第124話

ダリアさんが試合開始を宣言。その後は壁際まで下がる。


「白狐、鳳凰」僕の声に白狐と鳳凰が姿を見せる。


モンドアルパさんが目ざとく僕たちの行動をアナウス。

「出たぞ、白狐と鳳凰」


「この2体はSSSオーバーと言われる神獣。

討伐不可能と言われるモンスターの1つに数えられ、神と崇められるほどの強さを持ち、決して他の生き物にはかしずかない。


分かりやすく言うとドラゴンの上位種と変わらぬ強さと気高さを持つ。あまつさえ、そのような神獣を2体出し2人に向かわせるのか?」


「何かうるさいね。2人共悪いけどこんな結界だと、観客席に死人が出る。闘技場の中から結界を張ってもらえるか」僕が対策をお願いする。


「わかりました」静に白狐はうなずき

「面倒だから、こんな建物ごと壊した方が良くないか?」と提言してくる鳳凰。


僕が鳳凰を見ると人の姿になり肩をすくめる。


「白狐、君も人の姿になって鳳凰と反対側にいってお願い出来るか」


「ルーニー、リーンハル。結界張り終えるまで待ってね」


「「はーい」」少しご機嫌な2人の返事が合わさる。


「おーーー。白狐と鳳凰が人の姿に……」


「…………」


結界を張りめぐらせた為だろうか、モンドアルパさんの声が小さくなりほとんど聞こえなくなった。


ルーニーは杖を持ち、リーンハルは魔闘気をまといすでに準備が終って構えている。


僕が練習用の刀を出す。

何時もより注意して力みを抜き、両手をだらりと下げ、自然体で構える。


白狐と鳳凰がダリアさんの横に立ち、ダリアさんの前に強力な結界を張る。


ルーニーが無詠唱でファイアーソードを出し僕に向けて飛ばす。リーンハルがそのファイアーソードの後ろにぴったりと付き飛び込んで来る。


体の近くに有るファイアーソードを刀を使いいなして後ろに流す。


ファイアーソードが地面に刺さり爆発する。爆風にバランスを取られたタイミングでリーンハルの左のストレートが飛んで来た。


崩れた体制のまま、かなり良いものをもらってしまい体が結界まで飛ばされる。


リーンハルとルーニーの連携は物凄く手強い、お互いの実力を知りつくし、信頼している2人ならではのコンビネーション。


リーンハルがさらに僕に向かい攻めてくる。体制を整え刀を鞘に収めリーンハルが近く付くのを待つ。


僕がリーンハルに向かい飛び出し、居合いの要領で抜刀する。


バックステップしてかわすリーンハルを横目に、脇をすり抜けルーニーをめがけ刀を振り下ろす。


ガキン! ルーニーの杖が僕の刀を防ぐ。睨み会いから力比べに移行していく、その直後、後ろから蹴りが飛んで来きた。


リーンハルの蹴り足に合わせ左に飛ぶ。


地面に足をつけ振り返ると、息を切らすことなく2人が走り出し、詠唱する。

「ウインカッター」「ソイルラピス」


地面から硬い土槍が飛び出し、その上を真空の風が襲う。


逃げ場の無い空間が僕を襲う。


結界魔法を地面と平行に3段、ずらしながら作り、結界を駆け上がり空き空間に飛び込む。


体勢を崩しながらアイスボールを唱え、出来るか出来ないかという物まで慌てて飛ばてしまった。


結界が飛び出てアイスボールを止める、ルーニーだ。


ルーニーを確認して、刀を構えるとリーンハルが舞い降りて来た。その連携に驚きつつも後ろに下がり距離を取る。


直後、リーンハルの体にファイアーバードが当たる。ルーニーのミスかと思いきや、ルーニーが放ったファイアーバードをリーンハルがその体に纏う。


僕は今、試験とは言え戦闘中である事を忘れリーンハルに見いってしまっていた。その姿は荒野の中で、赤いドレスを纏い。情熱的なダンスを踊る、踊り子よりも美しい。


リーンハルは赤い炎のドレスを纏い、軽やかに闘技場を舞い、美しい姿で僕に攻撃を仕掛けて来る。


その仕草が、動きが。リーンハルが、僕には目が離せなかった。そう、まるで魅了の魔法にかけれたかように。心を奪われた。


魅了された心を解き放ったのは結界に追突した衝撃と痛みだ。無防備な状態でやられたのだろう。服にこげた後がついた。


白狐と鳳凰の殺気を感じ白狐と鳳凰の前に立つ。

「手出しは不要だよ」


僕の言葉に鳳凰が文句を言う。

「ちょっと、あんた弱すぎ、あんたが弱いとあたしらの格が下がる。これ以上やられるんなら、あたしらがあいつらを殺す」


鳳凰を右の裏拳で殴る。鳳凰は首をあらん方向に曲げながら文句を言う。

「コラ、いい加減にしろよ、いくら主でも許せることと許せない事がある」


「もう一度言う。手を出すな」

僕の怒りが届いたのか、白狐と鳳凰が震え出す。思わず魔力が解放されたためだろうか。上の観客席で何人かが、気を失い倒れてしまった。


「お前達は僕が負けると本気で思っているのか? 今度くだならいしたらへし折るぞ」


「「すみませんでした」」白狐と鳳凰が声を合わせ平伏して謝罪する。


「ほら、あの2人を見てごらん。すでに見えない所に隠れている。

あの子達は僕に勝てない事を知ってる。僕の怒りを感じ取って一目散に逃げたよ」

僕の呆れた顔を怯えながら確認する白狐と鳳凰。


「もう、結界は解いていいよ。ご苦労さん」そう労をねぎらうと白狐と鳳凰姿を消す。


結界が外れ、急に歓声が闘技場内でこだまし始める。


僕が手をあげ試験終了を宣言。ルーニーとリーンハルの試験が終る。


ルーニーとリーンハルがこそこそと中央に出てくる。


ダリアさんが中央に来ると、ルーニーとリーンハルの試験終了を宣言する。


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