第3話

始祖が書き残したこの本は凄い。最弱のモンスターであるスライムを使い、最強のテイマーになった。その発想と探究心、最高に面白い。

あまりの面白さに時間を忘れて読み進めていた。誰かの足音が聞こえ刀を取り出し構える。音をたてずに階段の上まできた、箱が出入口に固定されていたがそのままにして様子を見る。


盗賊の類いだったり、モンスターだったりする可能性も否定は出来ない。


微かに人の声が聞こえる。

「おい、本当にここなんだろうな。死体が無いぞ」

「間違い無い。ここで探知機能が切れた。あれは死んだ時に光、こちらに伝えてくれる物だ」

「ち、死体が無いと俺達の報酬がでねぇぞ。やっぱり首都を出た時に殺しておくべきだった。あいつの親父からのクエストだ報酬はたんまりだからな」


「いや。スカルプが見てる目の前で反応を示した。報酬はもらおう」


その話し声に卒倒するところだった。この2人の声は聞きおぼえがある。最後まで僕は見方だと思っていた。ライナーとマターの声だ。

「そうか、お父さんも本心では僕がいらなかったのか。最後まで騙されていたな」

そう小さい声で言う。


ライナーとマターの動きが止まる。モンスターか盗賊達に囲まれたらしい。マターがライナーに先に出るように促す。

「ライナー行け、俺がけつをもつ」

ライナーが飛び出した時に後ろからマターがライナーを切り付けた、ライナーのうめき声が聞こえる。


「マター、テメーはめやがったな」


「おいおい、ライナー、怖い顔するな?こいつらは俺が雇った盗賊どもだ。次いでだからテメーも死ね。リオンも守れず、盗賊に殺られた英雄として長く語り次がれるだろう」


盗賊が近付き「お頭こいつは殺ってしまっていいですか?」


「かまわん。で何人かいるか?」


「へい。2人程」


「2人では足りんな、お前達今日は何人出来た?」


「頭、何をいって・・・」ドサ

オオオ、バサ。ドシャ、テメー、オリャー、ダチ、バサ、・・・静かになった。


「本当お前らは馬鹿だな、お前ら程度じゃライナーが死んでも信憑性がねぇだろう」


「マター、てめえも道ずれだ」


「ライナーあまり動くなよ毒の回りが早いぞ。

リオンをこの歳で殺すのはスカルプとリーナの悲願なんだよ。

あんな使えねぇテイマーを世の中に出すなんてスカルプには許せないのさ、あいつは今年高位をもらい一代貴族に昇格する予定だ。

リオンのような汚点は消すしかないんだよ。まあ、次いでだから厄介なお前も消えてもらうことにし・・・・」ドサ・・・・


そのまま音がしなくなった。恐らく2人共死んだのだろう。

そうか、僕は最初からいらなかったのか。


なら辺境都市に行くことも無いな。静かな所でゆっくり暮らそう。これからは自由だ、誰にも縛られない。それが僕の生き方だ。


そう考えると始祖がまとめた本全てをマジックバックにいれてここを出る事にした。本の中身は研究しながら進もう。


ゆっくりと箱を寄せて地下のドアを開ける。誰もいる気配は感じ無い。


外に出るとライナーとしてマターが倒れていた。このおびただしい数の死体と血の臭いモンスターが集まるだろう。夜は危険だがここよりはましだろう。そう思い歩き出した。


あの2人を探しに来るやつもいるだろう。下手をすると僕も追われるかも知れない、そんな思いから目立つ場所を避け森の獣道を歩いて進む事にした。直ぐにバウド猪に合う。最悪だ、まさかEランクのモンスターに合うとは思わなかった。


何度か遠征で対戦した記憶がある、直進しかしないモンスターだ、まだ見つかってはいないようだ。

ゆっくり近づき一気に攻める、バウド猪の前足の付け根に刀を斜めに突き刺す。不意をつかれたバウド猪の体深くに刀が刺さる。

そしてバウド猪が倒れた。


倒したようだ。レベルが上がった事に気がついた。何か聞いていた話しと違う気がすると思い冒険者カードでステイタスを確認すると、なんとレベルが爆上がりしていた。


レベル4

最大HP36

最大MP420

耐性1/E

俊敏3/E

胆力3/E

筋力8/9E

知力8/D

幸運3/D

気配察知6/E

魔物察知6/E


魔法 レベル

火魔法1/F、水魔法1/F、風魔法1/F、土魔法1/F、光魔法1/F、闇魔法1/F


基本スキル 剣術 8/D 槍術4/E テイムスキル4/E 身体強化 6/E


こんなに一気に上がる事が有るのか?

そう、まじまじカードを見て思う。


それよりバウド猪は食べられるモンスターでかなり美味しいモンスターでも有名だ、血抜きをして皮を丁寧に削ぎ肉と分けてマジックバックにしまう。何度も演習に参加してこういった作業は慣れっこになっていた。


何とか処理を終える。バウド猪の肉を少し取ると火を起こす。基本魔法のファイアーを使い薪を燃やす。その辺の木の枝に肉を刺し、焼いて食べる。


家族はみんな楽しくやってのかなそう思うと悔しさが溢れる。


思わず顔をふる。


いや全て忘れて自分の好きなことをしよう。改めて心に誓う。冒険者になったんだ、自由に、何も縛られずに生きよう。


夜が開け少し開けた場所に出る。蹴りウサギの群れを見つけた、レベルこそ、Fランクのモンスターだが集団で襲ってくる厄介物だ。


あたしらいスキルの身体強化が気になる。小さく身体強化と言葉に出す。体がフッと軽く力強く感じた。これが身体強化か、どのくらい変わったか実験だ。


刀を取り出し蹴りウサギを一匹倒す。凄く体軽い。外の蹴りウサギが気が付き襲ってくる。2、3匹を刀で斬り倒し足止めにファイアーボールを飛ばし何とか3匹を捉えた。蹴りウサギと距離を取り見ると残りは4匹、ウインドカッターを飛ばし1匹を倒し、その隙にもう1匹を倒す。のこりの2匹をアイスボールで仕留めた。


疲れのあまりその場にしゃがみこむ。流石に蹴りウサギ10匹を1人で倒すのはしんどい。


疲れた体をお越し蹴りウサギをそのままマジックバックに入れる。

昨日、一気にレベルが上がったが蹴りウサギではレベルが上がらなかった。何かそんした気分。


その日は少し離れた木陰で休み。体力の回復を図る。


翌朝また歩き出す。何かにつけられている感じがして振り向く、不味い ランドウルフだ。まさかDランクのモンスターに見つかっていたとは思わなかった。少し動き安い場所を見つけ刀抜いて構える。


身体強化をかけ、迎え打つ。

襲って来たのは1匹だ。飛び出して来た所を避けつつ下から上に向け刀を振り抜く。ランドウルフの腹を捉えた、まだ倒せていないが深手を負わせたようで、ヨロヨロと起き上がろうとした所を刀で止めを刺す。


不意に体が軽くなった。どうやらレベルが上がった。


レベル5

最大HP50

最大MP600

耐性8/E

俊敏1/D

胆力9/E

筋力5/D

知力9/D

幸運8/D

気配察知1/D

魔物察知4/D


魔法 レベル

火魔法8/F、水魔法7/F、風魔法7/F、土魔法1/F、光魔法1/F、闇魔法1/F


基本スキル 剣術 8/D 槍術4/E テイムスキル4/E 身体強化 1/D


魔法スキルも上がったようだ。蹴りウサギの時に使ったのがよかったようだ。身体強化が一気に増えた。移動も楽になるだろう。


そのまま森をさ迷うこと1週間、森の中を進み小さな集落に出た。集落ならギルドが有るかも知れない。モンスターを販売してお金に代えよう。


普段、換金するのはライナーやマターの役目で自分で売るのは初めてだが少しの間の生活費にはなるだろう。


村についてギルドを探すと酒場と対になったギルドの受付を発見して中に入る。


中に入り買い取り場所を探すが見当たらず良く見ると受付に酒場まで来るようにと立て札があった。


酒場に移動すると10人位、座れる席と5人がけのカウンターがある。酒場の店員にギルド用事が有ると言うとこのまま話しをきくと言われ驚いてしまった。


店の女の子だと思う女性に買い取りを依頼。厨房に直接持ってきて欲しいといってカウンターの中に通される。

厨房の中にやけにごついひげ面の親父さんがいる。

その人に買い取りをお願いする。台の上に全部のせてくれと言われた。


下処理を済ませた下蹴りウサギが10匹とラウンドウルフ1匹を出す。


お店の子の話しだと、厨房で作業をしている人がギルドマスターらしい。


ギルドマスターに宿を聞くとこの上が宿だと言う。1泊10リルと聞いて直ぐに泊まる事にした。荷物をおいて酒場に戻る。


ギルドマスターからバウド猪の討伐依頼を受ける。討伐の依頼は無いが肉をおろしてくれれば金は払うと言われた。金額を聞くと1匹1000リルで買い取ってくれるらしい。勿論、血抜き、皮剥ぎ等下処理をしてくれたら金額が変わるらしい。良いことを聞いた。


働いている女性にこの村のことを聞くとここは辺境都市と首都の間の空白地帯らしく、主にギルドで管理をしているらしい。


村はアメール村と言うらしくこの地域にはギルドはここしかないらしい。

ちなみにこの女性がアメール村のギルドの受付嬢のサンリューチュさん、ギルドマスターはランバートさんと言うらしい。


サンリューチュさんにこの村の事を聞くとこの辺は旅人が往来するらしく何件かの宿が集まり出来た場所だと言う。人が集まると盗賊やモンスターが集まる、その為ギルドが出来た。ランバートさんは元々この辺を狩り場にしていた冒険者のようでBランクの冒険者らしい。


部屋に戻るとマジックバックから始祖の本を取り出す。読んでいた続きを読む。

先ず、テイマーが覚える事、魔法スキル。強いスライムをテイムしたら殆ど魔法が必要になる。そのつぎが剣術や槍術と言った戦闘方法。魔法スキルが高い者ほど強いモンスターをテイム出来るらしい。魔法の訓練なんてしたことがなかった。


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