第2話 2
待ち合わせの場所でライナーを待つ。
着替えが数着ともらったお金しかない。
まあ、仕方ない。体よく追い出された訳だし。ただ、辺境都市に向かうには、いくつかの難点がある。魔属の森と災害の渓谷だ、強力なモンスターが多数存在し、常に王国騎士団や聖騎士と言われるこの国切っての強者が討伐を行うが未だにモンスターの被害が絶えない場所でもある。
ライナーが来て、僕を見ると。大仰に天を仰ぎ
「はあ 、スカルプさんの言う通りだな。お前本当にそんな格好で。魔属の森と災害の渓谷を越えれると思っているのか?
リオン、お前程の剣士があの魔族の森と災害の渓谷を知らないはずは無いだろう?」
そう言って呆れ帰る。
マター副隊長を呼ぶ。
「マター、例の物を準備してくれ」
マター副団長も呆れた顔でこっちを見て首をふる。そりゃそうだよね。布の服に、腰縄、手袋に靴。その辺に買い物に行くより酷い格好だ。これから長旅が出来る状態ではない。
マター副隊長が来ると、鎧など装備一式が準備されていた。
「ライナーさん、あの装備は?」
「お前の物だ。何時もお前が我々の仕事を手伝ってくれてるからな。ささやかだが。我々騎士団からの成人の祝いだ。それとこれはお前のマジックバックだ、中に入ってる本なんかはそのままだからな」
「有り難うございます」捨てる神有れば拾う神だろうか?
マジックアイテムの革装備と愛用の刀、マジックバックを装備する。
ライナーが「オオ、馬子にも衣装だな」と言って笑って喜んでいる。
マター副隊長が来て「すみません、我々にはこのような準備しか出来ず」と謝って来た。
「マター副隊長。頭を下げないで下さい。僕は皆さんからこんなにも祝福を受けて幸せ者です。有り難うございます」
マター副隊長にがっしりとハグされる。
マター副隊長は父さんの幼なじみで同じ年だ。今回の辺境都市に家を構えるのも、マター副隊長の提案でもあった。王国の首都にいるより良いだろうと父さんを説得したのもマター副隊長である。
テイマーの家として確立している我が家の長男がスライムしかテイム出来ないなると大きな問題でもある。分家のように家を分けてしまえば問題無いだろうと国王にも話しを通してくれた。いわば今回の影の功労者だ。
ライナーが来ると出発前にギルドによって僕の冒険者登録をするらしい。
「僕が冒険者ですか?」
「そうだ。基本的に平民が勝手に都市を移動するのは禁止されている。だから冒険者登録をしてもらう。都市の移動も自由になるし、簡単な手続きで外の国にも行けるしな。後、モンスターを退治したら金にもなる。これからは自分で稼がなきゃならんだろう」
「そう言う事ですか。では行きましょう」
首都にあるギルドに付く。ライナーに連れられ受付に来た。
受付嬢がライナーを見ると「本日はマスターに御用ですか?」と丁寧に聞いてきた。
「いや、今日は用は無い。それよりこいつの冒険者登録を頼む、職種は、テイマー、剣士、魔法使いだ」
受付嬢が呆れたように「ライナーさん、からかうのは止めて下さい。通常登録が可能なのは1つの職業だけですよ。いくらライナーさんの紹介でもそれは出来ません」
ライナーがニヤニヤと笑い「そうか、それは悪かった。それじゃ。テイマーで登録してくれ」と悪ぶったように言う。
受付嬢に呼ばれ簡単な書類に記載した後、簡易テストを受ける。
「テイマーで登録しますがテイムしたモンスターは中にいれることが出来ませんのでこのまま登録します。剣術は管理者がテストしますが、ライナーさんが管理者なのでテスト不要となります。残りは魔法ですね」
「あの、剣術は不要ですか?」
「はい、ライナーさんがお勧めする方なので問題無いでしょう。ライナーさんの申し出を私が断ると後で私がマスターから怒られますから」
「では魔法の検査です。この6個と魔石に1つずつ、さわって下さい。ランクの登録自体はFランクからになりますので魔法のテストは行いません。魔力の検査だけです、ではお願いします」
魔石は、赤、青、茶色、緑、白、黒に別れている、それぞれに属性が有って、それぞれに魔法を使うだけの魔力が有るか、属性が有るかをチャックする。赤色の石から順に触る。部屋中に灯りが広がる。黒色の石だけ反応が薄く少し光るだけ、外は全て力強く輝いた。
ライナーがどうだ?と受付嬢に聞く。
「ライナーさんこの子は何なの?外の国で冒険者をされていたのですか?」と詰め寄る。
「いや、昨日成人したばかりの子だ、これから俺達と一緒に辺境都市まで行く」
「え~」受付嬢ががっかりとしながら手続きをしてFランクカードを渡してくれた。
カードを確認するとステイタスが乗っていた。ライナーからステイタスカードは人に見せるなよと忠告を受ける。自分の能力を人に見せる事になるらしい。
受付嬢から基本的なステイタスの説明を受けた。その後、カードに書かれたコードが見れないようにFランクと名前以外見え無いように設定してくれた。
ちなみに現在のステイタス
レベル1
最大HP10
最大MP300
耐性5/F
俊敏2/F
胆力3/F
筋力8/F
知力2/D
幸運6/E
気配察知7/F
魔物察知8/F
魔法 レベル
火魔法1/F、水魔法1/F、風魔法1/F、土魔法1/F、光魔法1/F、闇魔法1/F
基本スキル 剣術 5/D 槍術4/E テイムスキル4/E
職業テイマー
受付嬢がまじまじと僕の顔を見て真剣な顔で言う。
「首都に戻りたくなったらいつでも来て下さい。我々首都ギルドは何時でもお待ちしております」
「しかし、受付嬢を初めて長い事やってますが初ですよ、最初から基本スキル 剣術 5/D 槍術4/Eで魔力 300って新人は」
僕の何かが問題なのだろうか?
「それは、あまり良くない事なんでしょうか?」
受付嬢のお姉さんが慌てて訂正する。
「違います、逆です。剣術 5/D 槍術4/EはDランク下級の冒険者並みで、魔力300は初級魔法使いと変わらない能力です。いずれにしても職業を手にするにはDランクからです。その能力を持つ新人何てめったに現れません」
「でも、僕の職業にテイマーと有りますが?」
「リオン ダシャナさんはテイマーのご家族ですね。ダシャナ家は特別な家柄です。ギルドに登録するとすぐにテイマーになります。ただ家柄に慢心せずに今後とも頑張って下さい」
受付嬢のお姉さんにもお礼を伝え外に出る。
ギルドを出た僕達の所にマター副隊長が来て出発することになった。
魔法についてはあまりわからない所もあり、受付嬢のお姉さんが何に驚いていたのかが分からなかった。
だが、これで僕も冒険者だ。何か解放感を感じる。
でもすぐにそんな楽では無いこと知ることになるが。
旅をするのはライナーとマターと僕の3人。気心が知れている間柄だ。辺境都市までは約1ヶ月楽しい旅になるだろう。
ラアドを出て間もなく王宮から早馬が来る。ライナーとマターに帰還命令が来た。ライナーが指令書を見て憤慨している。ワイバーンの群れ位、スカルプさん1人で何とかなるだろう。スカルプさんドラゴンマスターなんだから、と苛立ちを隠せずにいる。
マターがライナーをなだめて王宮に向かう事になる。ライナーから辺境伯にあったら手紙を渡して欲しいと言われて預かった。
ライナーが後ろ髪を引かれながら帰っていった。
仕方が無いので1人で行くか!
途中で始祖のお墓が有ることを思い出した。時間も有るしよって行くことにしよう。
うる覚え記憶を頼りに歩く事、3時間。古びて朽ちかけたボロ屋が有る。この横に有るのが始祖の墓だ。
お墓は苔におおわれている。誰も手入れをしないのもあるが、始祖の遺言で墓に触るなと言うのがある。それゆえ我々の一族は墓に手を会わせるだけで墓の掃除はしたことが無かった。
お墓の前にスライムがいた。思わず話しかける。テイマーのスキルでモンスターと会話ができる。なのにスライムが墓の後ろに行ってしまった。
でも逃げる訳ではでは無いのか、墓の後ろでこっちを見ている。おいかけっこがしたいのかなと思った。墓の後ろに行くとスライムが墓の中に入った。思わず墓に触り隙間が無いか調べる。隙間はなかったが何かの文字が刻まれていた。
急ぐ旅でも無い。墓を少しこすり、汚れを落とす。
[この文字を発見するものが、スライムテイマーで有ること祈り言葉を残す]
[家の地下に私が残した全てが有る。君の力になることを祈る]
そう墓にかかれていた、家の地下?このボロ屋に地下何かあったかな?
そう思いながらボロ屋に入るとさっきのスライムがいた。ついて行くと奥の部屋に入る。
スライムについて奥に行くとベットの下に潜った。ベットの下を覗くと取ってを見つける。
少しベットをずらしとってを開けると下に伸びる階段があった。階段を降り地下に入る。すると階段の上の扉が閉まり箱が出てきた。どうやら地下に入ると勝手に閉まるように出来ているらしい。
よっぽど大切な物がこの中に有るのだろう。
不意にマジックアイテムの革の防具が光だし突然と消えた。
体には何の変化も無かった。そのまま階段を降りて部屋に入ると本棚が3つも有る。どれも古い物ばかりだ。見るとスライムに関わる魔法書やスライムのレベルアップに係わること。特殊スライムの存在等様々な本があった。
魔法の書にはスライムと連携して魔法を使う方法がかかれていた。
テイムしたスライムの魔法属性を見極め、あった属性の魔法を使うとスライムから魔法が放出される。
テイマーがスライムに魔力を送ってその上で魔法を放つ為、距離の概念は無い。またスライムを持ちそのスライムから魔法を出す事で自らも攻撃ができる。
魔法の力はテイマーとスライムのレベルによって変わる。テイマーとスライムがレベル1の場合はそのままだが。
テイマーとスライムのレベルがともに3の場合は魔法の威力が3×3の威力を持つ。
私はその事を長年の研究で発見した。
スライムのレベルアップは別の本のようだ。
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