ぐ行くつもりなの?姉さんリオンがいると思って休みまで取ったんだから少しゆっくりして生きなさい。いいわね」アルムが僕のほっぺをつねりながら言う


「ファイ わかりました」しゃべりにくい。


すみれが少し前に出る。

「突然で申し訳けなかった。私は三名(さんみょう) すみれ、和議の国の小国 小和(コワ)の国でリオン殿が持つ一文字 白狐様を祭る社の巫女をしていた。有る理由で国を潰されナーラ国でギルドの職員として雇ってもらって今に至る。よろしく御願いします」


「聞いていい?和議の国っていくつもの国が集まって出来ているの?」カーリが疑問点をきく。


「はい。元々は連合国です。和議が一番大きな島です。周りに6っこの国があり、その連合国が和議と名乗っています。」すみれが丁寧に説明している。


「社と巫女ってなに?」


「僕が教えるよ。社はこの国で言う神殿、教会に当たる、巫女は聖女や神官に当たる職だよ」


「リオン何でそんな詳しいの?」アルネとカーリの目が怖い。


「アルムから教えてもらったの」


「「フ~ン」」アルネとカーリの目が冷たい。


アルムに助けを求める。仕方ないと言わんばかりの顔をされる。

「リオンに色んな事を教えたのは確かに私よ、お祖父さんからも和議の国の剣術を教わったし、その時にリオンには結構な量の事を教えたのよ。元々リオンのお父さんがあんな事をしなければ私とリオンで和議の国の出羽にいく予定だったから」


「アルム様、出羽をご存知何ですか?」すみれが驚く。


「ええ、出羽は私達の師匠である。本間 勇幸(ユウキ)様がいるから。ってもうお墓しかないけど」


「本間 勇幸様とはどのようなご関係でしょうか?お弟子様と伺いましたが」すみれがオドオドし始める。


「本間 勇幸こと、剣聖レース レインは私達のお祖父さんのパーティーメンバーよ。和議の国では本間 勇幸って名前で通していたけど」


すみれが土下座した「失礼いたしました。知らずとはいえ。このすみれ腹を切ってお詫び申し上げます。末代までの恥じでございます」


「待った、まったぁ。なにしてんの? 僕も姉さんもそんなことは求めていない。もし本当にそう思うなら、僕達を手伝ってくれないか?どうにも僕達は和議の国に縁があるみたいだし」


「私も賛成、あんな隠匿スキルもったいないわ」アルネさん普通に戻ったかな?


「私も賛成ね。でもリオンは私とアルネだけだからね」カーリさんはそれで良ければいいのね。

すみれがキョトンとした表情をしている。


「ちょっと、私の存在忘れていない? カーリ、アルネ」姉さん?お願いだから怒らないで

「「もちろんです。お姉さんあっての私達です」」アルネとカーリの変わり身が早い。


「じゃあ、アルネとカーリ。お願いしてもいいかな。すみれを連れて1度オランさんに会ってくれないか?僕は姉さんと今後の対応を検討するよ。必要に応じてアルムにも出てもらうかも知れないしね」


「すまない。リオン殿、アルム殿はもしかして戦慄のアルム…殿で良いのかな?」

すみれが恐ろしい者を見るように聞く。


「すみれも知っているだね。姉さん有名人だね」


すみれの顔がみるみる青くなる。そのまま倒れてしまった。


翌日にアルムとタイナーと話し合いが行われる。今の所ナーラ国からの要請が来ないと出動自体が難しらしい。仕方なく戻ることになる。アルムと別れラピスのギルドに来た。


ダリアさんが1人でいる。

「ダリアさんお久しぶりです」


「リオン君、何時帰ったの?」


「今です」


「今、リーンハルとルーニーもギルドマスターと一緒にいるの、部屋に行ってみて。マスターがあの2人に無理なお願いしてて心配なの。お願い」ダリアさんから頭を下げられた。


ギルドマスターの部屋に来てノックをする。

タンザ オール さんが出て来た。

「リオン?いつ戻った?」


「いまです」


「すまないがリオン君にも聞いてもらえないか?」


タンザ オールさんが僕を中に入れる。リーンハルとルーニーが座っている。タンザ オール さんの隣に見たことが無い人がいる。


リーンハルとルーニーに声をかけてから座る。向かいにいる人は東の辺境都市ビルルマのギルドマスター モンドアルパさん。

モンドアルパさんは30歳位の中肉中背の男で金髪に白い肌、つり目で性格の悪い感じが第一印象だ。


モンドアルパさんからリーンハルとルーニーを東の都市、ビルルマを拠点にして欲しいと強く要請があり、今日はその話しをするためにここに集まったらしい。



「リオン、君がクランのリーダーだ、意見を聞きたい」ダンザ オールさんが話しをふってきた。リーンハルとルーニーを見ると行きたく無いと堂々と顔に書いてある。


「1つ質問をよろしいですか。なぜこの2人の拠点を東の辺境都市に移す必要があるのでしょう?」


「リオン、聞きにくい事をはっきりと聞くな」ダンザ オールさんが苦笑いする。


モンドアルパさんからの話しによると隣国との小競り合いや首都のと頻繁な交易もあり、優秀な人程、首都に行き、行き場を失った者が集まるようになった。ギルドもいざこざがある度に押さえて来たが辺境伯より、冒険者の増強を言われているらしい。現在、東の辺境都市にはBランクが3組いるが仲が悪く、冒険者が3つのグループに別れてしまっているらしい。

そこでAランクのクランメンバーに東の辺境都市に来てもらい新しい風を吹かせたい。それが目的だと言う。


「はっきりと言います。僕はそう言う事はお断りです。そんなに面倒事なら陛下に僕から伝えましょうか? 上手くいくと飛行隊が出向くかも知れませんが?」


モンドアルパさんが顔を横にふる。

「すまない。アルム公爵は勘弁してくれ、我々ギルド自体は問題無いが辺境都市が戦争を始めると言われてしまう。そんな事をすると折角ここまでかかって育て方冒険者がみんないなくなってしまう」


「僕達は今、リュックニーの問題を抱えています。その問題が終れば東の辺境都市に有る、モンモルナイトのダンジョン攻略を計画しています。唯リュックニーの攻略には、リーンハルとルーニーの力が必要です。リュックニーの攻略が終わらない事には先に進めません」


「リオン君。モンモルナイトのダンジョンの話しを公にしても良いかな? それだけで冒険者の緊張感が上がる。私も辺境伯に申し開きがたつ。私がリオン君達に特別依頼を出してもいい。当然、リュックニーが終わった後で問題無い。どうだろうか?」


「わかりました。もしかすると少し早くなる可能性もあります。場合によってはモンモルナイトの太陽を取りに先に向かう可能性もあります。その時はギルドを通じて連絡をします」


「待ってくれ、それはバンパイアがいるのか?リュックニーに?僕はリュックニーの出身だ。ダンジョンにはバンパイアはいないはすだ」モンドアルパさんの顔が強ばる。


「聞いた話ですが。2年前からバンパイアが深層階に来て荒らし回って入るようです。今の所は僕達3人で問題は有りません。唯、争いです。必要ならリーンハルとルーニーを召還します」


タンザ オールさんが割って入った。

「まった。リーンハルとルーニーはまだCランクに上がる前だ。そんな2人を連れていくなんて止めてくれ。いくらリオンの頼みでも我々ギルドとしては許可できない。バンパイア相手だ、最低でもAランクはないと無理だ」


「僕も同意見だ。リオン君ならそのくらい判るだろう」モンドアルパさんも同じように拒否した。


「お二人共この2人の実力をしならいのですね。リーンハル、ルーニー言い付けをなもっているね。2人共良く頑張っているね」

リーンハルとルーニーが?って顔をしている。2人にそんな事を言った事は無い。2人からしたら簡単すぎる依頼をこなして要るだけに過ぎ無いだろうしね。でも僕の命令と言ってしまえば2人に非は無くなる。


「リーンハルとルーニーは強いですよ。この国でも5本の指に入る程に。この2人は僕の言う事を良く聞いて実力を表に出していません。実際に僕達を除いてこの2人に勝てるのは飛行隊のアルム公爵だけでしょう。リーンハルとルーニーはそのくらい強いです」


「待ってくれリオン。何故そんな強い2人をまだDランクにしておくんだ?」


その質問にイラつきを覚える。冒険者は自由であるから冒険者だ。国やギルドの犬じゃ無い。

「ダンサ オールさん、こんな若い2人が国を背負う必要がありますか?

もし国を背負わないといけない位に疲弊しているなら、僕はこの2人を連れて直ぐにでもこの国を捨てますよ。


僕がつかえるのはあくまでもタイナー陛下、モンナ王妃とアルム公爵だけです。決してオーヂエン国では無い。


なのでこの3人の誰から助けを求められたら助けに来ます。なので国やギルドに縛られるつもりは有りません」思わす声が大きくなってしまった。


「そのくらい僕達5人は、人の理を越えた強さを持っています。かの剣聖 レース レインのように。僕達の存在は国の消滅すら左右します。だからこそどの国にもつきません。例えギルドであっても敵と見なした段階で徹底的に潰します」

「これは脅しでは有りません。僕は僕の身内には甘いので勘弁して下さい。リーンハルとルーニーは僕の大切な家族です。」

僕の決意にダンサ オールさん、モンドアルパさんが折れた。


「わかった、リオン君は元々ギルドのランクも嫌がっていると聞いた事がある。

そのリオン君が面倒を見てる2人だ、リオン君と同じ意見でも仕方ないだろう。我々ギルドはあくまでも中立だ、どの国にも属さないそれが我々の正義だ。

ギルドが冒険者を裏切ったらそもそもの存在意義がない。心配しなくて言い。

でもリュックニーに連れて行く前にはせめて2人をAランクにするか、リオン君がSランクのパーティーにならないと入れないからな、ルールだけは守ってくれよ」


何とかダンサ オールさんとモンドアルパさんを抱き込めた。次は強敵のオランさんだ。


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いつも読んで頂き有り難うございます。


誤字脱字のご指摘。感謝します。

気をつけていきます。

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