第123話
午前の試験が終わり控え室にくるとモンローさんがやけにご機嫌に話しかけて来る。
「どうでした、闘姫の2人は?」
「強かったです。マキュリーの才能は凄いですね。それとエリアスは中々強いです。あの子ならSランクもいけるんじゃないですか?」
「なら先にリオンさんがSランク入りしないといけませんね。手続き取りましょう」にこやかに話しを僕達の方に向けようとする。
「そんな事言ってると今回限りでビルルマには来ないですよ。モンローさんがいなくなったら、またビルルマには来ます」
「止めて下さい。本当にリオンさんってギルド泣かせ何だから」
モンローさんが嘘泣きをしながら訴える。
◇◇◇◇◇
午後の試験が始まる。ただ、午前の部と違い異常なまでの盛り上がりを見せていた。
それはキルドマスターのモンドアルパさんのマイクパフォーマンスで開幕した。
「さあ、今回の最大の見せ場がこれから始まる!!
受験者はあのリオン レース レインのパーティーメンバー。
リオンのパーティーと言えばハーレムで有名だ、だが。そう、誰でもなれるわけではない。
そんなパーティーメンバーだ。すでに実力はSランク以上とも言われるこの2人の入場だぁ~」
「リーンハル エレンとルーニー ダリス。出てこい」
野太い声援「オオオー」「やれー」「また、お仕置きを見せてくれ」
黄色い声援「ルーニーちゃん可愛い」「今日も素敵」
等々。
何か人気有るな。僕が出るとブーイングが出そうだよ。
「パーティーリーダーのリオン曰く、この2人は天才である。
才能の無い僕には眩しくうつる事も有る。そう言わしめる2人が入って来た。
何故この2人はこんなに強いのか教えてくれと聞いたら。
・・・・・なんとリオンが教えてくれた。
それは信じがたい事だらけだった。正直、私はその言葉を信じる事が出来なかった。それくらい衝撃でした。
魔属の森の最深部に行き半年近い合宿を行い、リーンハルとルーニーの2人は難なく生き延びる。
リオン曰く、2人が僕のパーティーに入る試験の為だけに、災害の渓谷の最深部に行った。
そう!
災害の渓谷の最深部に有る、ドラゴンの巣から生き延びて、3日以内に帰って来るよう命じて、たった2人で3日で戻って来た。
信じられますか?皆さん!!!!!!
ドラゴンの巣ですよ。災害の渓谷の最深部ですよ。私ならそんな事には付き合えないです」
モンドアルパさんのパフォーマンスに会場からため息が漏れる。みな、モンドアルパさんの意見に同意したようだ。
さらにマイクパフォーマンスは続き、今度は上から目線で言う。
「だかリオンは違う、だから僕のパーティーに入れました。何一つ悪びれる様子の無く、そう良い放った。
さあ、かつてこれ程強いBランクか存在しただろうか?我々は知らない。そしてこれからも出てこないだろう実力の持ち主だぁー」
モンドアルパさんの圧巻のマイクパホォーマンスに、会場入りしたリーンハルとルーニーが少し引いてしまって入る。
「もう少し控え目でも良くない」ルーニーがボソっとリーンハルに伝えるとリーンハルも黙って頷いた。
会場が一気に沸き立つのを抑えるようにモンドアルパさんが手を上げて合図する。
「それでは、試験官を紹介します。実はリーンハルとルーニーの両名にも、誰が試験官なのかは知らされておりません。
その男を紹介しましょう。
私はこれ程まで傍若無人、厚顔無恥な男に会った事がない。
私も噂でしか聞いていませんがこの男は、近々、ホルスメン中央ギルドより、魔王認定されると聞いております。人族の出身で魔王認定がされれば、ゆうに1800年ぶりだと記憶しております。
その強さは他を余りにも圧倒しており、ホルスメン大陸最強と言われた金獅子を手加減しながら倒しました。あのSSSランクの金獅子を手加減出来るってなんて、無茶苦茶過ぎる。
まして本人は国を倒す力を持ちながら、この国のなかでゆっくりと生活している程、厚顔無恥」
思わずリーンハルがルーニーに聞く。
「ねー ルーニー?」
「私も思った。リオンさん?」
「でも他にいないよね」リーンハルが苦笑いしつつ答える。
「ショック。言ってくれればいいのに」
ブーブー!! ルーニーとリーンハルが文句を言う。
「さあ、試験官を紹介しよう。この2人の相手が務まるのはこの男しかいない
リィーオォン レィィィース レインー」
「殺られてしまえ」「あんな可愛い子を虐めるな」「ブーブーブーブーブー」野太い声のブーイングがやまない。
こんな中に出るのか。少し気が重い。
「リオンさん、ガンバです」唯一モンローさんだけが応援してくれる。
割れんばかりのブーイングの中、女性が出てモンドアルパさんと代わる。
「誤解がないように私が説明しよう。私はアルム フォン リウムだ」
アルムが話すと一気に静になる。皆、恐怖心と絶対的な尊敬でアルムを見る。
「本来なら私がお前達、全員の試験を行うはずだった。だか、ここ最近他国との交流が多すぎて私では手が回らずにいる。
その為、他の奴が試験官を行う事になった。
しかし、試験官としてやれる実力を持つ者がいない。この一点については情けない。その一言につきる。
その為、リオンに白羽の矢がたった。今の冒険者でルーニーとリーンハルを相手出来る奴を私は他に知らない。
それから試験官が知り合いだった場合は必ず当日まで明かしてはいけない、大会の前から終るまであってはいけない。この決まりがある。
ルーニー。リーンハル。消して怒らないようにね」
「「はーい」」「お姉さんに言われたらね」
「しょうが無いよね。許してあげましょう」
2人が手を振りながら返事をしている。
何だろう? この差は?
少しやるせない。
僕が闘技場に出る。殺気を撒き散らし観客席が爆発したかのごとく怒号をあげて奇声がこだまする。
「静まれぇ」アルムの声に観客席が大人しく次の言葉を待つ。
「今までの試験が余りにもつまらなかった。子供とそれをあやす親を見るほどに
観客席にいる諸君、君たちは運が良い。Sランクを越える者達の戦いはめったに見ることができない。
基本的により強い者同士は滅多にぶつからない。今日はそれが見れるぞ。
この試験を受けた者達も刮目してみろ。これが強者の戦いだ。
これを逃すと生きている間には2度と見ることはかなわないぞ」
「「「オオオオオオオー」」」
観客席の盛り上がりが最高潮を迎えた。
盛り上げ過ぎたよ。どうすんの?
僕知らないよ。責任持てないよこんな状態。知らないよ。
はぁ~。やるか。やるだけやるしか無いか。
何かやだ~
盛り上がりを見せるなか、対戦するのが相当にイヤ。
鎧を着た女性が出てくる。ダリアさん?
審判? 何故アルメニア王国の鎧?
僕の混乱をよそに中央に呼ばれる。
「私はこの試験の審判をする、ダリア アランネットだ。
今回は何がおきようと公平に審査する。
武器、防具等は使いやすいものをしよう。真剣の利用も可能だ。魔法のしようも可能。
現在、飛行隊の魔法戦士達が結界を張っている。それが終わったら試合を開始する。
後は怪我しないように、ルーニーとリーンハルはまだ正式に結婚していないんだから、傷後は残さないようにね」
「ダリアさん、大丈夫ですよ」リーンハルが何か嬉しそうに言う。
「ダリアさんの正装、久しぶりに見た。私頑張る」ルーニーも嬉しそう。
2人共この姿知ってたの……?
こっそりアルメニア王国に行かなくて良かったの?
「2人共この鎧知ってるの?」思わず確認してしまった。
「子供の時に何回か見たことあります。ダリアさんから正装だって教えてもらったんです」リーンハルが嬉しそう言ってる。
ダリアさんが近付いてきて「誰にも言ってません。安心して下さい」
そう言うとまた中央に戻る。
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