第122話

翌日、朝に闘技場にくると、モンローさんがまっていてくれている。控え室にくると資料を渡してくれて微笑む。

午前の部、6名の名前等が記載された資料。簡単な食べ物を準備してくれてモンローさんが控え室を後にした。


練習用の刀を出し体を暖める程度に練習を行う。静に刀に向き合う。研ぎ澄まされた感覚に人の気配を感じて、刀をしまい入口のドアを開ける。


不意を付かれたのかモンローさんが驚きつつも笑顔だ。


「お帰りなさい。誰かドアに近付いたと思って開けてしまいた」


「あ、ありがとうございます」モンローさんが何か戸惑って、冷や汗をうぬぐう。


「リオンさん、汗かいてますが、練習してのですか?」


「体を暖めてました」


「そうなんですか? リオンさん位強くなるとそう言う事をしなくても良い気もしますが?」


「僕は才能の有る人間では無いのです、僕がやってることはただの積み重ねです」


「そんなこと無いです」モンローさんの必死さが伝わる。


「それより、出場辞退を希望する参加者がおりまして、午前の部は2名1組だけでの試験となりました」


「わかりました。では会場に行きましょう」


闘技場に入るとちょうど辞退者のアナウスが始まっていた。


「・・・により、本日午前の部、参加者は2名となりました。

これより Aランク試験を始めます」


「受験者の紹介です。闘姫のリーダー。マキュリーと副リーダー エリアスの入場です」


闘技場に来たのは赤い髪を1本にまとめ、槍を持つ女性。背が高く170cmはありそうな身長。闘姫のリーダー マキュリー。


かたや身長150cm位の小柄な女の子だろうか?あの子が副リーダー エリアスだろう。鈍器のような武器を持っている。


マキュリーが前に出た「我々から提案がある。我々1人1人、試験して欲しい」


「僕はかまわない。モンドアルパさん?」

振り返りモンドアルパさんに聞く。


結果は問題無し。人もいなくなったのでやって良い、そう返事が来た。


「悪いな無理をいって」マキュリーが謝って来た。


「問題無いですよ。僕はどちらでも。所で闘姫は何処が地元?」


「あたしらか、あたしらはオーヂエンの東の端っこの街の出身だよ」


「そうか、僕らは西の端に有るマリエラのさらに奥にいるからね。知らないのも無理無いね」


「ずいぶんと余裕だね。あんたのハーレムに付き合ってる子が出るんだろう?その前にあんたが殺られても良いのかい?」マキュリーがニタニタと嫌みな笑みを浮かべる。


「心配無いよ、君達が2人でかかってきても、僕が本気になることも無いよ」


マキュリーは余裕たっぷりに槍をかまえて呼吸を整え、呪文の詠唱を始める。


初めて目にする魔法に喜びを覚えつつ、準備が終るのを待つ。


マキュリーの横に氷のマキュリーが出る。揃って槍を持っている。

マキュリーが声をあげる「未だかつてこの姿を見て生き残った奴はいない。覚悟しな」


マキュリーの魔力量とコントロール技術は凄い。大口を叩くだけの事はある。実際に後はどのくらい強いかだ。


マキュリーを中心に3人の動きは連携している。1人が突くと残りは後ろや横に槍を出し逃げ場を無くす。氷の槍の強度も強くなかなかの物だ。

だが、結界を抜ける強さは無い。結界の中から観察していたが攻撃が直線的でわかりやすい。それと力不足が否めない気がする。


実力だけならAランクに昇格しても問題無い気がするが。


マキュリーが一旦距離を取った隙に結界を解除すると、マキュリーから文句が出た。


「おい、結界に籠ってないで攻撃してこい。あたしが怖いのはわかるが勝負にならんだろう」


「そうかい、なら攻撃しよう」僕の動きを目で追えていないのだろう。マキュリーの肩を叩き元の場所に戻る。


マキュリーの魔力が切れ氷のマキュリーが消える。そしてそのまま体を右にして倒れる。


「どうしたの、このくらい僕のメンバーなら誰も問題無いよ」マキュリーに声をかける。


マキュリーが地面に横たわりながらこっちを見る。その顔は明らかに恐怖にかられ青ざめている。


「バ、バ、化け物だ」マキュリーが僕を指指して言い出す。


思わず後ろを振り向くが誰もいない。化け物って僕の事だろうか?


マキュリーが1度、起き上がりその場にすわる。そして座ったまま敗北を宣言した。


「それではこれより昇格試験2人目を始めます。エリアス選手、前に」


エリアスが近付いて来る。手には大木槌を持っている。


「わたしの武器は基本 でかい鈍器だ。それがないからこの大木槌を使う。問題有るか?」エリアスが僕に聞く。


「いいえ、何も問題ありません」


「マキュリーがあんな顔をしたのは何年ぶりだろうかね。あんたとの対戦が楽しみだ」エリアスが子供のような笑顔で笑う。


「それでは開始」モンドアルパさんの声が響く。


エリアスが体よりでかい大木槌を振り回し距離をつめて上から木槌を振る。


体に見合わない腕力と瞬発力。余りの勢いに地面に当たった大木槌のえの部分が折れてしまった。エリアスががっかりしてる。


「最後の大木槌、折ってしまった」そう言うと泣き出してしまう。


僕がモンドアルパさん声をかける少しモンドアルパさんが懸念を示すが了承してくれた。


闘姫のメンバーがエリアスの普段使う鈍器を持って登場。ここでモンドアルパさんより説明が入る。

「試験官よりエリアスの自分の武器の使用許可がおりました。理由として大木槌がほかに無いこと、それに見合う武器がないこと。この2点により今回特別にエリアスの武器の使用を許可します」


エリアスが立ち上がり武器を持つ。

「あんた良い奴だな。お礼に全力で行かせてもらう」良い顔で宣言されてしまった。


エリアスの使う巨大鈍器をエリアスは小枝のように振り回し向かってくる。あれだけ重い鈍器を使い、重心が上に有るにも関わらずバランスを崩すこと無く直進してくる。


思わず楽しくなってきた。エリアスは凄い。おそらく周りのメンバーに合わせ低いランクにいるのだろう。Aランクで十分やっていける強さだ。


エリアスが上から落とした鈍器を両手で受け止める。カーリの突きを受け止める位の衝撃がある。


エリアスは不思議そうな顔でコッチ見る。

「受け止める奴に初めて会った。あんた凄いな。そうか、これがリオン レース レインか。楽しくなってきた」


エリアスから少し距離を取り、魔法を使う。

「ファイアー ボール」

火球を3つ作りエリアスに飛ばす。


エリアスは鈍器を使い魔法を打ち落としケラケラと笑う。

「あたしにそんな魔法は効かないよ」


「良くわかったよ。エリアス、君の昇格を僕は推薦する」僕が手を上げて中止を告げる。


エリアスが口を大きく広げ呆然としている。


「おお、今回初めて試験官より直接推薦が出た。エリアス、明日の御前試合に参加してもらうが良いか?」

モンドアルパさんが降りてきてエリアスに聞く。


「御前試合、対戦相手は?」エリアスがボーとしたまま聞く。


「当然、リオン君だよ。君をリオン君が選んだんだよ。やるかね?」


「当たり前だ。こんな欲求不満なまま終れるか(怒)」相当お冠のようで肩で息をしながら答えている。


「リオン君も良いね?」


「もちろんです。エリアスの本気を見てみたい。それとマキュリーも連れておいで君たちの連携も見てみたい」僕がモンドアルパさんとエリアスに伝える


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