第85話
ラアドのギルドに来てギルドの受付嬢にマスターをお願いする。
「ランナー マルツさんをお願いします」
胡散臭さそうに受付嬢がこっちを見る。
「約束はありますか?」
「いえ、何も」
さらに胡散臭さそうにする。
「原則、ギルドマスターとの面会は予約が必要です。予約を取って頂いてからにして頂きますか?」
「こっちも急ぎでね。悪いけどリオンが急用があって来たとランナー マルツさんに伝えてもらえるか?」
受付嬢が少し怒り出す。
「いい加減になさって下さい。リオンって何処のリオンなの?カードを出しなさい」
「ギルドカードは無いよ」
そう言ってネックレスを見せ、指輪から名前を浮き上がらせる。
Aランクからステイタスネックレスと指輪がギルドのランクの証となる。
カードは激しい戦闘の最中に無くす可能性が高く指輪とネックレスがカードの代わりとなっている。
受付嬢が震えて怯え出した。
「リオン レース レイン!!!!!!!! も、申し訳…ございません」「い、今…ま、マスターにか、かくにんしてまいります…」
何か、ラピスのギルドでも同じ事があったな。あれは冒険者だったけど。僕ってどういうイメージ何だろう?
「リオンさんお待たせお待たせいたしました。マスター室にどうぞ」
そう言われ受付嬢の後に付いてマスター室に行く。先程の受付嬢とは別の受付嬢が来てしまった。
マスターのランナー マイツさんが待っていた。
「あ、お茶を準備して、後口直しのお菓子も」
「はい、でもマスター。お菓子は食べ過ぎないようにお願いしますね」
「リオン、すまない。変な所を見せて。リュックニーはどうだった?」
「結構大変でした」
受付嬢がお茶とお菓子を出して下がって行った。
ランナーさんの表情が変わり、小声で話す。
「リオン、ビルルマのご令嬢の事は聞いて入るか?」
「はい。タイナーからの依頼はその事ですか?」
「話が早い、それともう一つ宰相を連れてロンリーヌに向かってもらいたい。
詳しくは陛下と王妃からお話が有る。特に王妃の立っての依頼だ。
それで報酬に付いてだ。陛下からオーヂエン国の通行証を提示されたよ。オーヂエン国の正式な冒険者としてどの国にでも入れる物だよ。これはホルスメン大陸 中央ギルドも承認している制度だ。これが有ればどの国のギルドもフリーパスだ。
勿論、パーティー全員が利用出来るから心配は無い」
「私個人的には、君にはずっといてもらいたいけど、仕方ないだろう」
「有り難うごさいます。それでは、これからタイナーに会って来ます」
「これを渡そう」
ギルドからの正式な依頼状だ。タイナーとモンナからの依頼を受けた者の証。今回は相当面倒ごとを抱えてしまったようだ。
ギルドを出て城まで来る。普段は使わない正面入口から入り受付を行う。受付でギルドの依頼状を見せる。
受付で待って入るとタイナー付きのメイドが来た。
「リオン レース レイン様ですね。陛下と王妃がお待ちでございます。ご案内致します」
呼ばれ後ろを付いていくと、城の奥。2人の生活スペースに呼ばれた。この生活スペースは殆んど来ることが無い。
客間に通され2人を待って入るとモンナが来た。
「あら、リオンいらっしゃい。こっちまで来てもらってごめんなさい。私、少し体調が悪くて余り動けなくてね」
「モンナ。体調大丈夫?」
「うん。問題無いわよ、子供ができると体調崩すらしいの。問題無いよ」
「そっか。なら良かった」凄くほっとした。こんなタイミングだ、本当に心配した。
「モンナ、おめでとう。遅くなってごめんね」
「ううん、有り難う。間もなくタイナーも来るからくつろいでいて」
モンナとこのところの話で盛り上がっているとドアに開きタイナー達が入って来た。
タイナー、アルム、マルイル宰相が来た。
「リオン、すまない。面倒な事に巻き込んで」
「何言って言ってるのタイナー。その為に朝一、姉さんを寄越したんだろう」僕が笑いながら話す。
「はは、リオン話が早くて助かる」タイナーが友達から国王の顔にかわる。
「早速だが、依頼内容だ。
マルイル ホォン ビルルマ宰相
ヒューズ ホォン ビルルマ嬢
お付きの兵士2人。
合計4名を警護しつつロンリーヌを平定。その後、ガレシオン公国 国王 ロリン・マゼー・ガレシオンとマルイル ホォン ビルルマ宰相との交渉に同行して欲しい。
ロンリーヌで兵士2人はおろして良い。リオン達がロンリーヌを平定後、アルム公爵が飛行隊と共におもむく。
その後マルイル ホォン ビルルマ宰相とヒューズ嬢の2人を護衛しつつガレシオン公国に行って欲しい」
「聞いても?」
「何だ?」
「姉さんの体は大丈夫なの?」
モンナがこっちを向く。
「私が答えるわ。リオンなら何となくわかっていると思うけど、アルム公爵はタイナーと結婚する事になったの。
勿論、アルムを口説き落としたのは私だけど、でもまだ大丈夫よ妊娠していないから」
「リオン。これは私個人の依頼。この国を出て冒険するのは問題無い、でも件のあと、一年はこの国のどこかいて欲しい。出来ればアルムの子供が産まれるまで」
モンナがそう言って頭を下げた。
「姉さん。子供良かったね。
と言うか、遅くなってごめんね。僕は姉さんと違って出来が悪いからね」姉さんが泣きそうな顔をしながら、無言で顔を横にふる。
僕が条件を付ける
「今回の依頼を受けるにあたって条件が有る、パーティーメンバーのリーンハルとルーニーをこの依頼でもってBランクにする。
推薦のギルドマスターは誰でもいい。
この案件の後、リーンハルとルーニーを連れて辺境都市ビルルマに行く。そこで今回同様にギルドマスター3人の承認が欲しい。
ビルルマの依頼の後でリーンハルとルーニーにAランク試験を受けさせる。
試験官は姉さんをお願いする。姉さんが何らかの問題で難しい場合は僕が行う。
その後一年はモンナの依頼どうりにこの国にいる。
この国にいる間はAランク試験官を僕が受け持つ。此が僕の条件」
「そんな事でいいのか?」タイナーが驚いて聞いて来た。
「当たり前でしょう。モンナと姉さんの子供だよ。僕の新しい家族が出来るだよ。こんな嬉しい事はないよ」
「僕はモンナと血のつながりは無いけど、僕の事をタイナーと同様に大切にしてくれた人だ。
それと姉さんは公爵だ、国王の血筋を残す役割がある。少し寂しさは有るけど僕には何も言えないよ」
「「リオン」」モンナと姉さんが複雑な顔をしてうつむく。
「タイナー、モンナ、姉さん。今回はあくまでも僕は友人として、家族としてこの依頼を受ける。
マルイル ホォン ビルルマ宰相。僕は国や貴族等と言う煩わしい物が嫌いです。ましてこの国に忠誠を誓った事も有りません、ご承知おき下さい」
「質問をいいかな?、リオン。君は何に忠誠を誓いこの依頼を受けてかれたのかね」
マルイル宰相の低く渋い声が部屋に響く。
「強いて言えば、タイナー、モンナ、アルムの3人です。
この3人に呼ばれるので有れば、この世界の何処にいてもかけたけます。そしてこの3人の敵となるもの全てが僕の敵となりましょう。
もしこの3人が、僕を必要としないのであればその意見に従います」
「フム。リオンそなたを気に入った。
国とは土地や権力ではない。人こそがその国の財産である。タイナーにずっと言って聞かせたかいが有ると言うものだ。
辺境都市における。ベリス ダシャナの件が終わったら、わしの依頼を受けてくれんか?」
皆驚いた顔で宰相を見る。
「実はな、地図にものらない小さな村や集落が結構あるんだ、そう言う所からの陳情が沢山有る。
出来るだけそう言う所を回って問題を解決して欲しい。その渡航費用と必要資材等はわしが全て持つ。考えてくれんか?なかなかわしらが行動するに、制限が多くてな手が回っていないのだよ」
「宰相殿下、個人としての依頼なら受けさせて致します」
「当然。そのつもりだよ。君に貴族のうるさいハエは付かんようにする。当然、今回もだ。国王と宰相の2名が全力を上げてハエ叩きをしょう」そう言うと宰相が渋い声を出して笑う。
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